ねとらぼ
2025/09/06 10:50(公開)

大量にザリガニがいる池、駆除して3日目と約300日目の池を比べると…… 目を疑う光景に「まさに天国と地獄」「信じられない」「本当にすごい」

 外来種であるアメリカザリガニの駆除を始めて3日目の池と、駆除を始めて約300日たった池を比較してみると……。目を疑う光景がYouTubeチャンネル「コミヤの生物多様性に関する一考察」に投稿され、記事執筆時点で5万7000回以上再生されています。投稿者は「生物多様性を全力で楽しみたい、だから生物多様性と水辺の文化を保全する」という考えで活動する小宮春平(@ariake538)さんです。

advertisement

アメリカザリガニの駆除を始めて3日目の池

 今回小宮さんは、アメリカザリガニの駆除を始めて3日目の池と、駆除を始めて約300日がたった池を訪れました。まずは3日目の池からです。

まっ茶色の池

 駆除を始めて3日目の池は、まさにまっ茶色で、赤みがかった泥水のような状態です。環境省のWebサイトによると、アメリカザリガニが繁殖して増えると水草を食いちぎって破壊するため、水草は次第に減少・消失していきます。水草がなくなることで、それを隠れ家や産卵場所にしていた小魚や両生類、昆虫がすみかを失い、さらにザリガニに捕食されて数を減らしてしまいます。こうして生態系全体が崩れると、池の浄化作用も失われ、水質が悪化して泥水のように濁ってしまうのです。

 今回の池は、周りの笹などを伐採したことでしっかりと日差しがあたるようになっており、小宮さんによるとこの環境であれば水草もしっかり育つとのこと。今後アメリカザリガニの駆除を進めつつ、池を再生させていく予定です。

罠を引き上げていきます
advertisement

6時間ぶりに罠を引き上げてみると……

 この日は朝に学生たちがアメリカザリガニ用の罠をあげて回収してくれたそうで、小宮さんは「そんなに今罠にザリガニは入ってないんじゃないかなと思いつつ どうなんでしょうね」と話しながらあげてみました。するとわずか6時間程度で、沢山とは言わないまでも何匹もアメリカザリガニがかかっていたのです。

デカいザリガニ
思わず「デカい!」と声が出る個体も

 中には思わず「デカい!」と声が出る個体も。ほぼえさがないほど食われている罠もあり、どれだけ多くのアメリカザリガニがこの池に生息しているのか、と考えさせられます。

ザリガニを回収
罠にかかったアメリカザリガニを回収していく
罠にかかったアメリカザリガニたち
わずか6時間程度で罠にかかったアメリカザリガニたち
advertisement

アメリカザリガニを駆除し始めて約300日たった池

 続いて、小宮さんたちがアメリカザリガニを駆除し始めて約300日がたった池に移動してみることに。先ほどの駆除3日目の池は泥水と表現していい様子でしたが、約300日駆除した池は一体どうなっているのでしょうか。

 動画に映ったのは、水生植物のヒシが池の水面を覆うほどに生い茂り、緑があふれている印象の池。小宮さんも思わず「緑だね すごいよ」と感嘆しました。ヒシだけでなく、奥には別の水草も生い茂っており、先ほどのアメリカザリガニが多数生息している泥水のような池とは正反対の美しさです。小宮さんによると、緑豊かな私都谷(きさいちだに)と「同じような環境になりつつありますね」とのこと。

300日たった池がこちら
アメリカザリガニを防除し続けて300日がたった池がこちら
1年でこんなに美しい池に
1年でここまで美しい池に

 美しい池の周りには、トンボが飛び回っています。設置していた罠を確認すると、アメリカザリガニは1匹もかかっておらず、沢山のオタマジャクシが入っていました。池の中の栄養分をアメリカザリガニが大量に消費しないことで、しっかりとオタマジャクシが繁殖できるようになるなど「他の生き物への循環が始まる」と小宮さんは説明。アメリカザリガニの駆除を続けると、この池のようにオタマジャクシが増え、ヤゴが来たり鳥が訪れるようになったりと、少しずつ状況が変わっていくのだそうです。

1匹もいないザリガニ
アメリカザリガニは1匹もおらず
大量のオタマジャクシ
オタマジャクシが大量に!

 まだこの池には30個ほど罠を仕掛けているそうですが、かかるアメリカザリガニの数は3匹など、連日一桁台が続いているとのこと。アメリカザリガニに関しては「本当に数は減っているのでしょう」と語っていました。動画撮影時、この地域では2週間以上雨が降っていなかったため水位も少しずつ下がっていたそうですが、このような場所があると水を求める他の生物たちにとってもいい避難地となるのだそうです。小宮さんは「まあ、来年にはあっちの池もこうなっていることでしょう」と話して、動画を締めくくりました。

緑豊かな池に
この日、アメリカザリガニは1匹も罠にかかっていませんでした

池の比較に驚きと称賛の声

 池の比較を捉えた動画には「一年頑張るだけでここまで復活するのは自然の力強さを感じます 消えてしまったように思えた植物もシードバンクというシステムで復活してくるというのは本当にすごい」「廃池というかゴミ捨て場と綺麗な湿地、ビオトープに見えます。本当に変わりますね。素晴らしい活動です」「あんな藪笹に囲まれた池にまでザリガニが侵食していることの恐ろしさと、防除が進んだ池の姿の緑の美しさ……まさに天国と地獄」「これが300日経つと多種多様な生物が生きる透明感のある池に変わるなんて、コミヤさんの動画を見ていなければ信じられないです」「一年の努力がどれほど大変なのか…と思いました」「ザリガニなんで規制すんだろと思ってたころもありましたが、ザリガニの問題がよく分かる動画でした」など、小宮さんたちの活動への反響が寄せられています。

 小宮さんはこの他にも、YouTubeチャンネル「コミヤの生物多様性に関する一考察」やX(Twitter)(@ariake538)にて、環境保全活動に関する情報を発信しています。

小宮さんの動画をもっと見る

画像提供:YouTubeチャンネル「コミヤの生物多様性に関する一考察

※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

関連タグ

Copyright © ITmedia Inc. All Rights Reserved.