道を利用する全ての人にとって欠かせない“道路標識”。中には「動物が飛び出すおそれあり」という注意を示す看板もあり、しかもご当地色豊かなラインアップが存在するといいます。そんな命を守ってくれる“動物注意”標識の魅力について、全国各地に赴いて標識の情報を収集している道路標識マニア(@roadsignmania) さんに話を聞きました。

奥深い動物標識の世界をインタビュー!

ヘンな矢印標識

山崎賀功
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動物注意の標識では「シカ」が標準

 動物注意の標識では、国連が定めた標識に従って、シカの図柄が標準とされています。ただし、国土交通省は「シカ以外の動物が飛び出すおそれがある場合には、適宜、当該動物の形状を表す記号を表示するものとする」としており、設置地域で飛び出しやすい動物を描くことができます。

角が逆向きのシカ。日本ならでは

 また、道路標識マニアさんによると、日本ではシカの角の向きが標準形とは逆向き(シカの体の前から後ろに向かって生えた状態)になることもあるのだとか。その理由は、日本に生息するニホンジカやエゾジカの角の向きに合わせたためだそうです。これはディープな話が期待できそう!

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「道路標識マニア」さんに聞いた“標識の魅力”

――標識に魅せられたきっかけは何ですか?

 道路標識マニア: マニア歴は「年齢-3」年です。物心付いたころから哺乳瓶の蓋の「輪っか」の赤と青のものを手でつなげて標識を作っていました。子どものころから家族で車でいろいろなところに行っていたのが標識と出会ったきっかけかもしれません。

 また、写真を撮ってnoteにアップし始めたきっかけは、2021年に行われた東京オリンピックでした。開催にあたり、期間限定の専用標識があちらこちらに設置され、珍しいと思って写真を撮り始めました。

東京オリンピック用の標識。現在は撤去済み

 ――お気に入りの動物注意標識を、理由とともに教えてください。

 道路標識マニア: まずは、「赤いキツネと緑のタヌキ」の標識ですね。これはもうシャレを狙ったかのような標識ですね。北海道の7箇所にのみ存在します。

これはもしや……!
赤いアレと緑のアレ

 ――面白いですね! 東洋水産の有名カップ麺をほうふつとさせます。しかも、ちょっとかわいい。

 道路標識マニア: あとは、「ヒキガエル」の標識も好きです。「気を付ける前にもうひかれてしまっている!」というのがなんともシュールな標識です。島根県にありますが、同じ図柄の丸い標識が函館にもあります。

道路標識マニアさんお気に入りのヒキガエル
轢かれていないタイプのヒキガエル。絵柄がリアル気味

 ――ヒキガエルというか、もはやヒカレガエル。

 道路標識マニア: 他だと、「クマの親子」の標識もお気に入りです。もちろん実際にクマの親子に遭遇することは非常に恐ろしいですが、標識は少しほのぼのした感じがあります。北海道の美唄の県道の数か所にあります。

クマの親子も道路を横断
親子でのそのそ

 ――ヒグマが多い北海道ならではですね。今回の取材を通して、海辺ではヤドカリ、沖縄では固有種のヤンバルクイナの標識まであると知り、興味深かったです。

ヤドカリ注意
沖縄の固有種かつ絶滅危惧種のヤンバルクイナ

 ――ちなみに、”動物注意”標識の他に、特に面白いと感じた道路標識はありますか?

 道路標識マニア: 「とび出し注意」が面白いです。この標識は日本全国にありますが、標準形がないためにさまざまな個性がある図柄を見つけることができます。子どもの顔だけのもの、おじいさんと子ども、子ども2人など新しいパターンを見つけるのは楽しいです。

子どもの顔
お年寄りと子ども
子ども2人
なかにはこんなのも

 ――最後に、今後の展望があれば教えてください!

 道路標識マニア: 日本全国のさまざまな標識の場所を地図上に掲載して、なるべく多くの人が標識の聖地巡礼を楽しめるように進めていきたいです。


 なお、道路標識マニアさんは、全国各地の標識についてGoogleマップでまとめた「道路標識マップ」を公開中。とてつもない数の標識を地図上で確認することができますよ。

画像提供・取材協力:道路標識マニア(X:@roadsignmanianote)さん

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文:近藤仁美(こんどう・ひとみ)

クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。株式会社凰プランニング代表取締役。これまでに、『高校生クイズ』『せっかち勉強』『マジカル頭脳パワー!!2025』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどにクイズ・雑学を提供する。国際賞「Trivia Hall of Fame(トリビアの殿堂)」殿堂入り。著書に、『クイズ作家のすごい思考法』『人に話したくなるほど面白い! 教養になる超雑学』などがある。