ねとらぼ
2025/12/20 20:00(公開)

天海祐希「私の“座長”ぶりはどうだった?」 メンバーの答えは―― “最後の出番”で得たもの【劇場版「緊急取調室 THE FINAL」】

塚地武雅さん、田中哲司さん、天海祐希さん、小日向文世さん、でんでんさん(左から順に)

 劇場版「緊急取調室 THE FINAL」が12月26日から全国公開されます。2014年からテレビ朝日系でテレビドラマシリーズとして始まった「緊急取調室」(キントリ)シリーズが、5シーズンと2つのスペシャルドラマの放送をへて、劇場版でついにフィナーレです。

 同シリーズは、自供の強要によるえん罪を防ぐため“可視化”された取調室で、警視庁捜査一課に設置された「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」のメンバーが数々の凶悪犯と一進一退の心理戦を繰り広げる姿を描く物語。天海祐希さんが演じる主人公・真壁有希子がSIT(特殊犯捜査係)から左遷され、同班にやってくるところから物語は始まりました。

 以降、田中哲司さん演じる梶山勝利、でんでんさん演じる菱本進、大杉漣さん演じる中田善次郎、小日向文世さん演じる小石川春夫、3rd SEASONから加わった塚地武雅さん演じる玉垣松夫とともに、クセのある犯人たちを取調べで“マル裸”にする姿が描かれてきました。

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劇場版で12年にわたるシリーズが完結

 2014年1月に放送がスタートし、人気シリーズとして不動の地位を確立してきた本作が、10月16日~12月18日まで放送されていた連続ドラマの5th SEASON、そして12月26日公開の劇場版で完結します。

 劇場版でキントリメンバーが対峙する最後の敵は内閣総理大臣。ゲストに暴漢・森下弘道役として佐々木蔵之介さん、新たに内閣総理大臣・長内洋次郎役として石丸幹二さんを迎え、超大型台風の連続発生という国家を揺るがす非常事態の最中で起きた、総理襲撃事件の真相を解明するため、キントリが最後の戦いに挑みます。

12月26日から全国公開される劇場版「緊急取調室 THE FINAL」

 ねとらぼ編集部では、中学のころから天海さんのファンの筆者が天海さん、田中さん、塚地さん、でんでんさん、小日向さんにインタビュー。異例となる再撮シーンも含まれる劇場版への思いなどを伺いました。

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天海祐希、2年ぶりの再撮は「私にとってはご褒美」

取調べシーンも2年ぶりとなる再撮で実現した場面の1つ

ーーキントリの劇場版が2年半以上の時をへて、ついに待ちに待った公開を迎えます。まずはキントリの“座長”である天海さんに、現在の思いをお伺いしたいです。

天海:私は「この役やこの作品に向き合うチャンスをもう1回いただけた。私にとってはご褒美だな」とすごくポジティブに捉えるようにしています。このメンバーでもう1回同じ役でお芝居させていただけるのはもちろん、再び真壁有希子に向き合うことで、自分の中でやり残したことがもう一度できると。自分の中でもその思いを回収できるような作品にできたのではないかなと思います。

 劇場版では、キントリチームの苦悩や揺れ動きがさらに深みを増している印象でした。もちろんできればシーズン1から見ていただけるのがうれしいですが、シーズン5の後に劇場版を見ていただけるとより楽しんでもらえるように作られているので、これまでのシリーズの流れでたくさんの方に見ていただけるといいなと思います。

ーー私もシリーズを全て見直してから試写を拝見しましたが、ラストにふさわしいストーリー、そして劇場版にふさわしい緊張感もある作品だと感じました。おっしゃるような作品としての深みが増したのは、やっぱり再撮シーンがあるからこそだと思います。

塚地:同じ作品を撮り直すのはなかなかないことじゃないですか。映画もドラマもそうですけど、「あのとき、もっとこう演じていたら……」という後悔が結構あるんですよね。それを生かせる場所と言うと少し変ですけど、あらためて同じ設定でバージョンアップできたのは貴重な体験でしたね。

田中:それで言うと、当初「再撮してでもやりましょうよ!」と言ったものの、再撮と言っても意外と大変なシーンばっかりで、当初は「あれ? こんな量のセリフをまた覚えるんだ(笑)」と戸惑ったのを記憶しています。セリフを覚えているかと言うと、全然覚えてないんですよ(笑)。だから、まっさらな状態からまた覚え直して……。

 それは決してうれしい作業ではなかったんですけど(笑)、天海さんや塚地さんが言ったように「今回はもうちょっと演技を抑えてみようか」とか、修正の場になって楽しかったですね。

天海:あと再撮と言っても、なんだかんだ以前撮ったのは2年前。みんな2歳も年を重ねているから大変なわけですよ。体格が変わった人もいるもんね?(笑)

塚地:僕はこの2年間で体重が10キロぐらい増えてて。再撮ですからもともと撮ったシーンも流れているんですよ。屋外の場面は痩せてて、室内では太ってて、次の場面ではまた痩せているみたいな。観客の方にはそこも探していただけたら……(笑)。 

一同:笑い

田中:すぐ探せたよ!(笑)

塚地:みなさん、気付かないと言ってくれるけど、僕に注目してくれる人は分かってくれるんですね!? いや、分かってくれるって、決して喜ばしいことじゃないですけど(笑)。

田中:横を向くと分かるんだよ。「おー! 痩せてる」と思って(笑)。

天海:現場で「横を向くな」って言われていたじゃない?(笑)

塚地:言われていました。あと、ネクタイの幅を大きくして、締まらないのをバレないようにしてくださったりね……(笑)。

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再撮は「あ、こんなに見え方が変わるんだ」

新たに内閣総理大臣役として石丸幹二さんを迎えた

ーー再撮では、総理大臣役として新たに石丸幹二さんを迎えました。演じるみなさんから見て、石丸さんが総理を演じたことによる作品への影響は?

天海:今回は取調べ相手が内関総理大臣という日本のトップで、キントリ至上最も強大な敵です。私は石丸さんと初めてお芝居させていただくので、石丸さんがのびのびと演じていただけるようにどんと構えないといけないなと計算しつつ演じました。私たちは一緒にお芝居をしているから、演じる方が違うだけで「あ、こんなに見え方が変わるんだ」というのをあらためて感じましたね。

塚地:うんうん。同じ内容の脚本でも、演じる人の個性によって「全然違うものになるんだ」って。

小日向:印象がガラッと変わったもんね。全く違うタッチになった。

でんでん:それで言うと、作品の内容も2年前よりタイムリーで、面白いと思ってもらえるんじゃないかな。

天海祐希「私の12年間の“座長”ぶりはどうだった?」

そろって笑顔を見せるキントリチーム

ーー最後に天海さんのファンとして1つ質問させてください。天海さんは“座長”として「キントリを背負っていく」という強い思いを持たれている印象です。天海さんと言えば“かっこいい女性”というイメージですが、やはりキントリシリーズの“座長”という立場にはプレッシャーも感じられているのでしょうか?

天海:言葉が悪いですけど、これだけの偉い方たちを“従えて”、自分が真ん中に立たなきゃいけないことのプレッシャーはすごく大きいんですよね。だって、いろんな現場を経験されていて、いろんな役者さんともお芝居されていて、いろんな作品を背負わせている方たちだから。

 「もっとちゃんとしなきゃいけないな。しっかりしなきゃいけないな」と思いつつ演じています。そうすると「怖い」って言われるけど(笑)。

一同:笑い

天海:みなさん、どうですか? 私のこの12年間の“座長ぶりは?

小日向:申し分ないんじゃないですか?

田中:本当に申し分ない。

でんでん:申し分ないよ。

塚地:そうですよ!

天海:本当ですか?

田中:天海さんじゃないと、こんなに続いてないかも。

小日向:全然違うものになってるよね。天海さんじゃない人が、もし真壁を演じていたらどうなっていたんだろうね……?

天海:いやいや、誰でもできるんですよ(笑)。何度も言っているんですけど、「緊急取調室」というコンテンツがあるから、メンバーを変えてもできるじゃないですか? 梶山はそのままで(笑)。

一同:笑い

天海:だって、「相棒」を考えてください。相棒は変わっても、水谷(豊)さんはずっといらっしゃいますから。

田中:うーん。でも、キントリは真壁なくしては成立しないでしょ。

天海:新しいメンバーを育てればいいわけですよ。真壁もキントリに連れてきたのはあなただから(笑)。

田中:いやいや、それは設定だから! 俺の責任じゃないよ(笑)。

メンバーとともに歩んできた12年間の集大成

 中学生のころから天海さんのファンの筆者にとって、天海さんは言わば「憧れの人」。当日はそんな天海さんはもちろん、田中さん、塚地さん、でんでんさん、小日向さんというそうそうたるメンバーを前に、筆者はすっかり緊張しきっていました。それこそ、取材前に中学生のころから天海さんのファンだと明かしたときは、思わず手が震えてしまったほどでした。

 そんな筆者に対して、天海さんは「(憧れの人とは)直接会わないほうがいいと思います(笑)」と場を和ませてくれたり、“座長”としてキントリメンバーに話を振ってくれたり、別れ際に「末永く応援してください」と筆者に笑顔を向けてくれたり、たくさんの気配りをしてくれました。実際に会って天海さんのイメージが崩れるどころか、むしろこれまで以上にファンになったと言って良いでしょう。

 天海さんが取材時に繰り返し口にしたのは、“座長”を務めるキントリへの思いです。メンバーとともに歩んできた12年間を振り返り、天海さんは「みなさんとご一緒できて、本当にありがたい12年間でした」としみじみと語っていました。そんな天海さんをはじめキントリメンバーの思いが詰まった、シリーズ12年間の集大成――劇場版「緊急取調室 THE FINAL」は12月26日から全国公開されます。

劇場版「緊急取調室 THE FINAL」

12月26日(金) 全国公開
・脚本:井上由美子
・監督:常廣丈太
・音楽:林ゆうき
・出演:天海祐希 田中哲司 速水もこみち 鈴木浩介 大倉孝二 塚地武雅 比嘉愛未 野間口 徹 工藤阿須加 中村静香 生島勇輝 丸山智己
 佐々木蔵之介 石丸幹二
 勝村政信 徳重 聡 山崎 一 平泉 成 小野武彦
 杉咲 花 眞島秀和 草刈正雄 でんでん 小日向文世
・主題歌:緑黄色社会「さもなくば誰がやる」 (ソニー・ミュージックレーベルズ)
・配給:東宝
公式サイト

(C)2025劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会

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