自宅の庭にあるビオトープで、大きなヤンマ系のヤゴを発見。どんなトンボのヤゴなのか確かめるべく、羽化させてみた様子を収めた動画がYouTubeに投稿されました。動画は記事執筆時点で、8万回以上再生されています。

ビオトープのヤンマヤゴ、羽化させてみたら想像以上だった

 動画が投稿されたのは、メダカやヌマエビなどの水辺の生き物の様子を発信しているYouTubeチャンネル「庭の池チャンネル」。投稿主さんはコロナ渦をきっかけに、45年ほど前に捕まえた庭の池のメダカと向き合うようになったそうです。

 今回はメダカとヌマエビが暮らすビオトープに姿を現した、大きなヤンマ系のヤゴを羽化させてみるようで……?

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ビオトープで大きなヤゴと羽化中のヤゴを発見

 ある日、メダカとヌマエビのビオトープで大きなヤンマ系のヤゴを発見した投稿者さん。その体長は5センチ超と、春先に見つけたときよりさらに大きくなっていたそうです。

 ビオトープにヤゴがいたら、メダカが食べられてしまうのでは? と思う人もいることでしょう。しかしヤゴのハンターとしての能力は意外と低く、見ていて気の毒になるくらいどんくさいため、俊敏な黒メダカが捕食されることはほぼないのだといいます。

ビオトープで大きなヤゴを発見

 また別の日。投稿者さんがビオトープを見に行くと、小さなヤゴが羽化していました。羽化中は外敵から逃げることができないため、多くのヤゴは外敵の少ない夜中に羽化をはじめて朝方には飛び立ちます。しかしすでに日は高く、昼に近い時間であることから、鳥などの外敵に見つかれば一瞬で連れ去られてしまう状況です。

別の日、小さなヤゴが羽化していました

 1時間後に様子を見に行くと、羽化中のヤゴは強風にあおられたのか、水面に落ちてしまっていました。そこで即座に救出し、いったんプラケースの中に避難させることに。全身が濡れてしまっていますが、乾けば無事に飛び立つことができるのでしょうか……?

 しばらくするとトンボはすっかり乾いていましたが、羽が完全にくっついてしまっています。はがせば飛べるだろうかと思ったものの、手ではがすとやぶれてしまいそうだったのだとか。そこでピンセットを使って慎重にはがすと羽は開きましたが、どうにも飛ぶことができないようです。

乾きましたが、飛ぶことができない様子

 その後ティッシュに水を含ませて与えてみたり、栄養補給のためにブドウ虫を与えてみたりと手を尽くしましたが……トンボは見向きもせず、翌朝には死んでしまいました。死んだトンボを外の植木鉢に置いたところ、ヒヨドリが一瞬でさらっていったとのこと。不自然な羽化の時間や水に落ちていたことなどを考えると、このトンボは鳥の生きる糧となる宿命だったのかもしれません。

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ヤゴを羽化させる

 投稿者さんはその後、ビオトープで大きなヤンマ系ヤゴを捕獲。毎年羽化した抜け殻は見ていて、ヤンマ系のヤゴであることはわかるものの、日本にはヤンマ科のトンボが23種類もいるそうで、どんなトンボのヤゴなのかはこの時点では分かりませんでした。そこで実際にどのようなトンボになるか確かめるため、部屋で羽化させてみることに。

ビオトープにいる大きなヤゴを捕獲しました

 捕まえたヤゴにミミズを与えてみると、豪快な食べっぷりを見せてくれました。ヤゴは羽化間近になるとエサを全く食べなくなるため、食欲旺盛なこのヤゴは羽化までまだ時間がかかるようです。

 夜になるとヤゴはさかんにアゴを動かし、水中を泳ぐカイミジンコを食べはじめました。ヤゴは獰猛というイメージを持たれがちですが、その狩りは近付いた獲物を狩る「待ち伏せスタイル」なのだとか。ひたすらアゴを動かすヤゴを見つつ、元気な黒メダカは難しいけれど、無心で藻を食べるヌマエビがうっかりヤゴに近付いたら、狩りの成功率は高いだろうと思っていたそうです。

食欲旺盛です

 翌日。ビオトープでもう1匹ヤゴを捕獲し、こちらも羽化させることに。いつ羽化してもいいように、飼育容器には登り棒をセットしておきます。数日後には1匹目のヤゴが水面から顔を出し、動かなくなっていました。前日から何も食べずこの状態とのことなので、夜に羽化するかもしれません。

翌日にはもう1匹ヤゴを捕獲

 さらに翌日。登り棒には1匹目のヤゴの抜け殻だけが残り、本体はいなくなっていました。室内を探してみると、クロスジギンヤンマのメスかもしれないトンボの姿が。ガラス戸を開けると、トンボは夏の空めがけて飛び去って行ったのでした。

ヤゴが羽化していましたが、本体はどこに行ったのでしょうか
いました! トンボの種類が分かる人がいれば教えてほしいそうです

 その後、残るもう1匹も羽化。こちらは性別不明ですが、どうやらギンヤンマのようです。まだ固まりきっていないのか近付いても飛び立たず、間近でじっくりと観察できたとのこと。美しいトンボが自分のビオトープから誕生したことを喜びつつ、空へと飛び去るトンボを見送る投稿者さんなのでした。しかしこの後、ビオトープに予想外の事態が起きてしまいます。

2匹目のヤゴはギンヤンマでした
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ビオトープにまさかの事態が

 例年このビオトープでは2~3匹のヤンマのヤゴが生まれていましたが、今年は日を追うごとに抜け殻が増えていったそうです。そしてビオトープの規模からすると多すぎる、10匹分もの抜け殻を確認。いつもはたくさんのヌマエビがいる場所にちらほらとしかヌマエビがおらず、さらに稚エビの姿を全く見かけなかったのだとか……。

どうやらヤゴが大量発生、羽化したようです

 ヌマエビの減少についてはヤゴが原因とは限らないですが、ヤゴの影響を受けている可能性は大いにありそうです。ただ自然界でも何かの生き物が大発生し、生体のバランスが崩れることがあるため、仕方がないとは思っているのだとか。今後のヌマエビの増減は、また別途報告するそうですよ。

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「トンボの造型って本当にキレイ」「感動で涙が止まらない」と反響

 動画には、「トンボの造型って本当にキレイですね。色も鮮やかで美しいです」「感動で涙が止まらない」「1匹目はヤブヤンマのメスじゃないでしょうか」「1匹目はマルタンじゃないですか?」「トンボが多いと蚊も少なくなるので、刺される頻度が少なくなったと思えばプラスかもですね……」「すごい。 ギンヤンマなんて、子供の頃に数回しかみたことないのに。 すごい奇麗だし」といったコメントが寄せられていました。

 投稿者さんはYouTubeチャンネル「庭の池チャンネル」に、水辺で暮らす生き物に関する動画を投稿中。淡水のギャング・ヤンマのヤゴの意外な生態についても紹介しています。

淡水のギャング、ヤンマのヤゴの意外な生態
一匹のタマミジンコから100均のエサで室内飼育で増やした記録です
淡水エビがうじゃうじゃ湧く水路【ヌマエビの種類】

画像提供:YouTubeチャンネル「庭の池チャンネル