カブトムシを捕まえに行ったら、予想外の“ヤバイ生き物”に遭遇。捕獲して観察してみた様子がYouTubeに投稿されました。動画は記事執筆時点で4万7000回以上再生されています。

【外来生物】とうとうここまで来たか…外来のカマキリの問題が想像以上にヤバいことになっていた/特徴、判別法、問題点、対策、倫理観について【2025年 秋の昆虫採集】
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“ヤバイ生き物”に遭遇した

 動画を投稿したのは、アクアリウムや昆虫など生き物に関する情報を発信しているYouTubeチャンネル「GoodSonJP」のぐっさん。以前には、木にバナナとパイナップルを使ったトラップを仕掛けたときの様子を紹介しました。

 ぐっさんは今回、カマキリを中心とした昆虫に対する知見を広めるべく、秋の昆虫採集にやって来ました。そのきっかけになったのは、2週間ほど前に遭遇した“ヤバイ生き物”だったようで……?

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秋の昆虫採集

 ぐっさんが目標としている昆虫は、在来種のカマキリ「ハラビロカマキリ」です。この日は9月上旬。まだ路上に現れる時期ではありませんが樹上性が強いため、木の上を探せば見つかるだろうと思っているのだとか。

在来種のカマキリ「ハラビロカマキリ」を探します

 晩夏に発生するセミ「ツクツクボウシ」が鳴く中で歩いていると、樹上にカマキリの姿を発見します。チョウセンカマキリかオオカマキリかと話しながら捕獲してみると、その正体は大型の在来種「チョウセンカマキリ」のメスでした。

「チョウセンカマキリ」を発見しました

 20分後。かなり歩き回っていますが、今のところチョウセンカマキリ1匹しか見つかっていません。気温が35度とかなり高いことから、日が当たらないほうに行ってカマキリを探してみることにします。

 すると、チョウセンカマキリかオオカマキリだと思われるオスがいましたが、あっという間に飛んで逃げてしまいました。まだ生き残っていましたが、実はカマキリのオスはこれからメスと交尾をして、交尾中のメスに食べられてしまう運命にあるそうです。

チョウセンカマキリかオオカマキリのオス、警戒心が強い個体でした

 以前、ぐっさんが交尾中のオオカマキリを発見したときは、オスがメスに顔を食べられてしまっていたといいます。交尾しながら顔を食べられてしまうオスのことを思うと、ちょっぴり複雑な気持ちになってしまいますね……!

 その後、樹上でアブラゼミを捕食しているハラビロカマキリのメスを発見しました。自分とほとんど大きさが変わらないアブラゼミを捕獲して食べてしまうそのパワフルさに驚きつつ、いったん食事が終わるまで待つことにします。

大きなアブラゼミを捕食するハラビロカマキリを発見!
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ハラビロカマキリを探している理由

 ここで、なぜハラビロカマキリを目標にしているのか説明します。ぐっさんは先日、日本にいないはずの“ちょっとおかしなカマキリ”を捕獲したのだそうです。そこで、そのカマキリと比較することを目的にハラビロカマキリを探していました。

 別の木でもハラビロカマキリを発見しましたが、あっという間に逃げられてしまいます。この時点でかなり歩いてしまい、食事中のハラビロカマキリがいた場所まで距離があったため、戻らず先へと進むことにしました。

 採集開始から100分以上経過した辺りで、ようやくハラビロカマキリを見つけました。かなり取りにくい位置にいましたが、なんとか捕獲することに成功。もう少し粘ってみましたが、さらなるハラビロカマキリは見つからなかったため帰宅します。

ようやくハラビロカマキリを捕獲できました
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日本にいないはずのカマキリ

 帰宅したぐっさんは、捕獲したハラビロカマキリと問題のカマキリ「ムネアカハラビロカマキリ」をボトルに入れ、並べて見せてくれました。このムネアカハラビロカマキリは外来種で、2週間ほど前にカブトムシを捕獲しに行った際、クヌギの木にくっ付いていたそうです。

問題となっている外来種の「ムネアカハラビロカマキリ」

 この個体については見た目こそハラビロカマキリですが、とにかく大きいと思ったとのこと。しかし、ムネアカハラビロカマキリはオオカマキリと同じくらいのサイズというイメージがあり、そう考えると少し小さいことから、やはりハラビロカマキリだろうと思ってました。

 違和感が拭えず手に取ってみると、やはりおかしいと感じたそうです。その様子を動画で公開したところ、「ムネアカハラビロカマキリだ」というコメントが多く寄せられました。

 ムネアカハラビロカマキリを初めて見たというぐっさん。持って帰ってきてよかったと思いつつ、心境としては「とうとう来たか」という気持ちを抱いているとのこと。

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見分けるポイント

 ハラビロカマキリとムネアカハラビロカマキリは非常に似ていて、背側から見るとまず見分けがつきません。この2種を見分けるポイントとして、腹側の模様が挙げられます。ハラビロカマキリは黒い模様が三対ありますが、ムネアカハラビロカマキリには模様がなく全体的に赤色をしています。

見分けるポイント1「腹側の模様」

 また、どちらも前脚の「基節」と呼ばれる部分に黄色いイボ状の突起があり、ハラビロカマキリは4つ、ムネアカハラビロカマキリは細かいものがたくさんあるという点でも見分けられるとのこと。

見分けるポイント2「基節の大きさと数」

 とはいえ目立つ違いはこの程度です。背側から見分けることは困難ですが胸部と腹部の比率が少々異なり、ハラビロカマキリは胸部が短く、ムネアカハラビロカマキリは長いそうです。

見分けるポイント3「胸部と腹部の比率」

 体長も異なり、ハラビロカマキリはメスで52~71ミリ、オスで45~65ミリ、対するムネアカハラビロカマキリのメスは59~80ミリ、オスは58~66ミリとなっています。なお、日本最大のカマキリ・オオカマキリのメスは80~95ミリ、オスは70~90ミリだそうです。

かなり大型のカマキリであることが分かります

外来種の問題と対策

 外来種であるムネアカハラビロカマキリの問題点として、在来種との競合が挙げられます。在来種のハラビロカマキリと同じく樹上性の傾向が強いため、エサの取り合いや体格差などによってハラビロカマキリがムネアカハラビロカマキリに滅ぼされてしまうかもしれません。実際に、ハラビロカマキリがムネアカハラビロカマキリに置き換わってしまった地域もあるそうです。

 在来のカマキリを守る手段としては、ムネアカハラビロカマキリを発見したら回収し、野外への放虫を禁じることです。また、ムネアカハラビロカマキリの卵鞘が見分けられる場合は、ふ化する前に回収することも有効な手段になるとのこと。

 ここで、ぐっさんはムネアカハラビロカマキリが外来種だからといって、悪者だと決めつけて残酷に扱うようなことはしないといいます。外来種問題は善悪といった単純なものではなく、さまざまな要素が絡み合ったデリケートな問題だと思っているそうです。

 しかし、在来種を守るためにはきれいごとを言っている場合ではないのも現状。今後ムネアカハラビロカマキリについては見つけ次第回収し、可能な限り最後まで面倒を見るつもりで、とにかく粛々と対処していこうと考えているそうですよ。

「恐ろしいです」「どうしたらいいのやら」と反響

 この動画のコメント欄には「ムネアカが入ってくると本当に2~3年で目に見えて在来が減ってくるので恐ろしいです」「もっと注意して見てみます」「なーんか今増えてるらしいですね」「ムネアカが侵入するとまじで在来のハラビロそこから消えるんすよね……ほんとうにどうしたらいいのやら」「僕の住む地域でもムネアカ見かけるので、積極的に捕まえようと思います」「20年前はハラビロカマキリしかいませんでしたが、最近はムネアカしかいません。見るたびに子供のころ捕まえていた種が見れなくなるのは寂しい限りです」「外来種もただ生きてるだけですからね」とさまざまな声が寄せられています。

 ぐっさんは、昆虫や釣り、アクアリウムなど生き物に関する動画をYouTubeチャンネル「GoodSonJP」で公開中です。また、X(@goodsonjp4649)でも情報を発信しています。

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動画提供:YouTubeチャンネル「GoodSonJP

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