ねとらぼ
2025/11/03 21:15(公開)

ちりめんじゃこに混入して話題になる“稚魚”→大量に捕獲したら…… 興味深い結末に「気になっていた」「難しいですね」

 しばしばちりめんじゃこへの混入事故が発生し、ニュースになることがあるフグの稚魚。そんなフグの稚魚を実際に食べ、本当に有毒なのか確かめた結果がYouTubeで話題です。動画は「いつも気になっていた」「勉強になる」と注目を集め、記事執筆時点で55万回以上再生されています。

シラスに混入禁止の猛毒フグの稚魚、本当に毒なのか食べて確かめる
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水産関係者を悩ませるフグの稚魚

 動画を投稿したのは、山の幸や海の幸を日本各地で採集して食べることを趣味としている茸本朗(たけもと・あきら)さんのYouTubeチャンネル「野食ハンター茸本朗ch」。以前には、いま日本で一番ヤバい害獣を狙いに行く様子が話題となりました。

 今回は、シラスに混入して水産関係者を苦しめる「フグの稚魚」をハントし、実際に食べてみるようで……?

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「あんなもん食ったっていいやろ」

 茸本さんはこの日、灼熱(しゃくねつ)の海岸にやって来ていました。すると、ガイドをお願いしていた、この地域の自然・生き物に詳しい冨田さんが、先ほどクサフグだと思われるフグの稚魚を見かけたとのこと。体長は1センチくらいだったと話していると、茸本さんが突如「逆にそれ食べたいかも」という衝撃的な申し出をします。

 冨田さんが驚いていると、スーパーで販売しているシラスの中にフグの赤ちゃんが混入し、全商品回収となって大ニュースになるという事例を挙げた茸本さん。そもそも体長1センチほどの小さなフグに毒はあるのか、と思っている人も多いのではないかと問いかけます。

フグの稚魚100%の「フグめんじゃこ」を作りたいとのこと
フグの稚魚100%の「フグめんじゃこ」を作りたいとのこと

 そこで、冨田さんの後輩でスーパーの鮮魚担当・相馬さんに話を聞いてみることにしました。相馬さんによるとフグは選別機を通り抜けてしまうため、基本的に手作業でないと取り除けないという、鮮魚担当としては「厄介オブ厄介」な存在なのだそうです。

 茸本さんはそういったニュースを見るたびに心を痛めていて、いち消費者の立場から「あんなもん食ったっていいやろ」と正直言いたくなるのだとか。そんな背景からフグの稚魚を食べてみたいと思っていた……ということで、フグだけのちりめんじゃこ「フグめんじゃこ」を作って食べるべく、フグの稚魚をハントしに行きます。

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フグの稚魚をハントする

 フグの稚魚をハントするべく、場所を変えると早々にターゲットを発見。網ですくってみると、ちょうどちりめんじゃこに混じりそうなサイズ感の稚魚を捕獲できました。

フグの稚魚、すぐに見つかりました
フグの稚魚、すぐに見つかりました

 相馬さんによるとフグは選別したくないですが、法律的には全部取らなければならないという決まりになっているのだとか。実際フグの稚魚に毒成分がどのくらい含まれているか、何匹いたら致死量になるのかといった研究が全くされないまま、非常に労力がかかる回収や選別をせざるを得ないのが現状とのこと。そのためスーパーなどで販売されているちりめんじゃこには、どうしても選別の人件費が乗ってしまうのだそうです。

 実際にはフグの稚魚が1~2匹混じったところで大きな健康被害が出るとは考えづらく、選別の技術や消費者の考えが緩かった昔は、特に気にすることなく食べられていたものと思われます。

かなりの数がいるようです
かなりの数がいるようです

 そんな話をしながらフグの稚魚を探して歩いていると、群れはいるけれど警戒心が強いのか人が近づくとあっという間に逃げてしまいます。普段スーパーの従業員が必死で取り除いているフグの稚魚を必死でハントしているという、真逆の行為をしていることに思わず笑ってしまう一同なのでした。

 その後、夜にも海をのぞいてみると、たくさんの稚魚が泳いでいました。網ですくった稚魚がぷくぷくと膨らむ姿を見ると、小さくとも間違いなくフグであることが分かります。大小さまざまなサイズがいましたが、混入しなさそうなサイズは逃がし、混入しそうなサイズのフグだけ持ち帰りました。

小さくてもぷくぷくと膨らむ姿はまさにフグですね
小さくてもぷくぷくと膨らむ姿はまさにフグですね

 ハントしたフグの稚魚を見つつ相馬さんに話を聞くと、現在の選別機は非常に優秀であり、選別機にかけたちりめんじゃこは20キロにフグの稚魚が1~2匹混じっている程度なのだそうです。

これほどの量が混入することはありえないそうです
これほどの量が混入することはありえないそうです

 なお、茸本さんはフグの稚魚を食べるにあたって「前例がない」という忠告を受けているとのこと。あくまで自己責任でこのくらいなら大丈夫だろうという量を食べ、「フグが少々混入したくらいでは死なない」ことを体を張って証明したいとのことですが、果たして……?

フグめんじゃこを作って食べる

 持ち帰ってきたフグは全てクサフグの稚魚のようです。クサフグは食用として人気のあるトラフグに近い仲間であり、大きくても10数センチと小さいため、あまり食用にされることはありません。ただ、サイズに対して含まれるフグ毒・テトロドトキシンの量が多い猛毒フグであり、1匹で2~3人が死んでもおかしくないという強烈な毒性を持つそうです。

クサフグの稚魚を調理していきます
クサフグの稚魚を調理していきます

 クサフグは通常食用にされず、食用にされても丸ごと食べられるフグではありません。しかし、今回は“ちりめんじゃこに混入する場合”を想定しているため、丸ごと食べるつもりとのこと。

 クサフグについて説明をしつつ、80度ほどに温めた3%の食塩水にクサフグの稚魚を入れ、ゆっくりと火を入れました。火が通ったら、干す代わりに軽く水分を飛ばして実食します。

 火が通ってくると、フグの体が破れて肝臓が見えてきました。フグは肝臓と卵巣が最も毒が強いため、肝臓は猛毒の塊ではありますが……茸本さんは今回勝算があるため肝臓も丸ごと食べていくつもりでいるようです。

グの肝臓には毒がありますが……?
フグの肝臓には毒がありますが……?

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