2025/11/02 19:00（公開） 
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伝統的な技術と独自の世界観を持つ日本画家が描く「燃え上がる炎のような花」のメイキング動画がYouTubeに投稿されました。見る者を引きつける大作の制作風景に感動する声が上がり、記事執筆時点で3万5000回以上再生されています。
和紙に岩絵具や銀箔を使って描く
メイキングを公開したのは、日本画家の日月美輪（ひづきみわ／@hidukimiwa）さん。主に岩絵具を使ってさまざまな花を題材にした作品を制作しており、以前には「大輪の牡丹の花」を描く動画が話題になりました。
日本画で使われる岩絵具は、主に鉱石を粒子状にして作られる顔料。通常の絵の具と比べると紙に染み込まず、表面にのせて着色する点や、そのものがキラキラときらめくといった特徴があります。描写の際には紙に定着させるための“にかわ液”と混ぜて、指で丁寧に練って使います。
動画は、フレームに固定した和紙（115×115センチ）に線画を転写して、筆で墨入れする様子から見始まります。表面にたっぷりの水分をのせ、溶いた4色の岩絵具を大胆に筆で飛ばすように散らしてから、和紙を傾けて表面に広げていく日月さん。複数の色がにじんで混ざり、なんとも幻想的です。
立体的に見せる技法
乾かしたあとは、やや暗めの色を一部にのせました。次に白い顔料の胡粉（ごふん）を溶くと、線画の一部を墨入れするように塗ったり、ひし形といった図形を描いたりと、印象的な模様を立体的に盛り上げて描きます。
その上から、色を変化させた銀箔を貼り重ねていきました。白色は見えなくなりましたが、形を立ち上がらせた“盛り上げ”によって銀箔に模様が浮き出ており、一気に味わい深い仕上がりになりました。
背景を黒色に塗ると、銀箔にも模様に影を入れるように黒を乗せていきます。色を塗る際は、基本的に2本の筆を使い、彩色筆で色をのせたあと、水を含ませた隈取筆（くまどりふで）でなぞってぼかして表現していきます。
花びらとしべを立体的に
色をのせて乾かして色を重ねて……を繰り返し、だんだんと暖色系の花が姿を現しました。燃えるような赤色をのせたら、花びらのフチなどを胡粉の白で彩色すると、より立体的でやわらかな印象の花びらが出来上がってきます。
花のしべは、先ほどの白よりも固めに溶いた胡粉をのせて存在感を出し、さらにその上に橙色や黄色をのせて仕上げました。
いよいよ最後の工程へ。にかわ液を引いて、竹製の筒（砂子筒）を使って細かくした金箔を上からふりかけ、花のまわりに“光”をちりばめていきます。少し大きな金箔の場合は筆を使って貼りました。
美しく力強い絵が完成
そうして完成した“燃え上がる炎のような花”の絵は、「《焔》」と命名。こちらは世界三大花木の1つである「カエンボク」というノウゼンカズラ科の植物をモチーフにしており、名前の通りの炎を思わせる花が和紙の上で見事に表現されています。
まるで不死鳥のような力強さが画面越しでも伝わってくる大作は、同時に心象風景の空間に咲いたような神秘的な印象も受け、さまざまな意味の“焔”を感じる世界観に引き込まれます。
「宇宙に煌めく太陽みたい」「信じられないほど素晴らしい」
動画には、「ホントに炎のようですね、素敵」「炎舞のような、焔のかっこよさみがある」「宇宙に煌めく太陽みたいですね」などの声が寄せられ、海外ユーザーから「信じられないほど素晴らしい」「本当に美しい芸術作品」などの声もたくさん上がっています。
なお、こちらの作品は大阪府高槻市の「アートデアート・ビュー」で開催されていた、日月さんの10周年を記念した個展「日月美輪 画業10周年記念個展《月》」のメイン作品として展示していたそうです。そのため、現地で鑑賞したユーザーから「個展で実物を拝見しましたが、鳳凰のように力強くて鮮やかな素敵な絵でした」「いつにも増して大きさもあり、荘厳でした」などの声も届きました。
日月さんは同チャンネルで、四季の花をモチーフにした作品や、アニメキャラクターのファンアートを日本画の技法で描いた作品など、さまざまなメイキング動画を公開中。情報はホームページやInstagram（@hiduki.miwa）、X（Twitter：@hiduki_miwa）でも発信しています。
動画提供：YouTubeチャンネル「日本画家 日月美輪」
