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ライブ会場で「声を出すこと」を禁じられた数千人の大人たち。
彼ら彼女らは何を思い、何を行い、何を行わなかったのか。
「キミとアイドルプリキュア♪LIVE」昼の部。その現場でみた光景をレポートしていきたいと思います。
プリキュアライブが横浜で開催
2025年10月18日、パシフィコ横浜 国立大ホールにてライブイベント「キミとアイドルプリキュア♪LIVE2025 You&I=We’re IDOL PRECURE」が開催されました。
プリキュアのライブ自体は9年目を迎えています。
2025年も例年通り1日2回の公演。13時開演で観客が“ファミリー主体”の「おひさまと一緒に!ニッコリ・公演」(以降「昼の部」。「・」はハートマーク)と、18時開演の観客は大人ファン主体の「おつきさまと一緒に!YEAH・公演」(以降、夜の部。「・」はハートマーク。)となっています。
例年通り「昼の部」は「ファミリー席」が会場前方に配置され、大人のファンは後ろの席に配置されました。
「大人の声出し禁止」は初の試み
さらに今年は、昼の部の「大人の声出しが禁止」がルールに追加されました。
これはコロナ禍のときを除き、9年のプリキュアライブの歴史の中でも初の出来事です。
これまでのプリキュアライブでは「昼の部」でも大人も声を出すことができましたし、大人たちはみんな会場の後方から、大きな声で応援するのが常となっていました。
しかし、その「声の迫力」に小さな子どもたちが圧倒される場面も多かったようです。
さらに本年「キミとアイドルプリキュア♪」は“アイドル”というテーマの性質上「コール&レスポンス」を前提とした曲も多く、例年以上に「コーレス」や「声出し」など大人の挙動が激しくなることも予想されていました。
本年のライブイベントは「テレビアニメとの連動」も行われるなどの力の入れようで、「子どもの推し活」を推奨する本作品においては、絶対に成功させないといけない重要なイベントともなっていました。
そんな状況を考慮し、ファミリー主体の「昼の部」は「大人の声出しが禁止」になったものと思われます(※ちなみにファミリー席の保護者も声を出すことは禁止されていたため、声を出せるのは本当に「子どもたちだけ」という形となっていました)。
今回導入されたルールは、まさに「子どもが主役の空間を守るため」の施策だったと言えるのかもしれません。
「声を出さない」会場に満ちた静かな熱気
自分はこの日のライブは昼夜2公演とも参加しました。
お昼の公演は、キャパ約5000人の会場がほぼ満員。
パシフィコ横浜1階の前半分がファミリー席、1階後ろ半分と2、3階席が大人の指定席となっていて、お客さんの構成的には「ファミリーと大人ファンが半々」といった感じでしょうか。
ライブが始まります。
テレビアニメの映像からスタートし、「このライブはアニメの続きですよ」ということを子どもたちに印象付けます。そしてオープニングソング「キミとアイドルプリキュア♪ LightUp!」がスタート。1曲目からずっと子どもたちは大盛り上がり。歓声とライト、うちわやぬいぐるみを持って応援しています。
そんな中、どれだけコーレス(コールアンドレスポンス)を入れたい場面でも大人たちは拍手とライトで応援。一切の声を出しません。歓声すらあげません。
キュアアイドル役の声優・松岡美里さんの「盛り上がってるーー!」の煽りにも子どもは歓声、大人はその声を包み込むように、拍手とライトで応えます。
各プリキュアのステージ曲など「コーレスを前提とした曲」が続く中でも、大人たちは決して声を出しません。
ステージでは、踊るプリキュアと、歌う声優さんとシンガーたち。そこに子どもたちの歓声。大人の拍手はその後ろでリズムとなり、会場全体を包み込みます。
もちろん小さく声を出している大人はいたのかもしれないけど、少なくとも会場に響く様な大きな声は一切ありません。
大人の観客はせいいっぱいのライトと拍手で無言の応援を貫きます。
「声が出せない」という制約が、逆に会場全体の大人を一つにしたような空気を生んでいました。
ただ1カ所だけ、中盤「ひろがるスカイ!プリキュア~Hero Girls~」のイントロが流れた瞬間だけは、思わず数千の大人の「おおお……」と低いうなり声が響いたのはご愛敬。あれは、まあ仕方ない。
MCでも子どもたちを主役に
MCは昼の部のライブらしく、声優さんたちと子どもたちの掛け合いが楽しい。
キュアウインク役・高橋ミナミさん(高ははしごだか)の「大好きなプリキュアを教えて」という声に、子どもたちは大きな声でそれぞれ大好きなプリキュアの名前を伝えます。その声がずっと鳴りやまず、その情熱に声優さんたちが圧倒される場面も。
キュアアイドル役の松岡美里さんの「キミとアイドルプリキュア~」に大きな声で「大好きーー!」と返す子どもたち。まさに「子どもたちが観客の主役」のライブとなっていました。
こういうとき、一人くらいはふざけて声を出す大人もいそうなものなのに、彼ら彼女らは決して声を上げずに、ひたすら拍手で子どもたちを見守ります。
シンガー・吉武千颯さんの、(大人しかいないことは分かっているであろう)「2階席ー3階席ーのキラッキランランズーー!」という煽りにも、決して声を出さす拍手と光の波で返す。そんなステキな光景が見られたのです。
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