53年前のボロボロな自販機に、350円を入れると……　飛び出した“まさかの商品”に「こういうのでいいんだよ」「良すぎやろ…」

　茨城県で長年稼働している、古びた自動販売機がX（Twitter）で注目を集めています。持ち主には本当に申し訳ない言い方になってしまいますが、買うのに勇気がいりそうなほどにボロボロです。

知る人ぞ知る「あらいやオートコーナー」のお弁当自販機

　話題のきっかけは、廃墟写真家のtoshibo（@JIYUKENKYU_jp）さんが投稿した動画。霞ヶ浦周辺の取材中、稲敷市の「あらいやオートコーナー」に立ち寄ったときのものでした。

　ここは自販機だけで食事を提供している店舗。話題の機械は無味乾燥で商売っ気がなく、ただボタンに「やきにく弁当」「ひれかつ弁当」などと商品名が書かれていて、かろうじてお弁当を売っていると分かります。

　筐体は傷みが激しく、ところどころに補修の跡。「500円入りません」「500円玉つかえません」「お金はゆっくり入れてください」「10円 50円 100円で」「500円だめ」「商品はその都度取り出してください。機械のトラブルになります」「電子レンジ使用不可」などと、あちこちへ入念に貼られた注意書きがその古さを物語ります。ちなみに、始めて500円硬貨が発行されたのが昭和57年（1982年）――少なくとも半世紀近くは動いていそうです。

自販機に350円を入れると……

　これだけ注意されると、コインを入れるだけでも緊張が走りそうなところですが、toshiboさんは焼肉弁当を購入決定。おそるおそる代金の350円を投入すると、手作りのお弁当がゴトリと音を立てて出てきました。

シンプル・イズ・ベストなお弁当に反響

　封を解いてみると、中身はシンプルに「肉と飯とつくだ煮」。飾り気こそないものの、食欲をそそるド直球な構成で、箸がマッハで進みそうです。

　シンプル・イズ・ベストを地で行くようなお弁当は、約330万回表示されるなど広く拡散。「良すぎやろ…」「こういうのでいいんだよこういうので」「いつまでも現役であってほしい」「こういう物に巡り会ってメシを食うのも旅の醍醐味」などと、大きな反響を呼びました。

　なかには「隣の厨房から日に何度も補充されるので、いつもおいしいです」との報告も。お弁当は自販機に入れっぱなしというわけではなく、少しずつ作って供給しているようです。いろいろと気になる営業の詳細について、ねとらぼ編集部はあらいやオートコーナーの店主を取材しました。

機械の調子は？　売れ行きは？　店主にいろいろ聞いてみた

――　自販機にはだいぶ年季が入っているように見えますが、いつごろから営業されているのでしょうか

店主　営業開始は昭和47年（1972年）で、もう50年以上稼働していることになりますね。父が始めた店ですが、現在は息子の私が引き継いでいます。

――　機械の調子はいかがですか？

店主　たまに故障して2〜3日休むこともありますが、おおむね問題なく動いています。

――　普段の売れ行きはいかほどでしょうか

店主　天気やお客さんの数を見ながら作っているので一概には言えません。あくまでも目安ですが、平日は100個、休日は200個くらい作っています。

――　営業時間について教えてください

店主　以前は24時間営業でしたが、今は朝8時から始めて、売り切れ次第終了としています。早い日は14時には売り切れることもあります。

――　貼り紙に330円から350円へ値上げした経緯がありましたが、売れ行きに影響はありましたか？

店主　特に変わりはありませんでした。お客さんからも「仕方ないよね」「400円でも安い」といった声をいただいています。年内はこの値段を通すつもりですが、もしかしたらまた値上げを余儀なくされるかもしれません。

――　お弁当へのこだわりをお聞かせください

店主　お米は国産ですし、食材も地場のものを使っています。お肉は甘じょっぱくごはんが進む味付けにと、私自ら作っています。

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　最後にXでの反響について聞いたところ、店主はネットを見ておらず、何も把握していないとのこと。それでも、「こうして話題になっているのは光栄でうれしく思う。お口に合うかわかりませんが、近くにきたときはぜひ味わってもらえるとうれしいです」とコメントしています。

画像提供：toshibo（@JIYUKENKYU_jp）さん