ねとらぼ
2025/11/13 20:55(公開)

猟友会所属の錦鯉のプロ「今年のクマは異常」「毎日来る」 クマの逆鱗に触れたのか……? リアルな被害の光景に驚き

 山形県で錦鯉の生産・販売を行う“錦鯉のプロ”が語る、今年のクマの行動やその被害が一目で分かる動画がYouTubeに投稿されました。動画のサムネイルには「毎日来る」とテロップが入っており、記事執筆時点で1万2000回以上再生されています。

クマの被害のリアルな光景

 動画を投稿したのは、山形県長井市にある「塩田養鯉場」で、錦鯉の販売や池の施工を手掛けている塩田敏弘さん。以前は野池の水をパイプから全部抜き、錦鯉を回収していく様子を見せてくれました。

 今回は錦鯉の仕分けをしつつ、今年は異常に増えているという、リアルなクマの被害について話してくれるようです。

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錦鯉のプロが畑に行くと……

 動画はまず、錦鯉の仕分けを行う場面からスタート。池の中を泳ぐ錦鯉を追い込み、網ですくうその手さばきは「お見事」の一言です。その後は重機を使って新しく池を作る様子を見せつつ、池の構想についても話してくれました。

錦鯉の仕分けを行います
錦鯉の仕分けを行います
鮮やかな手つきです
鮮やかな手つきです
美しい……!!
美しい……!

 作業の後、畑へとやってきた塩田さん。最近は全国各地でクマの被害が問題になっていますが、塩田さんは猟友会に入っているため、狩猟期間になればクマを獲りに行くこともあるそうです。

 そんな塩田さんは「今年のクマの量は異常だ」と話しつつ、まず畑に転がっている容器を見せてくれました。この容器は生ごみなどを入れておき、たい肥を作るコンポストですが、クマにひっくり返されたと見られるとのこと。

コンポストがひっくり返っていました
コンポストがひっくり返っていました
クマの存在がかなり身近なことが伝わってきます
クマの存在がかなり身近なことが伝わってきます

 そのほかにも、クリや熟したカキを食べられてしまっているとのこと。ここにあるカキは渋いため好んでは食べないけれど、食べ物が少なくなってくると、クマは腐ったカキでも食べ始めるそうです。

クリやカキも食べられてしまっているそうです
クリやカキも食べられてしまっている
塩田さんの話を聞くと、クマが味にもこだわることがわかります
塩田さんの話を聞くと、クマが味にもこだわることがわかります
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生々しいクマの被害

 塩田さんは続いて、農機具を入れていたというビニールハウスを見せてくれました。このビニールハウスはもともと手つかずの状態だったそうですが、壁となるビニールの部分に無数の大きな穴が開いていることがわかります。

ビニールがボロボロになっていました
ビニールがボロボロになっていました

 実はこの穴は自然と開いたものではなく、塩田さんによるとクマが開けたものなのだとか。何かがクマの逆鱗に触れたのか、あるいはただ穴を開けることが楽しかったのか……詳しい理由は不明ですが、ビニールはバリバリに破られ、壁の役目を果たせなくなっていました。

穴を開けた犯人はクマなのだとか
穴を開けた犯人はクマなのだとか

 ビニールをじっくりと見てみると、一番上は成人男性の背丈よりも高く、手を伸ばしてようやく届くくらいの位置まで大きな穴が開いています。もしかすると、クマにとっては人間の子どもが障子に穴を開けたり、破いたりするような楽しさがあったのかもしれません。

かなり高い位置まで手が届くことがわかります
かなり高い位置まで手が届くことがわかります
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狩猟や駆除の現実

 猟友会に入っている塩田さんはクマが出たり、罠にかかったりすれば集まり、協力することがあるそうです。しかしそれらの活動はほぼボランティアであり、その分狩猟税が安くなったり免除されたりといった、少しのメリットがある程度なのだとか。

 その程度で異常なまでに増えたクマと「戦ってください」「捜索してください」といわれても割に合わず、仕事をしていた方がいいと、正直な気持ちを吐露した塩田さん。しかし今年のクマの数は異常であり、行政なり国なりが何か対策を打たなければ待ったなしの状況ではあるのだといいます。

 昔はクマが出たらその痕跡を血眼になって探しに行き、喜んで獲りに行く人がいたそうです。しかし今は血眼になって探すまでもなくクマがいる上に、獲りに行く人が少ないのが現状なのだとか。

 また実は狩猟免許を持っていても、狩猟ができるのは狩猟登録をした都道府県に限られ、他県で狩猟をする場合は別途あらかじめ狩猟者登録を行い、狩猟税を納める必要があるとのこと。そういったルールがあることから、狩猟者登録をしていない都道府県に出向いてクマを獲ることはハードルがあるようです。

 塩田さんは狩猟人口が増えているのでそういったくくりをなくし、登録さえすれば全国どこでも狩猟ができるようにして、山が近くにない都会の人も全国で狩猟ができるようになるといい。狩猟を活性化させてどんどん狩猟をしてもらい、地元の人はガイドを請け負うなどのビジネスが発展し、技術を覚えたり交流したりする機会が増えるといいと自論を話しました。

 さらにジビエの処理に関する技術や知識も広まり、動物たちの肉を処分ではなく、活用できるようになるといいとも思っているとのこと。そしておいしいジビエ肉をレストランなどで使ってもらい、やがて害獣被害がなくなる方向に進めば……と考えているそうです。

 なおジビエは、獲る時期を間違えず、獲った後に適切な処理をすればおいしく食べられるのだとか。しかし一度味が落ちたものを食べると「ジビエはおいしくない」といった印象になってしまうため、自分は鯉屋ではあるが、今後そういった知識も一般の人に広めていけたら、と思っているそうですよ。

最強戦士です」そんな田舎も好き」と反響

 動画には、「クマ、釣り、アユ、シカ、錦鯉最強戦士です」「すごい池の建設が進行中ですね 完成が楽しみです」「昔の人ほど処理が適当で臭い! 納得笑。しかもこの匂いがしないと食った気しないと喜ぶ。そんな田舎も好きだ笑」といったコメントが寄せられていました。

 塩田さんのYouTubeチャンネル「泳ぐ宝石錦鯉TV Koi Japan」では、錦鯉生産、庭園、造園、濾過(ろか)槽のシステムの解説の他、錦鯉の魅力を初心者の人にも分かりやすく紹介しています。

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画像提供:泳ぐ宝石錦鯉TV Koi Japan(@koifish1)さん

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