【連載:サラリーマン、プリキュアを語る】「スーパー戦隊」が「ギャバン」に代わる時代です。同じニチアサの「プリキュア」はどうなっていくのでしょうか?
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アニメ本編がCMと一体化。「配信時代のプリキュア」に
もう一つのポイントは、「アニメ本編と商品プロモーションの一体化」です。
近年のプリキュアは、テレビCMだけでなくアニメ内で商品を紹介することが増えてきています。
これは玩具のCMが流れない配信プラットフォームでも子どもたちに商品を認知させるためだと思われるのですが、今作はその点が非常に巧みなのです。
応援するシーンでは必ず玩具「キラキライト」を持っていたり、プリルンのムービー玩具を物語のキーにしたり、劇中の「ファンクラブの会員証」を実際に発売されている玩具で作ったりと、商品を作中で魅力的に使用します。
もちろん、そういった要素はこれまでのプリキュアでもあったのですが、同作はその量も多く見せ方も秀逸で、子どもたちはテレビCMを見なくても自然に関連商品が認知できる仕組みが構成されています。
そういった意味では「キミとアイドルプリキュア♪」はまさに「配信時代のプリキュア」となっているのです。
(個人的には、後半の決め技の歌「キミとシンガリボン」のときのキュアズキューンとキュアキッスが「右手にリボンバトン、左手にショータイムマイク」という「販促アイテム両手持ち」で歌って踊る、というのはなかなかすごいなと思いました)。
さらに、実際のライブイベントとの連動や、男子プリキュアの舞台作品「Dancing☆Starプリキュア The Stage」とのコラボレーションもアニメ本編で行われ、「アニメ」と「関連商品」と「イベント」がそれぞれ連動し、相乗効果で全体の売り上げにつながっているのです。
複数ラインによるプリキュアブランドの拡張
3つ目の要因としてあるのが、複数ラインによる「プリキュアブランドの拡張」です。
プリキュアの売り上げを構成するのは「現行作品」だけではありません。
現在放送中の「キミとアイドル!プリキュア♪」に加えて、キャラクターコンテンツ「ぷちきゅあ」や、大人層をターゲットにした「オトナプリキュア」のイベント、グッズ展開など、複数のラインが同時に稼働することにより売上を伸ばしています。
「ぷちきゅあ」はテレビ本編とは独立した世界観で展開されるキャラクターコンテンツとして、また「Yes!プリキュア5GoGo!」や「魔法つかいプリキュア!」の続編として制作された「オトナプリキュア」シリーズは、アニメ放送終了後もかつてのプリキュアファンに向けてグッズやイベントを展開し、これらがプリキュアブランド全体の底上げにつながっているのです。

またプレミアムバンダイでの「過去作の変身アイテムの大人豪華版」の発売、専門ショップ「プリキュアプリティストア」では毎月のようにグッズ類が発売され、食玩ではコレクター需要の高い「カードウエハース」など、大人も欲しくなるグッズ類が複数展開されるなど、多層的な商品展開も進行しています。
少子化が進む中「新規大人層」や「かつてのファン層」など複数の層を同時につかむことでブランド全体を太くし、売り上げの増加につなげているのです。

少子化時代のプリキュア戦略
残念ながら、プリキュアといえども「子ども向け市場」は縮小している傾向にあります。
「プリキュアソーセージ」は販売されなくなりましたし、子ども向けの「かるた」や「トランプ」も市場から姿を消すこととなりました。また児童向け書籍『たのしい幼稚園』(講談社)は月刊誌だったのが2022年以降は年6回の発行へと縮小しています。
そんな中、プリキュアは「子ども向けコンテンツ」の枠にとどまらず、世代を超えて多くのファンが楽しむコンテンツへと変革しつつあります。
若い女性層の取り込み、本編と関連商品の高度な連動、そして複数ラインの同時展開という3つの施策が、少子化の中でもプリキュアの売り上げを大きくのばしているものと思われます。
ここ数年のプリキュアは、現行作の拡張と過去の資産を生かす「多層型のファン構造」を育て、ブランドを強化してきました。
「子ども向けアニメーション」を旗艦としながら「多層多様なファンが共存できる作品」へ変革し、この少子化時代を乗り越えていくことに成功しています。
大人向けへの路線変更ではなく、プラスオンでの拡大戦略。
この勢いはこの先も続いていくのではないでしょうか。
来期のプリキュアも楽しみですね。


