「まだ全部手縫いしてるの?」。縫製職人が教える、返し口を閉じる際の手縫いの手間を減らす方法がYouTubeに投稿されました。動画には「目からウロコ」「教えていただかなければ知らずにいた技術」と驚く声が上がり、記事執筆時点で8万4000回以上再生されています。

【職人の裏わざ返し口】手縫いが激減~誰でもできるのに職人しか知らないのはもったいない~既製服のからくり
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返し口を閉じる作業がぐんと楽になる驚きの“ワザ”

 投稿したのは、レディースアイテムを中心にサンプル縫製をしているSenjyuさん。長年縫製を仕事にしてきた縫製のスペシャリストとして、知識や発見したことなどをYouTubeチャンネル「Senjyu工房」にて発信しており、以前には自身も長年知らなかったという「ロックミシンのほどき方」を紹介して話題になりました。

 今回は、裏地付きのアイテムを作る際に必要となる、返し口の閉じ方についてのアイデアを紹介。プロの現場で使われる“ワザ”とのことですが、裁縫初心者でもできる方法となっています。

 動画では、総裏仕立てのひざ掛けの作り方を例にして解説しています。用意したのは、105×75センチのボア生地と、同じサイズのキルティング生地。ちなみにボア生地は、100円ショップで購入したひざ掛けのミシン糸をほどいて1枚の生地にしていますが、特に指定はないので、もし真似して作る際は生地として販売されているもので大丈夫です。

 上記の2枚を中表で重ねて縫い合わせますが、このとき、ひっくり返せるくらいの返し口を開けて周囲をぐるりと縫うのが一般的です。

2枚の生地を中表で縫い合わせたとき、返し口からひっくり返す必要があります

 しかしその場合、今回のように大きくて厚みのある生地だと20センチくらい開けておく必要があり、ひっくり返したあとにその大きな返し口を手縫いで閉じる工程が生まれます。

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「開き」をもうひとつ作る!?

 この面倒な工程を楽にするための方法が、「もうひとつ『開き』を作る」ことです。こちらの“口”は4~5センチくらいで、Senjyuさんは「場所としては隣の辺で、位置はだいたいで大丈夫です」と伝えています。

ポイントは“小さな開き口”の追加

 2つの返し口を開けて縫い代1センチでぐるりと縫ったら、通常の方法と同じように大きな返し口から全体をひっくり返します。それから4~5センチの口から親指と人差し指を入れ、その2本で大きな返し口の縫い代を中からつまみ、小さい口から引っぱり出します。

小さな“開き”から指を入れて……

 すると、20センチの返し口を内側から外に全部出すことができるので、ミシンで閉じることができるようになります。そのための小さい「開き」だったのか……!?

小さな開き口から大きな返し口を出してミシンで縫うアイデアです
20センチあった返し口が見事に閉じられています

 ミシンで縫ったあとに中に戻したら、大きな返し口がきれいに閉じられた様子が確認できました。残った小さな口の方だけ手縫いで閉じる必要がありますが、この長さなら手縫い作業が楽に済みそうです。

 Senjyuさんは「大きなジャケットやコートの裏付きが、どこからひっくり返しているのか疑問に思ったことはありませんか?」と、プロしか知らない“既製品のからくり”についても触れています。こういった職人技が集まって1つの作品が完成しているのですね。

手縫いする距離がぐんと短くなりました!
総裏どんでん始末の返し口~プロだから知ってる情報~お直しにも役立つ
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ひざ掛けにホックを付けて羽織れる仕様に

 上記のひざ掛けは、小さな開き口を閉じたあと、表地と裏地がずれないように周りにぐるりとステッチを入れて完成させています。

 また、Senjyuさんは「モモンガカーディガン」として羽織れるようにするため、ひざ掛けの短い辺の上下にホック(スナップボタン)を付けています。

ホックを取り付ける位置

 短い辺を折るように各ホックを留めると袖口ができて、首すじから肩あたりまで覆ってくれる形に。さらにホックのオス・メスを交差した位置に付けることで、長い辺を筒状に留めることもできるので、腰に巻いて下半身を包むような形でも使えます。

ホックを留めてモモンガカーディガンに
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「技術に脱帽」「目からウロコです」と反響

 返し口をミシンで閉じるために「小さな開き」を開けておくという方法には、「素晴らしい! 本職の方の、努力とアイデア、技術に脱帽です」「凄いっ! どの洋裁本にも書いてなかったです」「プロの技を拝見できて感動しました」「返し口の二段構えとは!!!目からウロコです」などの声が寄せられています。

 SenjyuさんはYouTubeチャンネル「Senjyu工房」のほか、Instagram(@senjyu_koubou)でも情報を発信しています。

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「Senjyu工房」動画まとめ

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【悪用厳禁】気持ち良い!20年歴のベテラン縫製士も知らなかったロックのほどき方
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動画提供:YouTubeチャンネル「Senjyu工房

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