ねとらぼ

 そして、これから動員が伸びれば、もっと多くの人に届けられる機会が増える、ロングランにも期待できる。実際に新宿ピカデリーは上映回数が1日5回に増えているし、川崎チネチッタでは満席が続いたことを受けてキャパシティーが大きめのシアターが用意されている。この映画館側からの応援も含めて、あの『アイの歌声を聴かせて』を思わせるムーブメントだ。だからこそ、今週末に最優先で観に行ってほしいのだ。お願いします。

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前置き2:評価軸にして欲しいのは「ジブリ」よりも「世界名作劇場」なのかもしれない

 本作をパッと見で「ジブリっぽい」という印象を持つ方はいるだろう。実際にキャラクター原案を手掛けたのは『魔女の宅急便』の近藤勝也であり、「生活感」あふれる描写や、おいしそうな食事シーン、「本来の力を出せなくなってしまう」物語運びなどに、スタジオジブリ作品に似た魅力は多分にある。

 だが、ファンタジー要素は最小限の「リアル寄り」の作風かつ、「滋味(じみ)深い」という表現がピッタリと当てはまる「日常」描写のほうが目立つ内容だ。そのため、宮崎駿監督作のような夢いっぱいの冒険活劇を過剰に求めると、少し期待とはズレてしまうかもしれない。

 個人的に近いと感じたのは、そのジブリ作品の前身ともいえる「世界名作劇場」の作品群だ。『愛の若草物語』や『赤毛のアン』など、少女たちが困難な時代や状況下でもたくましく生きていく様が今回の『パリに咲くエトワール』では通底している。実際に谷口悟朗監督は、自身の目標でもある高畑勲監督の『母をたずねて三千里』に通ずる、「余白を残す」ような語り口を意識したとも語っている。

 また、わずか119分という上映時間で(パリに舞台が移ってからの)1912年~1916年までの4年間に渡る物語がテンポよく展開していくため、それらの世界名作劇場の全ての話数を見届けたような、圧倒的な満足感がある。それほどまでに情報量が多いため、一度見ただけでは全てを把握することができない「密度」がある。キャラの設定が精緻なため、描かれていないことにも多くの想像が及ぶ。つまりは、世界名作劇場を約2時間に凝縮したような内容と言っても過言ではない。そのため、ぜひリピート鑑賞も強くおすすめしたい。

 なお、3月27日からは緑黄色社会による主題歌「風に乗る」コラボレーションミュージックビデオ付きの上映がスタートしている。その歌詞は物語ととてもシンクロしているので、ここで上映前に期待を高めるのがいいだろう。

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