ねとらぼ
2026/04/12 12:00(公開)

奄美大島でオタク文化はどう育った? 在住オタクが掘り起こす、2000年前後の“島のリアル”

【連載:元司書みさきの同人誌レビューノート】同人誌『Re:ANKR Vol.1』『ANKR Vol.2』をご紹介。

 今年の桜は早くから咲いた気がします。桜の舞うころ、新生活をはじめられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、島で育ったカルチャーに着目した同人誌です。

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今回紹介する同人誌

『Re:ANKR Vol.1』A5 52ページ 表紙2色刷り、本文モノクロ
『ANKR Vol.2』A5 64ページ 表紙カラー、本文モノクロ
著者:石田圭吾

奄美大島でオタクはどうしていた?
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離島でオタクであること。島の“あのころ”を振り返る

 奄美大島は鹿児島市から約380キロの場所に位置する離島です。島のことを調べると、海に囲まれ、マングローブの原生林や島特有の生き物などの豊かな自然が目につきます。今回のご本はそんな奄美大島で「オタクはどうしていたか?」にスポットをあて、主に2000年前後に島内でマンガやアニメといったジャンルを好きになった人々が当時を振り返っています。

 そもそも奄美大島は離島ですが国内ではかなり大きく、沖縄本島、佐渡島に続いて3番目の大きさです。人口も1950年代には10万人が暮らしており、住人が減少したとはいえ2000年代にはおよそ7万人が暮らしていました(※1)。2000年前後に島に在住していた方々からの寄稿には、アニメの放送やマンガ、ゲームの発売を心待ちにしていたわくわくとした気持ちがつづられています。

※1 鹿児島県「奄美群島の概況」平成17年度奄美群島の概況(PDF)より

「離島であってもオタクは育つ」(『Re:ANKR Vol.1』より)
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同人誌、ファッション、アニソンクラブ……地域の支えと風当たりの中で続けられた記録

 離島でオタクをやっていると、本を予約していても届くのに時間がかかり、通販は送料が高く、放送されるテレビアニメも限られ、行ってみたいイベントには飛行機か船で行くしかなく……ページをめくるとそんな苦労話がぽろぽろとこぼれてきます。

 けれどその大変さが感じられるかたわら、「十番館のコピー機で同人誌便箋を作っていた」「南海日日新聞の投稿コーナーがあって」といったそこここにあるローカルな要素が、事情を知らない私にもそこで起こった出会いがぐっと身近に感じられるようで、なんだかうれしくなってくるんです。

 ご本では奄美大島でのマンガやアニメ、ゲームに関連した交流や、イベントについてしっかりと取り上げられています。スクリーントーンやコピックをそろえてくれていた画材屋さん、地元の新聞社と連携し10年以上も続いた同人誌即売会、好きなお洋服を着て楽しみたい! というお茶会から出発したコスプレイベント、そして2010年代からはアニソンクラブイベントやフリーマーケット型のイベントなども開催されてきたことが、座談会や年表で丁寧にたどられ、島で暮らしつつ自分の好きなものを核に交流する熱量と、地域との関りが見えてきます。

 実例として新聞社さんが同人誌即売会の会場を提供してくれたり、フリーマーケットイベントでは会場側の方も告知掲示をオリジナルに作ってくれたりと力強くまぶしい応援があり、しかし、島で目立つ服装を着続けることへのプレッシャーも率直に語られるなど、その地に足をつけて生きていくからこその、さまざまな視点が伺えるのもとても大事な所ではないでしょうか。

『Re:ANKR Vol.1』より

人と人が顔を合わせることからつながる楽しさ

 ご本から、島で好きなことと共に生きるあれこれがありながら、その折々には、近くに住まう他者の存在が大きな励みになっていることを感じます。画材屋さんでのリアルな出会い、好きな服を介しておしゃべり、さらに島外からゲストを呼んで音楽を楽しんだりといった展開も。同志の顔が見えるかのような距離感があったからこそ、「好き」を大きく膨らませていた笑顔が見えるようだと思いました。

全ての同人誌即売会の呼び名が“コミケ”であるかのような時代を経て、参加者も交えて名称案を考えて“コミカン”へ(『ANKR Vol.2』より)

サークル情報

サークル名:あのこのあのころ
入手できる場所:BOOTH
X:@anokonoanokoro
Lit.link:https://lit.link/anokonoanokoro
メール anokonoanokoro☆gmail.com(☆→@)
『Re:ANKR Vol.1』は『ANKR Vol.1』のデータ不備などを修正し装丁を新しくして再版されたものです。

今週の余談

『ANKR Vol.2』には過去だけでなく、今の奄美大島の情報も。奄美大島に関連する専門書もそろえつつおもちゃやフィギュアもあるリサイクルショップや、おいしそうなカレー専門店も気になります……。

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