連載
» 2006年07月26日 00時00分 公開

ここんとこ頻繁に侵略しに来る「スペースインベーダー」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/2 ページ)

どうも。わたしが、「2006 CESAゲーム白書」に記事を書かせていただいた、府元晶ことゲイムマンです。ゲーム白書掲載記念&連載第25回記念。今回は超大物ゲーム「スペースインベーダー」を取り上げてみます。

[ゲイムマン,ITmedia]

インベーダーキャップに憧れた

 この連載では過去に何度か、マンガ「ゲームセンターあらし」について触れたことがあるが、考えてみればこのマンガに出てきたゲームを、まだ1本も取り上げていなかった。

 それに、タイトーのゲームをまだ取り上げたことがなかったので、そろそろこの超大物にご登場願いたいと思う。

 「スペースインベーダー」。

 1978年、アーケードに登場したこのゲームは、同年から翌1979年にかけて、社会を揺るがす大ブームを巻き起こした。

 それまでのテレビゲームは、デパートや遊園地のゲームコーナーに、いわゆるエレメカとともに置かれることが多かった。

 だが「スペースインベーダー」のヒットで、ゲームセンターが急増。特に、このゲームばかりで占められた“インベーダーハウス”が、全国各地に誕生した。

 また、テーブル型のゲーム筐体(きょうたい)が、喫茶店にもよく置かれるようになった。

画像 今回は主にスーパーファミコン版「スペースインベーダー The Original Game」の画面写真を使用
画像 「PLAY」の「Y」が逆さになっているのを、インベーダーが回収して、正しい「Y」を持ってくる。タイトル画面から芸が細かい

 ……と書いているけれど、わたしはこのインベーダーブームについて、詳しくは知らない。当時わたしは小学生で、テレビゲームをやることを、学校から禁じられていたからだ。

 大多数の小中学校が、生徒にゲームセンターへ行くことを禁止していたようだ。「ゲームセンターあらし」でも、連載第2話(読み切りを含めると第3話)で、主人公・石野あらしの行きつけのゲームセンターが、小中学生の入場を禁止するシーンがある。

 「ゲームセンターあらし」というタイトルに反して、あらしはこのとき以降、ほとんどゲームセンターに行っていないのだ。そのかわり、各地で行なわれるゲーム大会で、あらしは次々と優勝し、名をあげていった。

 あらしのトレードマークとなる、インベーダーの絵が入った帽子「インベーダーキャップ」も、「全日本インベーダー選手権」の優勝賞品として贈られたものらしい。

実はグラフィックに凝ったゲーム

 「スペースインベーダー」は、迫り来る55匹の宇宙人(インベーダー=「侵略者」の意)を、ビーム砲で撃ち落とすゲームだ。

 インベーダーは隊列を組んで横に動き、画面端まで来たら1段下におりて、逆側に移動する。

 下2列のインベーダーを撃つと、1匹につき10点。その上2列は1匹20点、いちばん上は1匹30点。時折出現するUFOの点数はミステリーポイントで、50点〜300点。

画像 わざとシェルターに穴を開け、そこから敵を撃つ戦法もあった

 ビーム砲の前には、4つのシェルター(トーチカなどとも呼ばれる)がある。インベーダーやビーム砲の弾を防ぐが、弾が当たるごとに少しずつ崩れていき、やがて弾が貫通してしまう。

 シェルターがドット単位で崩れていくのが、いかにも土を固めて作った土塁のようで、リアルなグラフィックに見えた。

 グラフィックといえば、インベーダーの外見や、その動きもインパクトがあった。H.G.ウェルズの「宇宙戦争」に出てくる、タコのような火星人にヒントを得て、タコなど海の生物をモチーフにデザインされたのだそうだ。

 「ブレイクアウト」(アタリ)に端を発する、いわゆるブロックくずしが全盛だった時代において、「スペースインベーダー」は、そうとうグラフィックに凝ったゲームだったといえるだろう。

 また、当時のゲームで、敵が攻撃してくるものは、きわめて珍しかった。

 そのため当初は「難しすぎる」ということで、業者の皆さんからの評判は、あまり良くなかったらしい。だがプレイヤーは、エレメカの流れをくむそれまでのシューティングにはなかった、“やるか、やられるか”という緊迫感に引きつけられていったのだ。

 作者は西角友宏氏。ゲームシステムもキャラクターもプログラムも、ほとんど1人で作り上げた。しかしその名前がファンに広く知られるようになったのは、近年になってからである。

撃った弾数を数えながらプレイ

画像 インベーダーを全部倒しても990点というこのゲームにおいて、UFO3機で900点取れるのは大きい

 「スペースインベーダー」は、様々な攻略法が研究されたゲームでもある。

 まず、UFOの得点。50点と300点では大違いなので、狙って300点を取る方法が、熱心なプレイヤーたちによって研究された。その結果、UFOの得点はランダムではなく、ステージ開始からプレイヤーが弾を何発撃ったかで決まることがわかったのだ。

 スタートから23発めの弾でUFOを撃つと、必ず300点が取れる。その後は15発めごとにUFOを撃つと300点。

 もうひとつ、よく知られている攻略法が、バグ(プログラムミス)を利用した「ナゴヤ撃ち」である。

 インベーダーが画面のいちばん下の列(シェルターの下端よりさらに下)まで来ると、インベーダーの撃つ弾が、ビーム砲に当たらなくなる。これを利用して、インベーダーが最下段まで下りるのを待って攻撃するのが「ナゴヤ撃ち」だ。

画像 インベーダーの撃つ弾は、ビーム砲の背後に当たる(写真では「R」の文字あたり)

 写真のように、やや離れたところにインベーダーを1匹残す形を作る。途中に何もない空間を作ることで、インベーダーを撃った後の避難場所になるし、またここからUFOを撃つこともできる。

 インベーダーがシェルターを壊して最下段まで来たら、その正面に回りこんで撃つ。敵弾はビーム砲の背後で炸裂するが、ビーム砲には当たらない。

 注意する点は、インベーダーが少なくなるにつれ、その動きが速くなっていくことだ。特に、30点インベーダーを撃つ際には、シビアなタイミングが要求される。ビームは連射が効かないから、確実に仕留めなければならない。

 インベーダーを1匹でも撃ちもらすと、地球が占領されてしまい、ビーム砲の残機数にかかわらず、ゲームオーバーになってしまうのだ。

画像 カラー版でビーム砲がやられたり、占領されたりすると、キャラクターが赤1色になって、どきっとする
画像 ちなみに「ナゴヤ撃ち」という名前がついたのは、名古屋から広まったからとされるが、異説もあり、詳しいことはよくわかっていないようだ

 それから、攻略法ではないが、もうひとつバグを利用した裏技に「レインボー」がある。最後に10点インベーダーを1匹だけ残すと、そのインベーダーが残像を残しながら移動するのだ。

 成功しても特に何か起こるわけではなく、見た目がおもしろいというだけの技なのだが、後に登場した「スペースインベーダー・パートII」では、レインボーを成功させるとボーナス点が入る。

 今回私もレインボーには何度もトライしたが、結局成功できなかった。なので写真はナシ。

 「ゲームセンターCX」みたいに、私にも、「1機やらせてもらってよかですか?」と言ってくれるADさんが欲しい。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/1605/20/news111.jpg 絶対にプラスチックのカップで「焼きプリン」を作るという執念 森永「焼きプリン」の製法特許がすごいと話題
  2. /nl/articles/2312/09/news033.jpg 13年外につながれボロボロのおばあちゃんワンコを保護 人間を信じ始める姿に涙「今まで苦労した分以上の幸せな余生を送れますように」
  3. /nl/articles/2312/10/news011.jpg 犬同伴OKのビュッフェに柴犬と行ったら…… 全く別の楽しみ方をしてしまう姿に「かわいいいいい」「気持ちよさそう」
  4. /nl/articles/2312/10/news019.jpg 入院で2週間不在だったママを待ち続けた猫、再会の瞬間…… 涙を誘う喜びあふれる“お返事”に「深い絆に涙が」「嬉しさがひしひしと」
  5. /nl/articles/2312/10/news018.jpg 同居猫のおしりを嗅いで「テメェ屁こいたなぁ!!!!!??(怒)」と理不尽ギレする猫の姿に抱腹絶倒「夜中に爆笑させないで」「名作」
  6. /nl/articles/2312/10/news061.jpg 遠藤憲一、保護犬を家族に迎える 「保護時には栄養失調と足に怪我を」悲しい過去も、ウキウキお散歩ショットにほっこり
  7. /nl/articles/2312/08/news013.jpg 愛猫が息を引き取る直前「ありがとう、楽しかったよ」と声を掛けたら…… 家族みんなが久々に集った夜の奇跡に涙
  8. /nl/articles/2312/09/news081.jpg 短編ホラーゲーム「8番出口」で“開発者も知らない異変”が発生し笑いと恐怖 「マジでホラー」「本物の『怪異』だ」
  9. /nl/articles/2312/10/news033.jpg 捨てられて真っ黒だった元野良猫が、家猫になった今では…… 真っ白で幸せいっぱいの暮らしに「ほんときれいな美猫さんに」「胸が熱くなる」
  10. /nl/articles/2312/08/news180.jpg ミス東大の水着グラビアデビューに「東大まで行って」と失望の声 本人&現役グラドルも加わるネット論争に
先週の総合アクセスTOP10
  1. オール巨人、30年モノな“伝説の1台”に自負「ここまでキレイな車はない」 国産愛車の雄姿に称賛の声「気品がある」「凄くエレガント」
  2. 「明らかに写真と違う」 東京クリスマスマーケットのフードメニューが物議…… 購入者は落胆「悲しかった」
  3. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  4. 田中みな実、“共演した姉”の存在に反響「居るとは聞いていたけど」「激似やなぁ」 すらっとしたたたずまいに「品のあるお方」
  5. 藤本美貴、“全然かわいくない値段”のテスラにグレードアップ スマホ一つでの注文に「震えちゃ〜う!」
  6. マックで「プレーンなバーガーください」と頼んだら……? 出てきた“予想外の一品”に驚き「知らなかった」
  7. 伊藤沙莉、“激痩せ報道”の真相暴露→広瀬アリスの株が上がってしまう 「辱めったらない」告白に「アリスちゃん、ええ人や〜」
  8. 「あなたは日本人?」突然送られてきた不審なLINE、“まさかの撃退方法”に反響 「センス良い」「返しが秀逸」
  9. “鬼ダイエット”で激やせの「Perfume」あ〜ちゃん、念願の姿に「着れる日が来るなんて」と大喜び
  10. 900万再生のワンコに「電車で笑ってしまった」「つられてめちゃくちゃ笑っちゃうw」 “突然魔王になった犬”に腹を抱える人続出
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「酷すぎる」「不快」 SMAPを連想させるジャンバリ.TVのCMに賛否両論
  2. 会話できる子猫に飼い主が「飲み会行っていい?」と聞くと…… まさかの返しに大反響「ぜったい人間語分かってる」
  3. 実は2台持ち! 伊藤かずえ、シーマじゃない“もう一台の愛車”に驚きの声「知りませんでした」 1年点検時に本人「全然違う光景」
  4. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 西城秀樹さんの20歳長男、「デビュー直前」ショットが注目の的 “めちゃくちゃカッコいい”声と姿が「お父さんの若い頃そっくり」「秀樹が喋ってるみたい」
  7. “危険なもの”が体に巻き付いた野良猫、保護を試みると……? 思わずため息が出る結末に「助けようとしてくれてありがとう」【米】
  8. 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. おつまみの貝ひもを食べてたら…… まさかのお宝発見に「良いことありそう」「すごーい!」の声
  10. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」