|
「FFX-2」のムービーサウンドの極意が明らかに!?
|
|
2003年11月17日 |
本日(11月17日),京王プラザホテルにおいて,月刊ニューメディアが主催する「ホームシアター2003」が開催された。
基本的にはウチのH副編集長(そのオーディオルーム・笑)が喜びそうなプロジェクターとかプラズマディスプレイやサラウンドシステムなどを中心としたハンズオン&セミナー。中には住宅メーカーが設計するシアタールームのセッションなども開催されている。
で,これとゲームってどういう関係があるかというと,GCやPS2でもプログレッシブ(D2)対応や5.1chサラウンドタイトルが増えてきている。Xboxでは1080i(D3)や720p(D4)といったハイビジョン対応のタイトルも存在する。となると,ホームシアターはDVD鑑賞だけでなくゲームにも最適だろう,というわけだ。
今日はスクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーX-2」のムービー部分のサウンド製作スタッフを招いて「ゲームで実現する“サラウンド”の世界」セッションが行われた。講師は(記事頭右写真の左から)スクウェア・エニックス サウンド室長の赤尾実氏,RedAJ Sound代表取締役の中村英治氏,ソニーPCLのサウンドデザイナーの染谷和孝氏。
FFX-2のムービー部分のサウンドはドルビーデジタル5.1chサラウンドEX(リアセンターを含めた6.1chサラウンド)とドルビープロロジックII(5.1chサラウンドに対応したステレオ出力)でミックスされている。ユ・リ・パのオープニングデモの鑑賞からスタート。
今回のセッションはこのムービーの作られ方,ということだ。ムービーシーンの制作の流れは大体以下の通り。
尺とスケジュールの打ち合わせ・予算配分 → ムービーの内容確認 → 仮音作成 → 尺の決定した映像の入手 → 録音 → 編集 → チェック → ミックス → データ作成 → バランスチェック・デバッグ
「FFX-2」で苦労したというところの1つはテーマ曲である「Real Emotion」との兼ね合い。CD音源と同じ2chでの扱いにするとサラウンドでの破綻が起きてしまうのだが,多くのアーティストは自分たちの曲の音をいじられるのを嫌がるのだそうだ。
今回はミックスしたものがアーティスト側のOKが出たことでことなきを得たそうだ。また,中村氏は「基本的にすべてのフォーリー(効果音)を入れていく」のだが,ユウナの後ろのバックダンサーの足音などを作って入れたところ「アレはホログラフィなので音は鳴らない」と言われ,泣く泣く削除したという。これらの効果音は画面を見ながら手作業で入れていく。
サウンドの編集が終わり,内容のチェックをパスすると今度はそれをミックスダウンしてゲーム用のデータに起こすのだが,これもひと苦労。なにせセリフ,効果音,背景音,音楽,などなどで総トラック数は246! それをひとまとめにして初めてデータに起こすことができるのだ。作成した音データは最終的に6.1chにミックスされ,ドルビーデジタルデータとプロロジックIIデータになる。
ムービーのデータができたら今度はそれをゲームの音量との兼ね合いをチェック。というのもPS2では音を重ねれば重ねるほど音量が大きくなるらしく,そのままでやるとムービーの音が小さくなってしまうらしい。が,ゲームの音を小さくすると音量が0か1になってしまうこともザラらしい。それでも音量のバランスが直らなかったらムービーサウンドは作り直しなのだだそうだ。
そんな苦労をして完成した「FFX-2」のムービー。できればサラウンドシステムを使って堪能したいものだ。
[SOFTBANK GAMES]
|