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日本市場をラチェット2とGTAIIIでケーススタディ!?
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2004年3月28日 |
今回のGDCにおいて,「怪盗スライ・クーパー」のプロデューサーとして知られるSCEJの長谷川亮一氏は,去年に引き続き「日本市場の実態と海外ゲームを上手に日本市場に送り込むための方法」というテーマを「A Peek Behind the Shoji:Japan's Videogame Market Today(障子の裏からのぞき見る日本のゲーム市場)」というセッションで講演した。
余談だが,配布されていたプログラムに重大なミスプリが発生。なんと長谷川氏の顔写真がパートナー(ラチェット&クランクのプロデューサー)の鶴見六百氏の顔になってる! でも長谷川氏は最初に「この写真はパートナーの鶴見(氏)の顔です。見て分かると思いますが,僕のほうがハンサムです」と,会場の笑いを誘った。
さて,本題。
現在の日本市場は「保守的」になっていることが指摘されている。2003年に発売された人気ゲームから移植物,キャラ物,続編などをのぞくとオリジナルタイトルはなんとたった2本!(「サイレン」と「ドラッグオンドラグーン」) しかしながら,海外ゲームの人気タイトルもそれなりに出てきつつあるので,そう悲観することではないと話す。
ヒットした海外ゲームのケーススタディとして「GTA3」と「ラチェット&クランク2」を紹介した。
「GTA3」は北米版の発売から2年が経過,いろいろな媒体で紹介されていることから,ゲーマーに対するゲームそのものの知名度はあると判断。ターゲットを18歳以上の一般人に絞り,ゲームショップでの夜の試遊会やクラブやバーなどでの展示などを行った。その結果,ゲームは30万本を越えるヒットとなった。
「GTA3」ではビジュアル(ゲーム・印刷媒体ともに)を変更することなく発売されたが,それは極めて稀有な例であり,日本人のビジュアルの許容範囲は相変わらず狭いことを指摘した。
次のケースは「ラチェット&クランク2」。「ラチェット1」ではバンドル戦略などによって,キーアートなどは海外のものと同じものを使うことになったが,「ラチェット2」では日本独自のキーアートを使用するとともに,ラチェットのキャラクターも眉を太くするなどの改良が行われたことを説明。
また,CMやイベントでの模様も公開された。ラチェットが家庭のトラブルを銃で解決(?)する「30秒CM3連発」は去年のニセクラッシュCMよりも多くの笑いを誘った。
また,ここではCEROレーティングについても語った。基本的には米国で使われているESRBのレーティングに準じてはいるが,細部には違いがあることを指摘している。
例えば,米国では銃に関してはもの凄く厳しく,「ラチェット2」「ジャック×ダクスターII」ともにT(13歳以上推奨)となっているが,日本では「ラチェット2」は現実的な世界の話ではないので全年齢に,「ジャック〜II」は市民を撃ったら倒れて消えていたのを倒れてもまた起き上がって歩き出すという日本独自の改良を加えることで全年齢になったそうだ。
セッション終了後は,日本市場での成功を狙う海外の開発者が長谷川氏のもとに募り,いろいろと意見交換をしていた。
去年の繰り返しになるが,日本市場でヒットする海外ゲームを作るには開発元・発売元の相互理解とコミュニケーションが重要となってくる。海外ゲームを「ただ売る」だけでなく,市場に浸透させるための努力を怠ってはいけないはずだ。
[岩井省吾, SOFTBANK GAMES]
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