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なぜ日本でネットゲーム普及しない?BBA特別講演
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2004年6月19日 |
ブロードバンド推進協議会(BBA)は6月19日,国際ゲーム開発者協会日本と連係し「オンラインゲーム専門部会特別講演会」を開催した。
壇上に立ったソウル中央大学経営戦略学科助教授の魏晶玄(ウィ・ジョンヒン)氏は,韓国・中国との比較なども交え,アジア圏のオンラインゲーム産業について,2時間もの熱弁を振るった。
まずは,「オンランゲーム産業発展の条件」について解説。「オンラインゲームのポイントは“柔軟性”」(魏氏)。クローズドベータテストなどでのユーザーの声を反映させ,長く運営して収益を得るのがオンラインゲームだという。「例えば,3つしか車輪が付いていない車を出して,ユーザーが“タイヤが4つあったほうが安定するよ”といえば対応していくようなもの」だというが……。
魏氏は,日本ではコンシューマーゲーム機という,強大な先行するゲーム市場があり,特にPCでオンラインゲームをしなくてもゲームが楽しめる市場であることを理解しているとする。
その一方で,最近まで家庭用ゲーム機がなかった韓国では,子どもがオモチャとしてPCに触れる機会も多く,ユーザーのPC操作能力が日本より進んでいると説明。これらの市場の違いが両国でのオンラインゲームの普及に大きな差があるとした。同時に中国では90%以上だという不法コピーも,日本ではきちんと守られているとする。
こうした「家庭用ゲーム市場の先行」「ユーザーのPCトレーニング」「不法コピー」の3項目において“Yes/No”を選択すると,日本と韓国&中国の市場では全く正反対となるのが面白い。ここがオンラインゲーム普及の違い,ひいては日本での普及しない要因となっているというわけだ。
市場の違いについても解説が行われ,魏氏は,韓国のオンラインゲーム開発会社のパブリッシャー化が顕著だと解説。ゲーム会社とポータル会社の融合の例もいくつか挙げ,大手ポータルのゲームポータルサービスやYAHOOのオンラインゲームへの参入などが報告された。
ほかにも,NC Softが人気MMORPG「リネージュ」に関する検索サイトをオープンするなど,韓国のオンラインゲーム市場では新たな動きがあちこちで見られるようだ。「リネージュII」などで見られる美しい3Dゲームの登場は,新規会社の参入の障壁にもなっているという。
そこで魏氏は,韓国の開発メーカーがサーバやネットワークの技術,GM(ゲームマスター)やゲームサービスなどについてノウハウ提供し,日本の開発社がゲーム開発プロジェクト管理のノウハウ,グラフィック技術やサウンドなどを担当するといった協力が今後必要,とする。今後の各社の動きが期待される。韓国では,人気ゲームのメディアミックスに関して急激に注目が高まっており,日本が持つコミック,小説,アニメ,グッズといった展開のノウハウも得たいようだ。
こうした国を跨いだ展開での問題点なども研究されている。日本のユーザーが(オンラインゲームで)ほかのユーザーとのコミュニティ性を求め「結果より過程を重視」しているのに対し,中国ユーザーはレベルアップがゲームの目的で「過程より結果を重視」している,とのこと。魏氏は,こうした全く違うニーズの市場に対し,「単にオンラインゲームのグローバル展開をするのではなく,国やユーザーの特性を考慮した製品開発が必要」と説明している。
[原 毅彦, SOFTBANK GAMES]
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