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ネットゲームの問題は? BBAパネルディスカッション
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2004年6月19日 |
既報の通り,ブロードバンド推進協議会は6月19日,国際ゲーム開発者協会日本と連係し「オンラインゲーム専門部会特別講演会」を開催した。ソウル中央大学・助教授の魏晶玄氏によるアジア圏のオンラインゲーム産業についての講演に続いて,パネルディスカッションも行われている。
魏氏とともに,コーエー 執行役員・松原健二氏,立命館大学政策科学部助教授の中村彰憲氏がパネリストとして出席。
まずは中村氏が中国のオンライン市場の現状について報告を行った。依然として深刻な中国の海賊版市場,店頭にならぶ海賊版の比率はゲームの96%を筆頭に,映画ソフト95%,音楽ソフト90%と,驚愕の数字となっているという。PCでは欧米の作品が,コンシューマーゲームでは日本の作品が海賊版として多数売られている。
この海賊版市場を打破できるのがオンラインゲームでもあると中村氏。ユーザーは現金でプリペイドカードを購入し,詳細にわたる個人情報をポータルサイトに登録する。プリペイド番号を入れ,ゲームデータをCDからダウンロードすればゲームができる仕組みとなる。
ほかにも中村氏は,中国では国を挙げてオンラインゲームを活性化させようとしていることや,ちなみに,MMOよりMOのほうが人気となりつつあること,ネットカフェのハイスペック化など,興味深い話を続ける。
一方でゲームの過密化や,インターネットカフェの管理条例などの発足に伴う利権争いなどの問題も紹介されるなど,今最も注目されている中国市場の動向に,集まったオンライン事業関係者らは熱心に耳を傾けていた。
その中国などの市場へ,コーエーは「信長の野望Online」と「大航海時代Online」の投入を検討していると松原氏。
しかし問題として,ゲームマスターの24時間体制などに関するコストを挙げた。さらに,韓国や中国のように数十万人のオンラインゲーマーがいる国において,ユーザーの要望に即対応するノウハウがないことも問題としている。中国市場などでは他社とのパートナーシップや大きなパブリッシャーとの協力も考えたいという。
また,日本は韓国・中国市場と異なり,先にコンシューマーゲーム市場があったことでオンラインゲーム普及が鈍いとする魏氏の講演を受け,松原氏は「だからこそ日本ではコンシューマーゲーム機でネットゲームが普及するかが重要」とする。
同時にオンラインゲームでもシリーズ化(続編化)・ブランド化が進み,トップ5やトップ10のメーカーのみが人気となるという,現在の家庭用ゲーム市場と同じ傾向になると予測。ほかにも,オンラインゲームを運用するのに技術的な問題はないが,開発やコスト回収も長いスパンで行われるため,それなりの資金やサービス人員が必要と,いくつかの問題点を指摘している。
その後,ディスカッションは,「ゲーム内で得たレアアイテムがプレイヤーの個人所有物である」という理解し難い中国の裁判結果や,オンラインゲームで負けた腹いせに相手のプレイヤーを殺してしまった中国での事例,ゲームを閉鎖するときのユーザーへの対処などにも話がおよび,オンラインゲームの日本での本格普及にはいくつもの問題をクリアする必要があることを改めて実感させた。今後,ブロードバンド推進協議会のオンラインゲーム専門部会の研究結果も,より注目されていくはずだ。
[原 毅彦, SOFTBANK GAMES]
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