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ガスト&カプコンサウンド開発者がドルサラをアピール
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2004年9月7日 |
GDCでも解説済みだが,海外タイトルでは大手パブリッシャーのほとんどのタイトルが対応しつつあるドルビーサラウンド(5チャンネル)。だが,日本においてはまだまだ対応数の少ない。
今日のCEDECでは「現場ですぐに使えるサラウンド音響制作」と題し,ドルビーの担当者と早くからドルビー技術をサポートしているゲームメーカー2社の担当者を交えて技術デモを行った。
ドルビー日本支社のジョン・グリフィン氏からは現在のドルビー技術についての説明が行われた。
Xboxや一部PCゲームでは「Dolby Digital Live」が採用されている。これはDVDと同様のドルビーデジタル5.1chディスクリート(独立チャンネル)サラウンドをリアルタイムで実現するものだ。この名称は最近ついたとのこと。もちろん,ドルビーデジタルなので,DVDプレイヤー同様に光端子(Xboxでは拡張AVパックなど)・同軸端子が必要となる。
PS2やGCなどでは「Dolby ProLogic II」のインタラクティブエンコーダを採用することで,5chサラウンドを実現する。これはステレオ接続ケーブルだけでサラウンドを実現させることができるが,弊害も多い(なお,PS2ではムービーシーンなどの決めうちサウンドにドルビーデジタルを採用することができ,これとプロロジックIIを併用するとドルビーデジタルプロロジックIIという名称になる。ややこしい(笑))。
現在,サラウンド技術はXboxやGCでは標準ライブラリとして組み込まれており,PS2においてもRenderWareやCRIミドルウェアのサウンドミドルウェアを使用することによって簡単に実装することが可能になった。
グリフィン氏はXboxゲーム「リディック(日本発売予定なしとか)」と「鬼武者3」のデモを行った。特に「鬼武者3」ではサウンドモードにある「リスニングポイント」による音像変化のデモを行い,サラウンドの音像位置には正解がなく,サウンド担当者の感性でサラウンド効果の成否が決まると話した。
次に,ゲーム開発者による解説が行われた。最初に登場したのはガストの土屋暁氏。ガストは2001年にリリースされた「リリーのアトリエ」でドルビーデジタルプロロジックを採用し,以後のアトリエシリーズではドルビーデジタルプロロジックIIを採用している。
まず,土屋氏はサラウンドの開発機材・費用は高くない,とアドバイス。現在はアンプ,ソフト,PC用サウンドカードも価格が落ちてきており,スピーカー抜きで10万円ほどでシステムが構築できるという。また,ドルビーに対するライセンス料もゲームに関しては無料ということもあり,費用面ではなんら問題がないとアピールした。
そして,一見サラウンドの必要のないゲームでも,その使い方によってはゲーマーを唸らせることができると話した。ゲーマーがサラウンドシステムを買って最初に期待することはなんといっても「リアスピーカーから音が出ること」である。臨場感だけではない,ゲームらしいサラウンドの使い方が,ゲームのサラウンド技術を活かすと力説。また,使い方の一例として,「イリスのアトリエ−エターナルマナ」のオープニングムービーで使われた「音楽のサラウンドミックス」を紹介した。
続いてはカプコン「デビルメイクライ3」のサウンドプログラマー,近藤広明氏の技術的な話。プロロジックII・Movieモードの弱点の1つとして,リアに流れた音の低音成分がなくなるというものがあり(※),それをサウンドの高音部と低音部に分け,同時に鳴らすことで回避できるというテクニックを披露した。
なお,ドルビー日本法人ではwww.dolbygames.jpという会員制開発者向けコミュニティを開設している。今日のセッション内容のファイルも既にアップロードされているので,サウンド開発者は必読だ。
[SOFTBANK GAMES]
(※)去年,7.1chサラウンド仕様であるDolby ProLogic IIxが発表されたが,そのときに,ProLogic II/IIx用の「GAMEモード」が発表され,同モードを使用すれば低音成分もリアに回るようになった。しかし,ProLogic IIベースのホームシアターシステムでの採用例は極めて少ない。
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