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CEDEC:携帯電話ゲーム開発の過去,現在,未来
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2004年9月8日 |
「CEDEC 2004」3日目の最終日の本日9月8日,インタラクティブ ブレインズの代表取締役,武田政樹氏のセッション「3D&ハイエンド携帯電話向けコンテンツの過去,現在,未来」が行われた。
インタラクティブ ブレインズは,「パックマン」「ゼビウス」「リッジレーサー」「電車でGo!BREW版」など,その時点でのハイエンド機能を持つ携帯電話端末へ,ゲーム移植作業を行ってきた開発会社。最新作としてはバンダイネットワークスの「機動戦士ガンダム」,オリジナル作品の「Deep Labyrinth」の開発を行っている。
セッションでは,まず「過去」として'01のJAVA端末の登場にあわせ「パックマン」を開発,'02の「ゼビウス」の開発,'03の「リッジレーサー」の開発と順を追って説明,ハードウェア・ソフトウェア制限の中,どこまで詰め込めるかという開発時の難しさが語られた。
「現在」では,本年,東芝製のグラフィックアクセラレータ「T4G」とエイチアイの「Mascot Capsule Ver.4」を搭載した,Vodafoneの“256KアプリVer.2”ベースでオリジナルフルポリゴン3Dゲーム「Deep Labyrinth」を開発。試作,修正,改善,交渉,4度にわたるポリゴン・テクスチャの削減などの過程が紹介された。これにより,最小ヒープ下での表現の精緻化・RPGの開発などノウハウが得られたという。
今までの過程で見えてきた問題点,不満点は,キャリアにおけるコンテンツの嗜好,具体的には“大手”の“移植ゲーム”への嗜好偏重が挙げられるという。移植は必要だが,それだけでは焼畑農業的であり,文化としては育たないと見ている。インタラクティブ ブレインズでは常に最新最高スペックのゲームを開発,またオリジナルにも挑戦していくことで,今後もこの問題に立ち向かっていくようだ。
「未来」については,各キャリアで3Dチップの搭載が急速に進み,パケット料金の低価格化,定額化,サーバ設置・運用費用の低下,携帯コンテンツ開発の技術者レベルの向上などを背景に,2D・3Dコンテンツがよりリッチに,本格的なネットワークゲームも出現すると予測。またデジタルコミックスなども発展し,ハードウェア的には,3〜4インチの大画面化,2D・3Dの高速アクセラレータチップの搭載,短距離通信の実現,燃料電池化などが実現すると見ている。
グラフィックスは第2世代に向けて進んでおり,2年後,OpenGL ES ver2では実行性能が10万〜100万ポリゴンに達する。インタラクティブ ブレインズでは,DMP(Digital Media Professionals)によるアーキテクチャテストにハイエンドモデル用のデータを提供,次世代にむけて動いているという。
将来,根本として携帯電話にそこまで高度なゲーム機能が,果たして必要なのかという疑問に関しては,現在の流れとしてハードウェア,ソフトウェアは高度化を進めている現実と,PSPなどに代表される携帯ゲーム自体の高度化,限りない端末への利用者ニーズ,開発側の,高スペックマシンへの切なる希望などのため,この流れは続いていくという。
携帯電話端末の機能は飛躍的に高度化している。PSP,NDSなどが控え,更なる発展が期待される携帯ゲーム機市場,またはPDAなどと,今後どういう関係性を持っていくのかまだ誰にも分からないが,携帯電話端末側は開発面を含めて確実に,そして急速に進化を続けているようだ。
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