■ライセンス,そしてゲーム製作
「スマッシュコート プロトーナメント2」のプロデューサーを担当した原敏也氏によれば,2002年の春ごろには,既にこのタイトルの制作検討を進めていたという。
前作「スマッシュコート プロトーナメント」がリリースされたのは2002年2月7日。
その発売直後に,既に動き出していたことになる。というのも,欧州など海外ではテニスゲームの人気が非常に高い。
「スマッシュコート プロトーナメント」の場合も欧州を中心に売り上げを伸ばし,2年おきに出しても十分に通用するシリーズだという判断が下されたのである。
■「スマッシュコート プロトーナメント2」には実在のコートのほかに,ゲームオリジナルコートもデザインされた。
急いで制作準備に取り掛かった理由は,実はもうひとつある。ライセンス関係の処理に多大な時間がかかるのだ。
原氏は,「やはり,交渉や手続きなどで1年くらいはかかってしまう。契約書はすべて英語で,単に訳してもらうだけでなく,細かいニュアンスまで確認しないといけませんから。
契約が済んでも,交渉すべき代理人が急に変わって白紙に戻ったりという事態もないとはいえませんし,うまく進んでいても,選手のスポンサーに関する事柄など,細かなやりとりは次々に発生してくる」と話す。
しかも,今回は登場選手も前作の倍の16人(男女各8)に増やしている。
苦労も倍となるかどうかはさておき,2002年末までには許諾を得るべき選手をおおむね絞り込み,実際のゲームの制作に先んじてライセンス関係の処理に取り掛かっていた。
しかし,万全を期して,早めに動き出すということは,それだけ実際のリリース時と状況が異なる可能性も高くなる。
「惜しかったのは,今年のウィンブルドン女子シングルスで優勝したマリア・シャラポワ選手。まだ17歳の彼女は,2002年の時点ではチャレンジャー・シリーズ・トーナメントなどでは活躍していたものの,WTAツアーではまだまだこれからの段階だった。
それでも,欧州にいる女子テニス好きのスタッフが,一応候補には上げていた。しかし,WTAランキングは186位だったので,まだ早いかなという最終判断に至ったのです。いま思えば……」と原氏は苦笑いしながら悔やむ。
確かに製作開始段階に選定したプレーヤーが,発売時点でもベストとは限らない。そのあたりが悩ましいところのようだ。
それでも,特に女子に関しては,現在ランキング10位以内に入っている選手が並んでいることを考えれば,ナムコ開発陣の選択は見事だったといえよう。 次のページへ
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