■ポイントはタイミング
「PONG」や「Tennis for two」の例が示すとおり,テニスや卓球はプリミティブな面も持ったスポーツだが,一見単純なだけに奥も深い。
前述の通りテニスゲームの歴史は,ハードウェア技術の向上に伴い,シンボルからデフォルメへ,デフォルメからリアリズムへと変遷してきたが,一方では常にこの「単純なゆえの奥の深さ」をどれほど掘り下げれるかを追求してきたといっていいだろう。
「スマッシュコート プロトーナメント2」でもそこは外していない。リアルな出来栄えに奢ることなく,だれにでもとっつきやすく,しかもじょじょに奥の深さが見えてくる流れを持たせている。体裁がリアルなだけでなく,プレイ感覚までもテニスの爽快感に近いのだ。
原氏は「ナムコにはファミリーテニスからの伝統もあり,打つ感覚というものを大事にしたいというテーマをずっと持っている。そのため,ショットボタンはあくまで,ボールが来るタイミングに合わせて押すことを基本にしたい。
とっつきやすいように,ぴったりのタイミングでなくても打ち返せるようにしているが,ジャストタイミングで打てばBESTショットとなり,強いショットやコーナーに決まるショットが打てるようになっている」と説明する。
ただ一方で,プレーヤーの動きを滑らかに再生してみせるには,ほかのテニスゲームでよく見られる先行入力のほうが有利だということも原氏は教えてくれた。
「ショットの前にボタンやスティックを操作しておける先行入力方式なら,それに合わせてモーションのタイミングも計算が立つ。スマッシュコートではモーションのつながりの美しさを犠牲にしても(最小限には抑えた),打った感じを楽しめるほうを優先した」という。
そう,このゲームで最も重要なのは,タイミングだ。最初に「スマッシュコート プロトーナメント2」を渡されたときは,実は少し気が重かった。
というのも,告白すると初代ファミスタ派ゲーマーなので,おそらく前後左右だけでなく高さの概念も入っているであろう3Dスポーツゲームには,ついていけないだろうなあと思っていたのだ。しかし,そうではなかった。このゲームでは,空振りをしたり,ボールがアウトに行ってしまうことはあまりない。
パワーを貯める必要などもない。基本的にタイミングが合えば強いショットが打てる。なるほど,これなら理屈ぬきに面白い。
テニスというものは,ボールを追い,ひたすら打ち返すスポーツといってしまえばそれまでだが,歴史が古いだけに,いわゆる“ゲーム”としての完成度は当然高い。
見るだけなら単にきれいに続くラリーにも,裏では読みの勝負や駆け引きが潜んでおり,たとえるならサッカーのPK戦を驚異的な速度で繰り返しているようなものだ。
このゲームでも同様で,タイミングさえ合えばいいといっても,瞬時の判断や思考は必要だ。
多少なりともテニスの心得がある人なら,実際の試合で使われるような定石をいろいろ試すという楽しみ方ができる。
登場するスタジアムや選手が実名なだけに,興奮もひとしおだろう。
もちろん,テニスにあまり興味のない人でも,見栄えが本物に近いだけでなく,テニスというスポーツのプレイ要素をうまく抽出した「スマッシュコート プロトーナメント2」であれば,アクションゲーム(しかも,上質の)を遊ぶ感覚で受け入れられるに違いない。
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・販売元:ナムコ
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