ライセンス交渉が本格化した2003年春には,ゲーム内容のほうも企画書がほぼ固まり,実際の制作作業がスタートした。今回,とりわけ手を入れたのは“1人遊び”の要素だという。
つまり,自分だけのオリジナル選手を作成してツアーをこなしていく“プロツアーモード”だ。
原氏は,「スポーツゲームはどの分野でも,自分の選手を作るというのが,ユーザーの最大の楽しみになっている。ナムコでもテニスゲームはいろいろと発売してきたが,選手などのライセンスを取得した作品は前作(スマッシュコート プロトーナメント)が初の試みだったので,オリジナル選手作成の要素を盛り込む余裕がなかった。
リアルを追求したテニスゲーム自体は,きちんと出来上がったものの,それで終わってしまったということが反省点として挙がった。そこで今回は,“1人遊び”の要素だけはしっかり盛り込もうという前提で「2」の開発を始めた」と説明する。
■実際の会場写真も参考され,ゲーム中のリアルなCGが開発されている。
TV中継を見ている感じのリアルさを意識した絵づくり,コートの臨場感を再現するための効果音(市営コートを借り切って録音したそうだ)など,テニスの試合部分に関しては前作である程度の完成を遂げていたので,流用できた要素も多い。
それでもプログラムやモーションなどは作り直した。
ただ,通常のアクションゲームとは異なり,スポーツゲームでは比較的やるべきことは明確だという。
ルールは決まっているので,ボールやプレーヤーの動きをしっかり再現できればよく,ゴールが見えやすいというわけだ。しかし,その分,バランスの調整は重要となる。
「打球の軌道など基本的な部分をつくり,選手の動きなどと合わせて,細かくパラメータを調整していくが,これが片方をいじると,もう一方がおかしくなる。いたちごっこのかたちで繰り返し。しかも,悲しいことに,最後まで100%満足はあり得ない」(原氏)
また,スポーツゲームではデバッグも大変だという。実は原氏は元デバッガーという経歴を持っている。ファミコン時代の終わりからPS2登場前くらいまでは,ひたすらゲームをプレイしては再現性のあるバグを探し続けていた。
その経験から,「スポーツではCOM側の動作にかなり乱数が入るので,何回かのラリーのあとで出たバグを再現してみせるのは難しい」(原氏)という。
また,バグの原因を探るのが難しいタイプのジャンルともいえるそうだ。そうなると,人間どうしの対戦プレイでのバグはさらに再現し難そうだが,意外にもそうでもないらしい。
「デバッガーは緻密な操作ができるので,逆に対戦プレイは再現が簡単。バグが出たときと全く同じ操作を,2人で繰り返せばいいだけ」(原氏)
……デバッガー恐るべし,である。また,操作や記憶力に優れるばかりでなく,動体視力も相当いいようだ。
「1インターが見える」らしい。つまり,テレビが1秒間に表示する60コマのうちの1コマが見える。デバッガーがゴミが出てますといえば,一見して何もなさそうでも,コマ送りで確認したら1とか2コマだけゴミが出ていたりするそうだ。 次のページへ
・「スマッシュコートプロトーナメント2」 INDEX
・販売元:ナムコ
・「スマッシュコートプロトーナメント2」公式ページ
・PS2 GAME INDEX
・SOFTBANK GAMES TOP INDEX
|