アプリケーションに関して
▼リージョン,パレンタルロックの設定がありますが,これはゲームに対してのものですか? 映像メディアにも適用されるんでしょうか?
映像に関しては,コンテンツメーカー各社とは話を詰めてはいるんですが,まだ進行中の段階です。
映像が配布されるようになれば,もちろん,そうしたコンテンツに関してもリージョンやパレンタルロックの設定はできるようになっています。
▼UMD Videoの仕様には,codec MPEG4 AVC,ATRAC3plus,字幕PNGと記載されています。つまり,映画などの字幕は表示/非表示が可能なんでしょうか?
そうです。
▼字幕を複数言語入れることも可能ですか?
規格はまだフィックスしていないので,明確なことは言えないのですが,実用上で困らない程度の数は入れられるようになっています。
▼映像はPSPの画面と同じ,480×272サイズで記録されるのでしょうか?
いわゆるSDサイズ,720×480で収録するようになっています。
▼では,PSPでは縮小して表示することになりますね,ということは,UMDドライブを利用した別の映像機器の展開なども見込んでいるということでしょうか?
それもあるかもしれませんが,DVD向けにつくられた映像素材と同一のサイズを,そのまま受け継いだほうが,制作もしやすいのではないかと。
▼映像コンテンツに関しては,映画が見られるのでしょうか? それとも,携帯に適したコンテンツが登場してくるんでしょうか?
両方とも対応できますので,そのあたりは提供元となる各社の考え方しだいですね。映像コンテンツに関しても,インタラクティブな機能を実現できる仕様になっています。
ゲームの制作よりは簡単に,インタラクティブな映像コンテンツ制作を行えるような環境が提供されます。
▼PSP自体はフォントを持っているんですか?
フォントは和文,欧文合わせて,複数書体が入っています。
▼では,電子書籍や電子百科事典といったコンテンツも登場してくる?
そういったものも,もちろん可能です。
▼PSPでは読み取り専用ドライブを採用していますが,記録型UMDドライブが登場する予定はあるんでしょうか?
技術的には実現も可能ですが,今のところは考えていません。
▼ユーザーの要望を考えると,記録型UMDドライブを内蔵したPSXが登場すれば,テレビを録画してPSPで見るという用途も実現できそうですが?
そういった用途に関しては,現時点ではメモリースティックの活用を想定しています。PSPで対応するのはメモリースティックDuoですが,すでに1GBという大容量タイプもラインアップされていますし,将来的にはUMDドライブの容量(1.8GB)を超えるタイプが登場してくることも十分に期待できます。そういう意味では,市販映像ソフトはUMDで提供し,ユーザーの記録・再生用途には記録型UMDではなく,メモリースティックを利用していただければ問題ないかと思います。
▼PSPには赤外線ポートも装備されていますが,テレビなどの赤外線リモコンとしても使えるんでしょうか?
使えません。
▼無線LAN接続を利用して,PS2とPSPのゲームを連携させられるようですが,Windowsのリモートデスクトップのように,PSPを(あくまで宅内で)遠隔画面表示&操作デバイスとして利用するなんてこともできますか?
技術的にはできると思いますよ(笑)。PS2とPSPのコネクティビティに関しては,USBで接続するのも簡単ですし,無線LANでの通信も使えます。さっきおっしゃられたコントローラ的な使い方も十分に可能だと思います。
ただ,システムで対応するわけではなく,実際に製品化されるかどうかは,タイトルごとに企画があると思いますので,そういうところで実現していただければ。
▼エアボードのように,テレビの映像を無線LAN経由で受け取って表示することも?
技術的には可能ですね。
▼AIBOのコントロールに使うこともありえそうです。
それも技術的にはできますね(笑)。いずれにしてもPSPの性能的には問題なく,弊社も含めて,コンテンツ提供元がどのように展開していくかということによります。
それに,あれはできない,これはできないというふうにはしたくないので,何でもできる可能性を持たせてあります。
▼想定している購買年齢層・性別の割合はどうでしょう?
そのあたりはオールラウンドに捉えていて,男女問わず,あらゆる年齢層の方に買っていただきたいというスタンスです。
本体のコンセプトに関しても,誰でも持ち歩ける,万人に受け入れられるデザインにこだわりました。男性向きだとかに限定せずに,中性的なイメージに,と。
▼無線LAN対応はゲームの多人数プレイのほかには,どんな用途で展開されるのでしょう?
これも各タイトルでの対応になるんですが,接続はアドホックとオープンインターネットのいずれも可能なので,双方を組み合わせることで,かなり幅広いサービスが提供できるはずです。
インターネット接続させれば,プッシュ型配信を行うこともできるし,もちろん,いわゆるネットワークゲームも。アドホックの場合は,1対1でデータをやりとりしたり,ローカルでのマルチプレイも楽しめるでしょう。
あとは,自分が持ち歩いていれば,周りでPSPを持っている誰かを探したり探されたりするかもしれない。そこで交信して,口コミのようにじわじわ広がるような,何か新しいコミュニケーションの世界が広がるかも……。
▼つまり,PSPはコミュニケーション手段にもなる?
チャットやWebブラウズなど,現在のインターネットですでにやれているような用途は,何の支障もなく実現可能だと思います。
▼ESSID(ネットワーク上の各機器の識別子)なんかはどうなっているんでしょう?
ESS-IDは自分で変更もできるようになっています。当然ながら,個別にMACアドレスも振られてますよ。あと,無線LAN機能はメカスイッチでオン・オフが可能です。
▼無線LAN機能はIEEE802.11bを採用していますが,aやgも載せるという選択もあったのでは?
IEEE802.11bはすでに最も普及している規格であり,技術やハードウェアもこなれているので,そこを狙いました。aやgを載せてもパーツサイズはさほど変わらないと思いますが,消費電力は違ってくるかもしれません。
▼電車の中で将棋や麻雀といったサウンドがあまり重要はないタイトルを遊ぶときには,自分で用意した音楽を聴きながらプレイしたいですね。
システムでの対応は特にしていませんが,これも個別のタイトルで実現できます。たとえば,メモリースティックの特定ディレクトリに音楽ファイルを入れておけば,それが再生されるとか。
▼基本はあくまでゲームだとは思うのですが,ビデオや音楽も含め,PSPはあらゆるエンターテイメント体験の核となる可能性を秘めていそうです。
携帯ゲーム機の分野で,開発者が必要とする3D表現を十分にこなせるのは,この製品,この世代が最初だと思います。これまでは,いろいろやりたくてもやれなかったんですよ。
本来は液晶画面一体型のPSoneを,よりコンパクトにしてバッテリ駆動にし,屋外での持ち運びを可能にするというのが開発コンセプトの出発点でありました。
でもいまは,開発者も,もちろんユーザーも,すでにPS2の表現能力に慣れてしまっているわけですからもう後戻りはできない。それがわかるにつれ,PSPはむしろPS2に近づいていきました。
最終的には,3D表現でも妥協せずに想定していたパフォーマンスをすべて実現できています。この性能があれば,音楽やビデオを含むエンターテイメントコンテンツ,さまざまなネットワークサービスなど,乗せられるアプリケーションは,無限に広がるのではないでしょうか。
▼GPSユニットの参考出品もありましたが,PSPの性能を生かせば,ナビゲーションのマップ表示なんかも容易に3D化できるわけですしね。
そういうことです。可能性としては,十分ありえますね。
PS2のゲーム機としては現在最高峰のハードウェア性能,あるいは,ゲーム機で培ったユーザーフレンドリィなインタフェースや操作体系を,DVDレコーダーという家電製品に転用・活用したのがPSXである。
同じように,PSPは携帯機器ながらPS2に近いレベルのゲーム性能を持たされたからこそ,自然とゲーム以外での用途にも難なく転用可能というわけだ。
ゲーム機をベースとするPSPが,どこまで可能性を広げていくのか。それは未知数だが,すでに同種の成功例があるだけに展望は明るいかもしれない。つまり,電話という核をベースに,あらゆる用途へ手を広げた携帯電話だ。いずれにせよ,PSPの今後が非常に楽しみである。
・「PSP PlayStation Portable」特集 INDEX
・高性能ポータブルデバイスPSPとは?
・開発者インタビュー
・デザイナーインタビュー
・12月16日発売ソフト紹介
・同時発売ソフト紹介
・PSPソフトラインナップ
・PSP 2004 INDEX
・PSP INDEX
・SOFTBANK GAMES TOP INDEX
※画面写真は開発中の為,実際の製品とは異なる場合があります。
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