デザイナーインタビュー
携帯ゲーム機としては今までにない多機能機となったPSP。ポリカーボネイト素材を使った高級感溢れるそのデザインを手がけたソニー株式会社クリエイティブセンター・バリュースタジオに在籍するベテランデザイナー小笠原氏にPSPデザイン秘話を聞いた。
小笠原氏は'78年にソニーに入社。さまざまなソニー製携帯電話やのデザインに関わり近年は携帯電話の210i/504iをはじめ, PDAの「クリエ」UX50,「バイオU」といった数々のモバイル系の製品デザインを担当したソニー専属プロダクトデザイナーだ。
ソニー・コンピュータエンタテインメントの携帯ゲーム機のデザイナーとして抜擢されたのも納得できる。
PSP誕生までの経緯
デザイン作業に入ったのは,1年半前くらいですね。2003年のE3の後から指名を受け,スケッチを描いたのが7月のはじめぐらいからです。
コンセプトモデルが2003年11月にお披露目されたのですが,PSPのセールスポイントである4.3インチワイドスクリーンと,新しいメディアUMDを最大限にアピールしながらゲーム機として使いやすく,さらにコンパクトにすることが課題でした。
そのあと少しずつ細かい部品の仕様とか,必要なボタンの種類とかがはっきりし始めて,デザインもコンセプトからできるだけ外れないようにまとめあげました。姿が見えたのが今年のはじめぐらいです。
使い勝手を意識したコンセプト
最初のコンセプトモデルはかなり薄く鋭角的なデザインでしたが,最終的には表面が少し湾曲していて,Rもかなり柔らかく入っている高級感が高いデザインになりました。
そこに行き着くまでが大変で,とにかくできるだけコンパクトに,なおかつコンパクトだけど使いやすくするのが目標となりました。
4つのコーナー部分がカットされて,それぞれいろんな機能が持ったときに邪魔にならない,あるいは使いやすいようにフィットする……という,設計的には非常に面倒なものになっています(笑)。
コンセプトモデルのときは,まだ細かい基板のサイズや,必要なスイッチの種類は確定していなかったんです。ただ,ゲームをきちんとできるような小型のもの,と考えた場合に,画面を中心に使いやすいコントロールパネルと,スリムなしっかりした構造体,ということを考えました。
やはり携帯電話やウォークマンなどの商品と一番違うのは,ゲームだとどういう力の入り方が分からないのも苦労した点ですね。握ったときに間違ってほかのボタンを押さないような配置にしたり苦慮しました。
正面はコンテンツが綺麗に見られるように,でも後ろ側は曲面を作ることによって手にフィットする感じにしました。この曲面を作ることによって,手が小さいお子さんでも上手くつかめるような機能も持たせることができたと思います。 次のページへ
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※画面写真は開発中の為,実際の製品とは異なる場合があります。
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