私が夢に見たマシンがついに登場する――J・アラードが情熱を注ぐ「Xbox 360」とは(3/3 ページ)
MicrosoftのチーフXNAアーキテクトであり、Xbox 360のハードウェアを統括するJ・アラード氏。彼がXbox 360についてひとたび語り出すと、その熱を帯びた言葉に、こちらの感情が吸い込まれていくかのような錯覚を覚える。“Xboxのエバンジェリスト”にXbox 360について聞いた。
Xbox 360のデザインは2社のコラボレーション
Xboxのデザインについても、先に述べた“単一のビジョン”に基づいている。Xbox 360のデザイン作業をするに当たっては、我々は“彫刻家”であろうとした。彫刻家というものは、素材に対して明確なビジョンを持ち、削り取りながら作品を仕上げていく。本体デザインは、この考えを元に作り上げられている。
XboxとXbox 360は、デザインの性格が違う。Xboxはどちらかというと、どう猛な、たとえばキングコングのようなイメージだ。しかしXbox 360は、もっと中に秘めた力強さを持っているイメージ、いわばブルース・リーのような強さなのだ。
Xbox 360のデザインを考えるに当たっては、構造的なものから有機的なものまで、そして優しいイメージから激しいイメージまでを軸に、どのようなイメージを構成するかを考えた。Xboxは、どちらかというと“構造的”で“優しい”イメージだ。しかしXbox 360は“有機的”な“激しい”イメージをもとに構成することを決定した。
Xbox 360のデザインイメージは本体だけでなく、メモリカード、取り外し可能なHDD、コントローラー、HD対応のカメラ、無線LANユニットに至るまで、全て統一したイメージで作られている。もちろん、内蔵のインタフェースも同様だ。インタフェースの端にある“カーブ”が、本体のカーブにも影響を与えている。
ところでXbox 360のデザインは、何度も言うように“単一のビジョン”に基づいて作られており、彫刻をイメージするアプローチでデザインを考えたのだが、この目的を達成するためにも、実際に私は彫刻家を雇い、デザインを考えてもらった。私は彼をチームに加え、世界中のどのデザイナーでもいいので、自分が気に入ったデザイナーを連れてくるように伝えた。
そして、世界中にある会社から12社を選び、そこに在籍する12人のデザイナーから、Xbox 360のデザインを募集し、それぞれのイメージをゲーマーに見てもらった。ゲーマーの意見も、“有機的”な“激しい”イメージがよいだろう、ということであった。
そして12個の中から、最終的に2つのデザインが残った。1つは日本の大阪にあるハーズ実験デザイン研究所、もう1つはサンフランシスコにあるAstro Studiosだ。この2社で最終コンペを行ったのだが、我々の結論は“両方の会社を採用する”ということだった。ハーズとAstro、そして我々がコラボレーションすることで、Xbox 360のデザインを完成させた。最終的には両者共にお互いを尊敬し合い、非常にいい仕事ができたと思っている。
Xbox 360のトップパネルは着せ替えが可能
Xbox 360では、使い心地を考えて、Xboxのものよりもコントローラーが軽く、小さく、そしてワイヤレスになっている。この中央にある「Xbox 360ボタン」を押すことで、たとえば友達の家にあるXbox 360にもつなげることができるし、ネットワークを通じて自分がログインしたことを知らせることができる。
このボタンは「Xbox 360ガイド」を起動するのにも使う。友達があなたを招待したときには、このボタンを押せばチャットできるし、BGMを変えることもできる。また、ゲームをしているときに、ほかの人からのメッセージを受け取らないようにすることもできるが、もしその時何かのメッセージが来た場合には、電源ボタンの周りにあるリングが光るとともに、コントローラーのボタンも光る仕組みになっている。このリングには1〜4の番号が配置されており、4人のプレーヤーに対応する。メッセージが来た時に光るのはもちろん、リングにある自分の場所だけだ。
なお、本体は縦置き可能だが、横にしたときには、光る場所も追従して、縦置きの時に見たときと同じ位置に表示される。モーター音も制御されており、縦でも横でも静かに動作するように考えてある。なお、DVDで映画を見ているときには、3つあるCPUのうち2つを休止させ、より静かに動作させることができる。
Xbox 360のトップパネルは取り外しが可能で、自分の好きなデザインに変えられる。これにより、ゲームシステムがゲーマーを中心として回っている、ということをより強く感じることができるだろう。ちなみに私のお気に入りは「トランスフォーマー」のデザインだ(笑)。
Xbox 360が発売されるときには、いくつかのトップパネルしか存在しないかもしれないが、数年もたてば何百ものパネルを利用できるようになるはずだ。ファッションや音楽、ゲーム、アニメなど、いくつものパネルがリリースされ、個人の好みに合わせて取り替えることができるようになるだろう。カーボンファイバーをイメージして作ったパネルは気に入っているので、リリース時には用意するつもりだ(笑)。
なお、内蔵されているインタフェースも着せ替えができる。たとえば、何かのキャラクターをフィーチャーしたインタフェースに変えたい場合には、その情報をメモリカードに入れ込んでおけば、差した瞬間に自分好みのインタフェースへと変わるようになる。
Xbox 360は、私が欲しいと思っていたものを詰め込んだマシンだ。この願いがようやく今年実現する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Xbox 360で“HD時代”のマーケットリーダーに――ロビー・バックは語る
ついにベールを脱いだ「Xbox 360」。Xbox 360の目指すもの、そしてマーケティング戦略について、チーフXboxオフィサーであるロビー・バック氏に語ってもらった。 - 日本市場をターゲットに見据えたタイトルでトップを取る――ピーター・ムーア
Xboxのマーケティングとコンテンツの総責任者であり、Microsoftのバイスプレジデントであるピーター・ムーア氏。かれはこの2年間、これまで犯した失敗からどのように復活できるのか学び、考えてきたという。Xbox 360ではどのようなタイトルで日本市場を攻めるのだろうか。 - 「Xbox 360」はハード・ソフト・サービスが有機的に連携できるプラットフォーム
マイクロソフトのXbox事業本部長である丸山嘉浩氏は、「次世代Xboxプレビュー」の席上、新ハードウェアである「Xbox 360」を紹介。ハード、ソフト、サービスを有機的に連携させ、高品質なゲーム体験を提供すると述べた。 - 鳥山キャラに惹かれ、重松シナリオに泣く――「ブルードラゴン」と「ロストオデッセイ」で挑む坂口氏
ミストウォーカーの坂口博信氏がXbox 360向けに用意していたのはRPG2本。「ブルードラゴン」は鳥山明氏のキャラクターが自由に動き回り、「ロストオデッセイ」は直木賞作家・重松清氏の“泣けるシナリオ”に、井上雄彦氏のキャラクターが加わる大作RPGとなった。 - 「大軍勢感」と「マルチアングル・シナリオ」で迫る「Ninety‐nine Nights」
キューエンタテインメントの水口哲也氏がXbox 360向けに製作している「Ninety‐nine Nights」。韓国のPhantagramとのコラボレーションとなるファンタジーアクションゲームは、「大軍勢感」がコンセプトだ。 - 坂口博信氏、水口哲也氏、両者の開発タイトルの正式名称が明らかに――次世代Xboxプレビュー
ついに明らかにされた次世代Xboxの正式名称。発売は2005年内を予定しており、これに伴い、すでに参加を表明していた日本人クリエイターによるタイトルにも動きが……。