人生は選択の連続だ。子だくさんの悪人? 人々から尊敬を集める衆道家? あなたの行動で世界は変わる:「Fable II」レビュー(1/2 ページ)
その自由度の高さから、知る人ぞ知るRPGとして語り継がれてきた前作から4年、さらにパワーアップして登場したXbox 360用ソフト「Fable II」。あなたの映し鏡となるプレイヤーキャラクターは一体どんな姿になるのか……。
「ポピュラス」や「ダンジョンキーパー」など、独特のゲームデザインでおなじみのピーター・モリニュー氏が満を持してRPG、それが「Fable II」だ。2006年のインタビューで同氏が「Fable IIが失敗したらゲームデザインをやめる」とまで言い切った自信作でもある。
なお、本作はCEROレーティングが18才以上のみ対象の「Z」となっているが、いわゆるグロテスクな表現を全面に押し出したゲームではないことをお断りしておきたい(この理由としては、一部の戦闘表現にやや暴力的なものがあること、NPCとの会話内に性的なニュアンスを含ませたものなどがあるためだろう)。
本作の最大の魅力は、プレイヤーの行動にすべてを委ねている点にある。ストーリーの中で発生するミッションの選択結果だけではなく、街での振る舞い、人生の伴侶の選択、さらには避妊をする、しないといったレーティングZ的な選択肢も存在する。このほかにも、プレイヤーの性別、服装、髪型、カラー、そして体型なども自らの選択によって変化していく。
ただ一本道のストーリーを傍観者として追いかけていくだけではなく、舞台となる世界・アルビオンで、自分の分身がどう生きていくかを堪能する、それが本作の楽しみ方と言えるだろう。
なお、前作「Fable」はXbox 360のオンラインサービス「Xbox Classics」でダウンロード販売(価格は1200マイクロソフトポイント=約1700円)されている。本作から500年前、アルビオンで何が起こったのか興味のある人はこちらもぜひ。
前作から500年後、そこは魔法が忘れられた世界
Fable IIのストーリーは前作で英雄が世界を救ってから500年後のアルビオンを舞台に繰り広げられる。バウワーストーンのスラム街に姉と2人でひっそりと暮らしている主人公(性別はゲーム開始時に選択可能)たちが、ある日街に訪れたうさんくさい行商人から「魔法のオルゴール」を手に入れるところからゲームは始まる。
このパートは、チュートリアルの要素が高く、魔法のオルゴールを手に入れるため、街の人々からさまざまなお使いを頼まれながらクエストを進めていく。しかし、ここではすでにプレイヤーの今後を決定する選択が始まっている。例えば、探してくれと頼まれたお酒を禁酒中の旦那に渡すか、それをいさめる奥さんに渡すか、あるいは衛兵に頼まれた逮捕令状を盗賊と衛兵のどちらに渡すか、などの選択結果で今後の町並みが変化していく。
そして、10年の時が過ぎ、青年となった主人公は複数のエリアで構成される広大なアルビオンでの生活を始める。人々の助けになる善行と、自分の欲望の赴くままに行動する悪行のどちらを積み重ねていくかによって、プレイできるクエストや街の人々の対応が変化し、顔つきまで大きく変わっていく。自分がどういった道を進むかは自分次第というわけだ。
戦い方も自由、どう戦うか、それも自由
攻撃スタイルは、剣や斧などの近接攻撃、ボウガンや銃などの遠距離攻撃、ウィルと呼ばれる魔法攻撃の3種類が用意されている。それぞれの攻撃で敵にダメージを与えると、それに応じた経験値を取得できる。たまった経験値は「アビリティ」にポイントを割り振ることによって、新たな攻撃方法や魔法を覚えられる。
近接攻撃は、ガードや連続技スキルを、遠距離攻撃は、狙撃や攻撃速度のアップ、魔法攻撃は、敵の移動速度を遅くする「タイムコントロール」や、敵の死体を蘇らせて戦わせる「レイズデッド」などが用意されている。これらのアビリティレベルに応じてプレイヤーの姿も変化してくので、自分のなりたいイメージに合わせた戦闘方法を突き詰めていくのもアリだろう。ただ、最終的にはすべてのアビリティをマスターすることができるため、どれを先に覚えるか程度の問題だ。
Fable IIはアクション性の高いRPGだが、難度はそれほど高くなく、アクションゲームが苦手な人でも敵から距離をとりつつボタンを押していれば、プレイヤーが華麗なアクションを決めてくれるのもうれしいところ。
街の人々との交流によってもゲームは大きく変わっていく
Fable IIに登場する人々はまさに“アルビオンの中で生活している”といってもいい。街の中に自宅を持ち、店を経営したり、街道沿いで行商をしていたり、あるいは夜の街で春をひさいでいたり、思うが街を駆け回る子供たちもいる。彼らの生活にどういう形で干渉するのかもまたプレイヤーの自由だ。住人を口説き落として人生の伴侶とする、店を買い取って家賃を徴収する、店の売り物を破壊するなど、できることはさまざま。悪行を重ねれば街の衛兵に追われることもあるが、それもまた自分の選択が引き起こした結果。それを甘んじて受け入れるもよし、抵抗に抵抗を重ねるもよしだ。
また、街の人々との人間関係は踊りや歌、相手をバカにする動作などのアクションによって決定される。相手の好きな行動を取っていくとプレゼントを贈られたり、結婚を迫られたり、少し大人な場所に誘い込めたりする。また、プレイヤーの服装に対しても好みがあるようで、気に入らない服を着ていると“その格好はなんとかしたほうがいいのでは……”などとコメントしてくれることもある。人々のセリフは非常に数多く、敵として登場する山賊たちもウィットに富んだコメントが用意されている。目的もないままふらふらと街を歩いているだけでもかなり楽しめるだろう。
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