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人生は選択の連続だ。子だくさんの悪人? 人々から尊敬を集める衆道家? あなたの行動で世界は変わる「Fable II」レビュー(2/2 ページ)

その自由度の高さから、知る人ぞ知るRPGとして語り継がれてきた前作から4年、さらにパワーアップして登場したXbox 360用ソフト「Fable II」。あなたの映し鏡となるプレイヤーキャラクターは一体どんな姿になるのか……。

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やり込み要素盛りだくさん。Xbox LIVEアーケードタイトルとの連携も

 本作のストーリーモードは、10時間もあればクリアできてしまう。しかし、ストーリー本筋とは異なるやり込み要素が非常に多く用意されており、プレイヤーを飽きさせない。マップを歩いているとどこからかプレイヤーの悪口を好き放題言いまくっている石像「ガーゴイル」の破壊、前作でもおなじみの謎のカギ「シルバーキー」収集、全8ラウンドを戦う「試練の迷宮」のタイムアタックチャレンジ、射撃スコアを競う「ウェストクリフ射撃場」、街道のどこかに存在する巨大な「デーモンの扉」の開扉、いろいろな居酒屋にいるカジノマスターとの「カジノゲーム」など、すべてをやりこもうとするとかなりのボリュームがある。いずれもクリアすればレアなアイテムをゲットできるので、本編を進めながら同時にプレイすることをオススメする。

 また、別途Xbox LIVEアーケードで配信されている「Fable II パブゲーム(800マイクロソフトポイント=約1000円)」との連動要素もあり、パブゲームでお金をためてから本編をスタートすれば資金面で大幅に攻略が楽になる。もちろんFable II本編からパブゲームのデータ移行も可能だ。

photo どこからかプレイヤーの悪口を言いまくっているガーゴイル、耳を澄まして場所を特定しよう
photo 世界のあらゆる場所に配置されているシルバーキーを探すと、隠された宝箱を開けられる
photo デーモンの扉は条件を満たすことで、その扉を開いてくれる

photo 解説者による実況が場を盛り上げてくれる「試練の迷宮」。経験値稼ぎにも最適だ
photo 地道にお金をためるだけでなく、パブゲームで一攫千金を狙ってみるのもいいかも

オンライン協力プレイはあくまでもオマケか

 ゲーム中、Xbox LIVEに接続した上でオプションの「オンラインオーブ」を表示させると、同じ場所にいる世界のプレイヤーがゲーム内に表示される。この状態で、プレイヤーの情報や、協力プレイの呼びかけ、プレゼントを贈ることができる。ほかのオンラインゲームと異なり、ネットワークに接続していればシームレスにオンライン協力プレイへ移行できるのは非常に親切な仕組み。昨今のオンライン対応ゲームは、このシステムを導入しはじめており、今後のスタンダードスタイルになるのではないだろうか。

 しかし、このオンライン協力プレイモード、筆者はてっきり自分の育てたキャラクターをオンラインに持ち込んで仲間と一緒に遊べるのかと思っていたのだが、クライアント側のプレイヤーは、何種類かのテンプレートから使用キャラクターを選択してホストの手助けを行うだけ。

 さらには、2人のプレイヤーが同じ画面内に収まっていなければならず、カメラワークの都合でキャラクターを動かしづらくなってしまったり、意思の疎通をしっかりとしていないとダンジョンを進めることすら難しい。これではオフラインの協力プレイ(コントローラーを2つ使用する)とほとんど変わらない。ただ、訪れたフレンドの街で大暴れしてひんしゅくを買うのは楽しかった、という思い出は忘れずに付け加えておきたい。

 確かに前作とは異なり、オンラインプレイもできるのだが、ほかの部分が前作から大幅にパワーアップしているが故に肩すかしを食らった感があり、かなり不満が残る。ゲームデザインに整合性を持たせるための判断なのか、技術的な理由からなのかは分からないが、ゲームの中に別の自分を作り出す喜びを与えてくれる本作だからこそ、お互いのキャラクターを持ち寄ってほかのプレイヤーと遊びたいと思うのだが……。

photo オンラインオーブが見えている状態なら、プレイヤーの情報の表示や協力プレイを要請できる
photo オンラインの協力プレイでは、あらかじめ獲得したゴールドや経験値の分配を設定する
photo 画面が固定されているため、思うような操作ができないのが難点だ

独特な操作感に慣れるまでに少し時間がかかる?

 全体的な完成度が非常に高い本作だが、いくつか気になる点もある。まず、キャラクターの移動がややもったりとしているところ。スティック操作に追随してキャラクターの向きが変わるのだが、細かな操作についてこない。例えば、建物の前にある看板を選択しようとしてもうまく移動できなかったり、通路の狭いダンジョンでオブジェクトに引っかかってしまったりすることが都度ある。

 また、メニューまわりのインタフェースも、カテゴリごとに分けられているのだが、アイテム数が多くなるとスクロールバーが途端に長くなり目当てのアイテムを探すのが面倒になることもしばしばあった。

 さらに、攻撃手段としての魔法も長押し時間によって5段階のレベルで使い分けられるのだが、これも後半になると使い分けるシチュエーションになかなか巡り会わない。そのため、結局1〜2種類の魔法を長押し用と単発用で使い分ける程度になってしまう。この理由はゲーム自体の難度がそれほど高くないために、魔法を場所に応じて使い分ける必要があまりないためだと思われる。

 ゲームデザインを追究しすぎたが故か、プレイヤーにとってやや不親切な部分が目につくが、これらの減点要素もゲームの魅力を台無しにするほどのものではないことはお断りしておく。

photo 食べすぎで太ってきたらセロリでダイエットを
photo スキルのアビリティを身につけることで、ズームしての狙撃が可能になる

善行と悪行の狭間で揺れる心をも楽しめる大人の方に

 本作は、1キャラクターにつきセーブデータをひとつしか保存できない。つまり、“この選択をして、気に入らなかったら別のセーブデータで始めよう”ということができないわけだ。善行を積み重ねてきた村人からの信頼が、つい出来心で犯した罪によって崩壊してしまった、ほかの街に奥さん子供がいるのにも関わらず、ついつい誘いにのって重婚したら、突如家に謎の手紙が送られてきてしまったなど、できること、やれることは非常に自由だが、その代わりに必ずツケが回ってくる。“やってみたい”という気持ちとどう付き合っていくかも、このゲームの楽しみのひとつといえる。

 ストーリーやクエストライン、街の人々の生活感は全般的に非常に丁寧な作りで、自らの判断によって世界が大きく変化していくFable IIは、まさに“ロールプレイング(役割を演じる)”のお手本だ。壮大なムービー、ド派手なキャラクターたちが描き出すお仕着せの日本的なRPGと違って、ぱっと見はやや地味な感があるものの、ゲームを一度スタートするとアルビオンの世界から抜け出せなくなるはず。

 日本語ローカライズもボイス吹き替え、テキスト翻訳を始めとして、非常にしっかりと行われているし、キャラクターデザインもそれほど日本人の好みから離れていない。“洋ゲーRPGは難しいから”“レーティングがZだから”と尻込みしていた人にも、ぜひとも一度手にとってもらいたい良作だ。

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