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ゲームでタンパク質の構造を解析――米ワシントン大のユニークな試み日々是遊戯

米ワシントン大学が開発した「Foldit」というゲームが面白かったので紹介します。このゲームが学術誌「Nature」に掲載された理由とは?

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実際遊ぶと……難しいです

 ついこの間、Twitterで教えてもらった「Foldit」というゲームが面白かったので紹介します。

 このゲーム、米ワシントン大学が2008年に発表した無料のパズルゲームなのですが、この「Foldit」を題材に書かれた論文が、総合学術誌「Nature」に掲載されたことで再び注目を集めているとのこと。

 「Foldit」の大きな特徴は、ゲームで遊びながらHIVや不妊治療などの研究に貢献できるということ。新薬開発に必要な「タンパク質の立体構造シミュレーション」を、コンピュータではなく人間にやらせてしまおう、というのが「Foldit」の狙いだそうです。

 ゲームが開始されると、画面には複雑に絡まったタンパク質の立体モデルが表示されます。これをマウスで動かし、もっとも安定する形に収めることができればステージクリア。最初のうちは簡単な問題ばかりですが、進むにつれて徐々に複雑な形のタンパク質が出題されるようになっていきます。

ワシントン大学の「Foldit」。枝の部分をマウスで動かし、安定した形へと導いていきます

 それくらいならコンピュータに解析させればいいのでは?――と思われるかもしれませんが、実はタンパク質の立体構造には無数のパターンがあり、コンピュータを使って計算したとしても膨大な時間がかかってしまう、というのが実情。それなら発想を変えて、人間の「直感」や「認識能力」を解析に生かすことができれば……ということで生まれたのが「Foldit」というわけです。ちなみにPS3ユーザーにはおなじみの、スタンフォード大学の「Folding@home」プロジェクトは、この膨大な解析処理を世界中のコンピュータに手分けして行ってもらおう、という試みですね。

 今回Nature誌に発表された論文「Citizen science(市民がみつけた科学的発見)」によれば、結果は上々とのこと。実際に「Foldit」のトップランクプレイヤーはコンピュータよりも優秀な成績を収めており、彼らの「解き方」のアルゴリズムは今後のコンピュータ解析にもフィードバックされていくそうです。これもある意味ではシリアスゲームの一環と言えそうですね。


こちらはマギル大学の「Phylo」。様々な動物の塩基配列をドラッグで動かし、もっとも近い部分を探します

 同じような試みとしては、カナダのマギル大学が先日公開した「Phylo」というFlashゲームがあります。

 これも一見しただけではただのパズルゲームですが、遊ぶことで様々な遺伝子疾患の原因特定に役立つ点が特徴。4色のブロックは遺伝子の塩基配列を表しており、上下でなるべく似た塩基配列を見つけて並べることでスコアがアップ。スコアが一定の目標ラインに達するとステージクリアとなります。

 なお、上記「Foldit」はWindowsXPおよびVista、Intel OS X(10.4以降)、Linuxにそれぞれ対応。「Phylo」は基本的にFlashが動作するブラウザならOKです。興味がある方はダウンロードして実際に遊んでみてはいかがでしょうか。

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