コンデジでもCGみたいな超絶カッコいい写真が撮れた――ランボルギーニ撮影裏話:ナニコレ
ランボルギーニ「アヴェンタドール」の取材に行ったときのこと。さっそうと一眼レフカメラを取り出した記者は、恐ろしい現実に直面した。このカメラ、いつもより軽いぞ……。
冒頭から手前みそだが、昨年末に掲載したランボルギーニ「アヴェンタドール」のフォトリポートが予想以上に好評だった。実はこの記事、写真はすべてコンデジ(コンパクトデジカメ)で撮影したものだ。最初からコンデジで撮るつもりではなかったのだが、現地で発生したトラブルにより、コンデジの良さを再認識する結果となった。
取材にはメイン機として一眼レフデジタルカメラ(EOS Kiss X2)と、サブ機としてコンパクトデジカメ(IXY 30S)を持参した。場所は国立競技場で、時間は夜。ライトアップされたアヴェンタドールをたくさんのカメラマンがバシャバシャと撮影していく。
ほとんどのカメラマンは高そうなレンズを装着した一眼レフを使っていて、自分も負けじと一眼レフで撮影を始めようとしたとき、とんでもない問題に気がついた。バッテリーが入ってない……。充電したまま、本体に戻さないで来てしまったのだ。周りにいるのは車の専門誌の記者や、車の撮影に慣れているカメラマンたちばかり。サブ機のコンデジでアヴェンタドールのカッコよさが伝わるのだろうか。同僚に「俺の写真あげようか?」と言われた瞬間、何かが吹っ切れた。
あきらめたらそこで試合終了
これだけの被写体を前にスゴスゴと手ぶらで帰るわけにもいかない。せめて最低限の写真は撮って帰ろうと思ってコンデジを取り出した。
サブ機とは言ってもこれまでの取材ではかなり活躍していて、例えば「魂フェスティバル 2011」の写真はほとんどサブ機で撮ったもの。製品レビューをさせてもらった際に性能に感心して購入したカメラだが、インタビューなどでさっと人物写真を撮りたいときや、光量が足りない場所での撮影に重宝している。
コンデジだと一眼のような芸術的なボケは望めないし、少しぼやけてしまうのが難点。しかし、撮影後に画像編集ソフトで補正をかけることで多少はカバーできる。どの写真を使うかは会社に戻ってから考えようと思って、いろいろな構図で数多く撮ることにした。帰り道、せっかくのアヴェンタドールの撮影でミスってしまったと落ち込んだのは言うまでもない。
しかし、である。帰社してから確認してみると、思っていたよりよく撮れている。それどころかコンデジとは思えないほどカッコよく撮れている。同僚からも「CGじゃないの?」「ポスターみたい」と大好評。そして記事になったのが「圧倒的にカッコいい… ランボルギーニ「アヴェンタドール」日本初公開」だ。
記事の最初にデカデカと使った写真は、アヴェンタドールの車体がCGのように見えるが、ソフト面での加工はほとんど行っていない。ほかの写真はシャープネスを強くしたり、明るさとコントラストの調整、ノイズが多いときは低減処理を行っている。ちなみに、画像編集ソフトは「JTrim」というフリーウェアを利用している。
カメラは使い分けが大事
一眼レフカメラは撮影場所が暗くて外付けのストロボが必要なときや、時間をかけて芸術性の高い写真を撮りたいとき、高速連写が必要なときに重宝する。一方で、被写体や撮影角度などを変えるたび細かく設定を調整しないと壊滅的な写真になってしまうことがあるため、撮影時間が限られているときは使うのが難しいという欠点もある。いまいちな写真はまだしも、壊滅的な写真は掲載できない。
コンデジは本体が小さく軽いため、機動性は文句なし。取材陣だらけで撮影場所を確保できない発表会では、背面の液晶画面を頼りに(時には見ずに)上下左右に手を伸ばすことで撮影場所を確保することもあるくらいだ。
コンデジで100点満点を超える写真を撮るのは難しいが、そういった芸術性の高い写真はニュース記事に必須ではない。暗くなかったりブレてなかったり、最低限のレベルをクリアした写真が必要な数だけ撮れているというのが重要なのだ。
とは言っても、一眼レフのバッテリーを忘れていなければもっとカッコいい写真が撮れていたかもしれないわけで、今度から予備バッテリーをカバンに入れておこうと心に誓ったのだった。
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