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ロボットでサバイバルゲームできるのか「ロボでサバゲ!」メカニズム編(2/2 ページ)

ゲーム編では、「ロボでサバゲ!」が行っている屋内でのロボットを使ったサバイバルゲームを紹介したが、メカニズム編では使われている機体がどういったものかを紹介する。

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最新機器に対応した「アーノルド・スタローン」

 ロボットビルダー、ノボリサカ氏制作の「アーノルド・スタローン」は、大学でロボットを研究していたという経歴を持つ氏の実験機という側面もある。そのため、無線LANの対応やLinuxによる制御など最新の機器への対応がなされている。「ロボでサバゲ!」に必要とされる以上の様々な機能があり、PS VITAからの操縦や自動照準プログラムによる照準補助なども試行されている。ちなみに当初の命名は「アームド・スタローン」だったのだが、それを聞いた他の参加者が「アーノルド・スタローン」と聞き違えそちらが定着してしまい、ノボリサカ氏も「強そうだからいいか」ということで、そちらを正式名称にしてしまったのだそうだ。

画像 「アーノルド・スタローン」の特徴は、やはり2つの電動ガンを装備する2丁拳銃スタイルだろう。砲塔部分は左右に回転するだけでなく、上下にも動く。操縦系、映像系の通信はともに無線LANを使用している。6つの脚を持つ多脚ロボットなのは、多脚だと1つ1つのサーボモーターが比較的非力でも可搬性が増すという利点があるため

「アーノルド・スタローン」使用パーツ、スペック

ロボット本体

シャーシ材質:自作アルミプレート

動力:近藤科学 サーボモーター KRS-2552HV 12個(脚1つにつき2個、6本分)

移動、被撃破制御:近藤科学 RCB-4HV(ロボットのサーボを動かすためと、センサーを読み取って撃破されたときのモーションを発動するために使用)

操縦、映像用通信:近藤科学 KCB-3WL(Linux搭載の無線LAN制御ボード、搭載USBカメラの映像をネットワーク経由で送信できる。メーカー生産終了品)

砲塔部

材質:近藤科学 KHR-3HVの胸部アルミフレームと自作アルミフレームの組み合わせ

電動ガン:東京マルイ ミニ電動ガン ウージーSMG ミニ 2丁

射撃制御:近藤科学 KCB-2(他の参加機体は「ロボでサバゲ!」専用の発射装置を使用)

被弾回路:「ロボでサバゲ!」公開標準回路

動力:近藤科学 KRS-2552HV 3個(銃の回転および仰角、俯角動作)

カメラ:USBカメラ(Logicool HD Pro Webcam C910)

装弾数:約2000発(左右約1000発ずつ。砲塔上部の追加弾倉含む)

電源

リチウムイオンポリマー(Li-Po)バッテリー 11.1V(3セル) 830mAh 1個

操縦用機器

送受信機:ノートパソコン(内蔵無線LANを使用)、無線LANルーター(なくても操縦可能だが、あればほかのパソコンやPS VITAなどからも同時にコントロールすることができる)

コントローラー:ゲームコントローラー(PS3用無線ゲームコントローラーを使用)


画像 電動ガンの上部に、大日本技研の田中氏が製作した追加弾倉を装備している。追加弾倉を含めると1丁約1000発が2丁で、合計約2000発の装弾が可能。3点バーストショット(1射撃で3連射)の設定にしているが、100発撃ちきるまであっという間だそうだ。銃は片側だけの射撃も可能で、遮蔽物の陰から有利な体勢で闘うこともできる

ノボリサカ氏による、「アーノルド・スタローン」の操縦デモンストレーション。ロボットを目視するのではなく、搭載Webカメラの映像をノートパソコンの画面で確認しながら操縦している。相対する機体の、かなり細かな部分まで見分けることができる解像度の高さだ


画像画像 ノボリサカ氏は「アーノルド・スタローン」で様々な試みをしている。無線LANルーターの併用で、ノートパソコンだけでなく、PS VITAやスマートフォンで操縦可能だというのもそのひとつだ

ノボリサカ氏による、映像色認識自動追従プログラムのデモ。誤認識の問題があり、まだ実際の「ロボでサバゲ!」のゲームでは使用していない。将来的には、ロボットに移動方向などを指定すると勝手に敵を照準して追尾する半自律システムとするのが目標だそうだ


画像画像 「アーノルド・スタローン」の内部。メンテナンスがしやすいように、砲塔と胴体脚部という具合に上下に展開するようになっている。A. 撃破判定をする「ロボでサバゲ!」専用センサーボード B. Linux搭載の無線LAN制御ボード C.無線LANアンテナ D. 移動モーションの再生などを行うロボット制御ボード E. サーボモーター制御ボード

最大の敵は電波の混信

 ロボットを作ったことがない筆者からすると、制作の際はさぞかし機械的な部分で苦労しているのだろうと思ったのだが、「ロボでサバゲ!」でいちばん難しいのは安定した通信の確立なのだそうだ。参加機体が増えれば増えるほど、会場はUHFのカメラやRCプロポに加えて、無線LANによる電波も飛び交い混信して誤作動の原因となる。

 例えば複数の機体が同じ製品のカメラを使っていて、それが2チャンネルしか切替られないものだったとしたら、2台までしか使用できないし、そもそも気が付かずに同じチャンネルを使用していたら干渉してしまう。ノボリサカ氏が積極的に無線LANの搭載などをテストしているのは、ロボット同士の通信の干渉を回避するためという意味もあり、そこで得られたノウハウは他の参加者と共有することとなる。

 ロボットの制作にかかった費用だが、「電龍」は制作が長い期間におよんでいることから正確なところを算出するのは困難ということだったが、おそらく20万円の後半から30万円半ばくらいだそう(そのうち、送受信機に10万円弱かかっている)。「アーノルド・スタローン」は、前述のとおり「ロボでサバゲ!」に参加するだけでなく、ロボットでどんなことができるかの実験機でもあり最新の機器に対応している。そのため高価なパーツも積極的に積んでおり、ノートパソコンを含まずに15万円程度かかっているという。ただし、古めでパワーの弱い使わなくなったサーボモーターなどを有効利用しているので実質はもう少しリーズナブルだそうだ。

 ピックアップしたこの2台は、ベテランロボットビルダーの手によるほぼフルカスタムといって良い機体だが、「ロボでサバゲ!Wiki」では、市販RCを改造した低予算の機体製作の方法も紹介している。興味を持たれた読者諸兄姉は、一度確認してみてはいかがだろうか。あなたがもしロボットビルダーであれば、愛機をちょっと作り替えて、「ロボでサバゲ!」仕様にしてみるというのもおもしろい。サーボモーターが非力で二足では可搬能力が低く何も積めない状態でも、多脚に組み替えることで「アーノルド・スタローン」のように電動ガンを2つも搭載することが可能になる。「ロボでサバゲ!」では、参加機体を随時募集しているそうだ。

※電動ガンを分解するとメーカー保証などが受けられなくなりますし、仕組みを理解せずに動作させると危険です。実際にロボットを製作、動作させる場合は目を保護するゴーグルなどを用意し、細心の注意と自己の責任において行ってください。
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