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「脳波で会話」が当たり前になる?――「脳波で動くネコミミ」仕掛け人が語る、脳波デバイスの未来シッポもぜひ実用化してほしい(4/4 ページ)

日本人がまたよく分からないものを作ったぞ――。YouTubeに投稿された「脳波で動くネコミミ」の動画に、世界中のメディアが注目した。一体どんな人が作ったのか?

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脳波がコミュニケーションを変える

―― さっき実際に体験してみて、僕は自分の感情がダダ漏れになってしまうところにすごく新鮮さを感じたんですが、例えば脳波が本格的に僕らの生活の中に入ってきた時、どんな風に社会やコミュニケーションが変わっていくと思いますか。

加賀谷 そのへんになると、たぶんメンバー内でもそれぞれビジョンが違ってくると思います。僕なんかが思うのは、やっぱり自分の脳って見れないじゃないですか。これが視覚化されることによって、人間の能力拡張につながっていくんじゃないかって思ったり。

画面下に表示されている赤いゲージが集中、青いゲージがリラックスを表している。どちらも深く検知されるといわゆる「ゾーン」に突入。ネコミミがくるくると回りだす

―― 野球選手のように、いざというときに自在に「集中ゾーン」に持って行けるようになるとか。

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加賀谷 そうそうそう。

なかの 脳の筋トレみたいなことができる。

加賀谷 というのが、僕の大きなモチベーションだったりするんですけど、たぶんなかのさんなんかはもっと違う考えだよね。

なかの 私の場合、これまでにない感覚がどんどん出てくることで、人間自体がちょっと変化してくるところが面白いなって。あとは単純に、これをみんながかぶってたら相当平和な風景になるだろうと(笑)。

―― 人間が変わる一方で、コミュニケーションもきっと変わってきますよね。

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神谷 言葉もいらなくなりますよね。英語をちゃんとしゃべれない人でも、これがコミュニケーションのきっかけになるとか。そういう可能性はありますね。

加賀谷 面白かったのが、カップルに試してもらったとき。不思議なもので、動きがシンクロするんですよ。

―― へえ。

なかの 黒バージョンの方のビデオにちらっと映ってますね。

加賀谷 カップルでだんだん耳の動きがシンクロしてくるんですよ。あれはまさに新しいコミュニケーションだなと思った。

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なかの なんかちょっといい光景でしたよね。

神谷 それで相性とかも分かっちゃったりして(笑)。

―― 本格的な脳波の研究をしてる人でも、こんなことやってる人はいないと思います(笑)。

脳波が普及すると「機会」が増える

―― 例えばこの技術がもっと普及していって、みんなが当たり前に脳波を使うようになったら、社会もきっと変わってきますよね。

加賀谷 個人的には、人々が見えない感情とか関心とかを感じ取れるようになったら、今より機会が増えるような気がしますね。

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―― 機会?

加賀谷 たぶん今の世の中って、あんまりマッチングがうまくいってないような気がするんです。例えばの話ですけど、僕がある人に関心を持ってるとして、それが向こうに伝わったらひとつ接点ができますよね。

―― 誰かが自分に関心を持ってるんだってことが、見た目で分かるようになると。

加賀谷 あともし「幸せ」ってものが表現されるようになっていったら、今歩いてるこのへんは幸せな空気なんだな、ってのが感じられるようになったり。

―― あああ、おもしろい。ディズニーランド周辺は幸せ度が高いとか、大手町近辺は集中してる人が多いとか。

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神谷 ある時間帯に幸せ度が高いエリアとか、そういうログをずっととっておいて、時系列とエリアで分析したりすると、新しい何かが見えてきそう。

加賀谷 おもしろいね。そういう、見えなかったものがなんとなく見えてくるような気がする。

―― ちょっとゲームっぽい感じもしますね。現在のHPが頭上に浮かんで見えるような。

加賀谷 MITメディア・ラボの新所長に就任した、伊藤譲一さんが以前「World of Warcraft(※)」にハマっていて、そのときにおっしゃってたんですけど、ゲームだと1人ひとりのステータスが全部見えますよね。そうすると状況に合わせた最適配置ができるようになる。これが会社だったら、そのタイミングで一番パフォーマンスのいい人を選んで、ちょっと何かやらせてみようか、ってことができる。

※米Blizzard Entertainmentが運営するオンラインゲーム。全世界で1000万人以上がプレイしており、プレイ人口では世界一を誇る

―― ああ、そこはホントにゲームっぽい。野球ゲームでも、ピッチャーのコンディションを見て「今日はこいつを登板させようか」って決めたりするし。

なかの 会議では「necomimi」着用、ってのも面白いかもしれないですね。集中して聞いてるかどうかが一目で分かる(笑)。

神谷 効率的な学習とかもね。こういうタイミングで教えたら飲み込みが早いとか。

加賀谷 今ひらめいたんだけど、1日中Ustreamとかで中継してる人。あれで女の子に「necomimi」をつけてもらうってのはどうだろう。チャットとかに反応してピクッて動いたりするの。

―― 有料会員とかとれそうですね(笑)。

神谷 おもしろいじゃん!

(一同爆笑)

加賀谷 そこまでやるなら、やっぱり集中とリラックスだけじゃなくて「感情」までいきたいね。

神谷 「嬉しい」とか「悲しい」とかね。そのへんが分かると面白いよね。

―― 今の仕組みだと感情はやっぱり難しいんですか? 例えば統計的に、集中7、リラックス3の時はちょっとイライラしてるなとか。

なかの 感情は個人差が大きいので、今のシステムだとちょっと難しいですね。やるんだったら、筋電と組み合わせるとか……。

神谷 あとは心拍数とか、まばたきの回数とか……。

なかの まあいいんじゃないですか、それもいっぱいデータとってみれば(笑)。

神谷 これで1億人分くらいデータをとってみたら、そこから何か抽出できるような気はする。

―― ここまでくるとほとんどSFの世界ですね。

神谷 うん、やっぱ未来ありますよ、脳は。

左から神谷さん、加賀谷さん、なかのさん。脳波を利用したコミュニケーションの可能性についてたっぷりとお話していただきました。ありがとうございます

おわりに

 「necomimi」がこれほどの反響を呼んだ理由のひとつに、「一見ただのジョークグッズのように見えて、同時にまったく新しいコミュニケーションの可能性を提示している」という点があったのではと思う。普段、コミュニケーションの大部分を「言葉」によって行っているけれど、そこにもし「脳波」が加わったら――。

 そんな未来が来たら、きっとわたしたちの暮らしも変わる。そうなればきっと、社会そのものもまた変わっていく。「necomimi」はそんな「脳波コミュニケーション」の分かりやすい第一歩として注目を集めたのではないだろうか。

 ニューロウェアでは今後も、独自の切り口から「新しいコミュニケーション」を提案していくという。果たして次はどんなアイデアで我々を驚かせてくれるのか。「第2弾」以降の発表にもぜひ期待しつつ、今後も注目していきたい。

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