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2012年、人類滅亡するってホント? 観光ついでに現地の人に聞いてみた

マヤ暦が今年ひと区切りすることから、なにやら人類滅亡説がささやかれているようですが、本当ですか? マヤの末裔の皆さま、教えてください。

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あけましておめでとうございます

 2011年は本当にお腹いっぱいになるほどさまざまなことがありました。1月しょっぱなにスカスカおせちがネットで話題になっていた頃が懐かしい……。3月に東日本大震災、そしてそれに伴う津波と福島第一原発の事故と、今なお深刻な被害が続いています。思えば、1月に新燃岳が噴火、2月にニュージーランドで地震、4月にアメリカ南部を巨大竜巻が発生し、9月には台風被害が拡大、10月にタイの大洪水やトルコの地震など、自然災害がこれでもかと世界中で発生しました。終末思想を唱える人が現れるのも致し方ないと思えるほど、本当にいろいろなことが起き過ぎたという印象です。

 「これだけ夏が暑かったら、冬になったら(以下略)」ではないですが、昨年これだけいろいろあったら今年はどうなることやら。そんな不安をあおるような終末説が2012年にあることを皆様はご存知でしょうか? メキシコのマヤ文明の暦が2012年にひと区切りすることから、人類滅亡を迎えるのではないかと、それをモチーフにした映画が製作され話題になりました。ついにはマヤ暦を基にした人類滅亡説を、専門家が否定する事態にまで陥っています。

 マヤ文明で用いられた長期暦は紀元前3114年から始まり、そのサイクルが2012年12月21日~23日頃に終わることが終末論の根拠とされてきました。ただ、専門家によれば1つのサイクルが終わるだけで、12月31日から1月1日に年が明けるように別のサイクルに移るだけとも言われています。さらに、2012年には太陽フレアが活発化することから人類滅亡に結びつける研究者までいて、これをNASAが否定したりとなにかと2012年を境に盛り上がっています。

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 実際にどうなるかはその日になってみないと分かりませんが、ノストラダムスの予言で騒がれた恐怖の大王をものともしなかった記者としてはまったく関係ないのではないかと思っています。きっと、自然災害は起きるでしょうし、さまざまな政変や事件が起きることでしょう。異常なことが起きれば、すわ天変地異かと構えてしまうのは無理ありません。我々がそう思ってしまうのですから、現地の人はどう思っているのかしら? なんとなくそんなことを思いながら、記者は休暇を利用してメキシコへと旅立ちました。狙うはメキシコのユカタン半島にあるチチェン・イッツァ遺跡。マヤ文明の建築と天文の実力とやらを見せてもらおうか!

※ちなみに、終末論の根拠となっているのは、タバスコ州にあるトルトゥゲーロ遺跡にある「モニュメント6」の石板といわれています。

 チチェン・イッツァは、羽毛のあるヘビの姿をしたマヤの最高神ククルカンを祀るピラミッドや天文台跡もある遺跡群。見た目ドラゴンっぽいので、辰年にはぴったり! とか思っていましたが、ヘビでした。遺跡群の中でも通称「カスティーヨ」(スペイン語で城塞の意)と呼ばれるククルカンのピラミッドは、春分の日と秋分の日の年2回、そのピラミッドへ真西から太陽の光が差し込む時、まるで蛇が身をくねらせるように見えることから「ククルカンの降臨」と呼ばれ、毎回国内外から多くの観光客を集めています。

 一度はその不思議を見てみたい。遅い夏休みの時期がまさに秋分の日にかぶったこともあり、記者はメキシコへと旅立ったのでした。果たして、ククルカンの降臨は見ることができるのか。世界、不思議発見っ!

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 チチェン・イッツァはメキシコ・ユカタン半島のユカタン州都メリダの東、約120キロメートルにあります。後古典期マヤの遺跡で、総面積約1.5平方マイルといわれていますが、まだいろいろ埋まっているようで、すべて発掘されたわけではないそうです。遺跡へはリゾート地として有名なカンクンやメリダから現地発着ツアーも出ていますが、記者は個人旅行でしたので、行き当たりばったりでバスを利用することにしました。

遅い夏休みを利用して秋分の日に現地入りしており、まさにククルカンの降臨真っ盛り! 観光客や現地の方々が大挙して訪れていました。昼過ぎからは日本人観光客も多かったように思います

 メキシコはバス天国。チチェン・イッツァは人気スポットだけあり、どちらの都市のバスターミナルからでも1時間に1~3本の頻度で出ており、3時間ほどで到着します。入場料は大人が115ペソ(10月10日現在1ペソ約5.70円)。記者が訪れた秋分の日はククルカンの降臨目当てに多くの入場者がいるだろうと、早朝に移動することにしました。

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 ちなみに9月のメキシコは雨季。嫌な予感がしていましたが、呆れるほどの晴天が迎えてくれました。暑い。いや、熱い! 入場ゲートを超え、どこから沸いたのかいくつもの露天の土産物屋を過ぎると、いきなりメインイベント、カスティーヨが見えてきます。

 チチェン・イッツァは、冒険家のベルナルド・ウェーバーによって提案された「新・世界七不思議」のひとつとして2007年に選出されています。日本からは清水寺が候補地となったことから知っている人もいるかと思いますが、これは世界中からの投票によって現代版の世界の七不思議を選定しようという試み。2011年には第2回の選考が予定されています。ユネスコの世界遺産とはなんら関係がなく、その選定についても不透明なところが多いとのことです。なお、チチェン・イッツァのピラミッドのほかに、イエス・キリスト像(ブラジル)、万里の長城(中国)、マチュ・ピチュ(ペルー)、ペトラ(ヨルダン)、コロッセオ(イタリア)、タージ・マハル(インド)が新・世界七不思議とされています。

 さて、ククルカンの降臨が見られる午後4時過ぎまではかなり時間があります。そこでチチェン・イッツァの主な遺跡を見てまわることにしました。さっさと人類滅亡について聞けよとお思いでしょうが、しばしお付き合いください。

入口からちょっと歩くといきなり登場するククルカンを祀るピラミッド。基底55.3メートル四方、高さ24メートル(頂上の神殿部分は6メートル)。9段の階層からなり、4面に各91段の階段が配されている。四方の階段を合計すると364段となり、最上段を足すと365段となる。「暦のピラミッド」とも呼ばれている
北面の階段の最下段にククルカンの頭部の彫刻がある
戦士の神殿。その名のとおり戦士の浮き彫りが施された石柱群に囲まれ、上壇にはいけにえの心臓を捧げたと言われるチャック・モールが横臥している
ツォンパントリ。いけにえの骸骨を大衆の前にさらす場所だったと言われる。壁一面にはさまざまな表情の頭がい骨のレリーフが並ぶ。角がオススメ
旧チチェン・イッツァ区域にある天文台「カラコル」。ドーム部にある窓からは、子午線を見る真南の窓と月没の最北線を見る西南の窓、そして春分・秋分の日没と月没の最北線を観測する窓が造られている
セノーテ(聖なる泉)。雨が降らない時や豊作を願う時など財宝やいけにえが投げ込まれたといわれている。チチェン・イッツァにあるセノーテは濁っているが、ユカタン半島に点在するいくつかのセノーテでは透明度もあり、人気のダイビングスポットとなっているところもあるが、ここのは残念ながら泥水のようになっていました
お土産屋その1。遺跡やマヤカレンダーのミニチュアや、がいこつをモチーフにした皿や陶器、Tシャツや布製品などが並んでいる。ドクロが彩り鮮やか。メキシコではガイコツが身近です
お土産屋その2。木彫りのなにか。伝説をモチーフにしたものなど、その場で掘っていたりします
お土産屋その3。なんだかよく分からないけどかっこいい人形。名前聞いたのに忘れました

 完全に観光ガイドみたいになっていて申し訳ありません。さて、土産物屋をひやかしで見ていると当然ながら声をかけられます。ならばついでにと、いよいよつたない英語とスペイン語で「2012年に滅亡するって知ってる?」と聞いてみることにしました。まずはカスティーヨ近くの原っぱで売り子をしている彼。聞いてみると、「(分からない)」と首を振られました。2012年に滅亡するのが分からないのではなく、何を言っているのか分からない、という感じ。あー、ごめんなさい。「マヤ、カレンダー、シネマ『2012』、エンド」などなど、あらゆる単語を並べてみたのですが首を振るばかり。最後にはなぜかよく分からない置物を買うはめになり、彼とお別れすることにしました……。あれ? なんで買ってんだろ……。

リアルに「アミーゴ」って言ってくれました

 その後も10人ほどに声をかけてみましたが、心が折れてしまったようでサンプル収集は少数聞くだけで終えることにしました。その結果、知っている方が3人(ただ、面倒くさそうだったり、信じてるのかバカだなーと言われ、ついでにTシャツを売られる)、知らない人が4人(映画を知っている人もいたけど、「あれマヤの話だっけ?」という人も。ついでに石細工やスノードームなどを売られる)、何を言っているのか分かっていない人が3人(ドクロの陶器など売られる)となりました。心が折れた理由をなんとなく察していただけたら幸いです。

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 結論としては、現地の人もそれほど気にしていない! でした。ただ、「なにかしらあるかもしれないねー」という漠然とした不安みたいなものは持っているようで、それを気にしていても商売にならないので気にしていない、みたいなことを言っておりました。今回、ついでに聞いてみたとはいえ、糸口として現地の人とスペイン語と英語のiPhoneアプリを頼りに会話するのは楽しかったのも確か。ただ、その会話のほとんどは値段交渉に費やされたわけですが。

 さて、そうこうしているうちに時間に余裕のある観光客らがカスティーヨの北面が見える位置に陣取り始めました。ククルカンの降臨は北面下層部にあるククルカン頭部のレリーフに胴体が現れる現象です。

 しかし、さっきまでの晴天が嘘のよう。みるみる厚い雲が流れていき、いつのまにか雷鳴まで聞こえる曇天に。風も強くなってきました。嫌な予感がします。さすがに諦めて帰る観光客も続出する中、最後まで頑張ってみたのですが、ある意味予言的中とばかりに、まさに降臨する時間帯に激しい雨が降り始め、撤収することにしました。なるほど、この曇天だけ見ればなにか不穏なことが起きそうな感じがします。

諦めきれない人々が広場で待機するも……
晴天が嘘のよう。まさに終末っぽい風景に……。ま、いいか。撤収っ!

 あぁ、いったい何をしに行ったのやら。せっかくなので、昨年春分の日のククルカン降臨の動画をご覧ください。

 ちなみにカスティーヨ正面に立ち、拍手をするとまるで鳥が鳴いたような音が反響して返ってきます。やけに全体的に青っぽい動画では、拍手するとそのあとすぐに甲高い反響音が聞こえるかと思います。そちらもお楽しみください。なお、映っているのはよく分からない海外からお越しの団体客です。

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 前述しましたが、実際12月23日に何か起きるかもしれませんし、起きないかもしれません。ただ、皆様におかれましては、何事もなく健康に過ごされて、無事にクリスマスを迎えられるよう願ってやみません。ねとらぼを本年もよろしくお願いいたします。

途中、日傘を頭に乗せる人を発見。天才かよ

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