編集部一ネコに愛されているのは誰か選手権、開幕です!:負けられない戦い(5/5 ページ)
我こそはネコに愛されている記者である。日ごろネコを愛してやまない記者たちが、街にくり出しネコを追う。ネコはいずこや、いずこやネコは。
ネコの気持ちになればおのずとネコに出会えるはず(戦略:偽装)
谷中でネコを探す――。そう聞いた時、僕の頭には1つの作戦が浮かんでいた。
そもそもネコという動物は、本来とても警戒心の強い生き物だ。特に野良ネコとなればなおさらで、例え姿を見つけても、写真を撮れる距離まで近づくのは容易ではない。ならばどうすればいいのか? 答えは簡単だ。
自分がネコになればいい。
ネコの警戒心を緩和しつつ、さらに自分もネコの気持ちになりきることで隠れたネコスポットを発見する。
完璧すぎる。もはや勝利は約束されたようなものだ。さあ、どこにいるのかニャ? ネコちゃんたち。
ネコスーツの効果やいかに
が、編集部メンバーと別れて谷中の街を歩くこと数分。
……恥ずかしい。
すれ違う人たちの視線が痛い。ネコの警戒を解くつもりが思いっきり通行人に警戒されている。うう、早くネコに会って癒やされたい。と、そう思っていた矢先、道路の奥を1匹の茶トラが横切る。
「僕はネコだよ。お友達だよ」という気持ちで近づいていったのだが、カメラを向けるとあっさり逃げられてしまった。警戒を解くどころか、むしろ余計に警戒されていたような気もする。完璧かと思われた作戦は、開始5分で早くも暗礁に乗り上げてしまった。
だんだんネコスーツが楽しくなってくる
こうなったらやけくそだ。さっきまでは人目を避けて谷中霊園付近にいたのだが、もっと人通りの多い商店街の方へ向かってみる。
と、後ろの方で「あっ、ネコ!」という声。
どこだどこだ! と振り返ると、車道を挟んだ向こう側で女性がこちらにケータイのカメラを向けていた。
……俺だよ!
まさか自分が撮られるとは、本末転倒とはこのことである。
その後も道行く人に指をさされたり、なぜか外国人の観光客に写真を撮られたりしたが、だんだんこれはこれでけっこう楽しいんじゃないかと思えてきた。外国人観光客に「ビューティー!」と言ってもらえたのもちょっと嬉しかった。
谷中商店街、意外にネコはいない?
それにしても、ネコがいない。商店街の人に聞いてみたら「この時間はあんまりいないですねえ」とのこと。取材したのはお昼ちょっと前くらいだったのだが、通行人が増え始めると姿を隠してしまい、日が傾いてくるとまた夕焼けだんだんのあたりに集まり始めるそうだ。
結局、この1匹を見つけただけでタイムアップ。おかしい、当初の予定ではネコスーツでネコ写真ざくざくの予定だったのだが……。
とは言え、最初は恥ずかしかったネコスーツ姿が、途中からだんだん楽しくなってきたのは面白かった。普段「あっ、ネコ!」などと指をさされているネコたちも、同じような気持ちを味わっていたのだろうか。ネコの写真は撮れなかったが、代わりに少しだけ、ネコの気持ちに近づくことはできたような気がする。
戦い終えて
いかがだっただろうか、この記者たちの本末転倒ぶりは。この誰得なネコ企画。せめてネコ好きの皆さんには俺得だったと思っていただけたら幸いだ。ただ谷中を散歩しただけでは、との意見もあるのは承知。我々はそれなりにネコに癒され満足している。
そもそも、活動を避ける時間帯に設定しているのが間違いだったのか、ネコだらけとはいかなかった。ただ、それなりにネコとエンカウントした記者もおり、すべてが失敗の記録となることだけは避けることができたと思う。とりあえず最高4匹で宮本記者と廣渡記者の優勝である。彼らには編集部でもっともネコに愛された記者の栄誉が贈られる。
東京都では野良猫対策として繁殖制限や餌付け禁止の活動などで、ただ排除するのではなく共存の道を探りながらネコたちを見守っている。谷中のネコたちもボランティアによる保護や避妊手術も行われており、どうかネコ好きな読者の皆さまはおいそれと無責任な餌付けをしたり、ましてや捨てるなどしないようにしていただきたい。
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