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ギークだらけのシェアハウス「ギークハウス」に潜入してきた意外にも(?)健康的(2/2 ページ)

ギーク(技術オタク)のためのシェアハウス「ギークハウス」を訪れた。ギークが10人集まった住まいは一体どんなところなのだろうか……?

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ギークハウスに住んだら彼女ができた

 共同生活ならではの悩みや困ったことがないのかも気になる。ギークハウス新丸子には「個室」がない。不都合はないのかと聞いてみると、皆あまり不満は持っていなかった。他人のイビキをうるさく感じることもないらしい。ただ、皆が共通して困っているのは、洗濯とお風呂、トイレの問題だという。洗濯機は1台しかなく、それぞれが個別に洗濯機を回すため、タイミングが重なると大変だ。また干す場所も3人分くらいしかなく、特に梅雨の時期になると苦労しそう。

洗濯機やお風呂で困ることも

 1つしかないトイレもたまに長蛇の列ができる。そのときは我慢するしかない。特に月曜朝はトイレラッシュだ。お風呂ももちろん1つなので、順番に入っていかないと回らない。新丸子ではないが、ほかのギークハウスでは、住人全員のグループチャットでお風呂の順番を「次はオレ入るわ」などと調整しているところもあるという。キッチン問題もたまにあり、後片付けをしていないとか、コンロが汚れたままだと「ちょっとなえる」とのこと。

生活のルールを書いた紙が各所に

 逆に、最大のメリットは人とのつながりだ。

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  • 「大学の寮に近い感じ。色々な人がいて、皆と程よい距離感でかかわれるから心地良い」
  • 「横のつながりが嬉しい。今の仕事も実はギークハウスつながり」
  • 「ここに住むようになってから、別のギークハウスに住んでいた女の子と付き合い始めた」

 なんと彼女ができたって! これはすごい。

変な人が集まらない仕組み

 運営者の小出さんはギークハウスの中でも特に有名な「ギークハウス武蔵小杉」を作った人物で、新丸子は2件目の立ち上げ。どちらのギークハウスにも「皆で何かを生み出す場所にしたい」という想いが込められている。

 ギークハウスを作るまでの苦労についても聞いてみたところ、「不動産屋との折衝が一番難しかった」(小出さん)という。数十店舗の不動産屋へメールや電話で連絡し、ギークハウスなるシェアハウスを作りたいと伝えたものの、メールはほぼ返って来ず、電話は半数くらいしか最後まで話を聞いてくれなかった。「ギークって何?」「ニートが住んで家賃滞納はないのか?」「又貸しをして大丈夫なのか?」など、貸す側にも不安材料がたくさんあるのも、確かに分からないではない。大家さんを説得するのも骨が折れそうだ。

 途中で不動産チェーン店は厳しいと分かり、地元の古くからの不動産屋を直接回る方針に切り替えた。まず不動産屋がギークハウスのコンセプトを理解した上で、大家さんに話を通し、大家さん側でも理解してくれないと始まらない。「二重の共感と理解」が必須。どちらにも「ネットでビジネスを作り出そうとする人が入居します」という旨を丁寧に説明し、「面白そうだね」と納得してくれたところと契約締結となる。新丸子は物件探しから入居者募集にいたるまで、わずか1カ月で準備したという。

 気を付けていることは、これまでにない形態の住み方なので、大家さんに強く信頼してもらうこと。メンバーが入れ替わる際には、必ず大家さんに報告するだけではなく、毎月の定期報告も欠かさない。それらはすべて小出さんの役目だ。ギークハウスならではのユニークな立ち上げ方にも着目したい。ハコのない状態からTwitterで入居者を呼びかけて、人を集めてから物件を探すというように、通常のフローとは逆になっている。運営者にとってはリスクが低い。

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 集まる人も最低限Twitterを使っている人なので、過去のツイートを見れば、人間性やその人の持つソーシャルグラフがある程度は分かる。履歴書などいらない。「ソーシャルメディアがその人の与信の代わりになっている。またギークハウスという名称が良い意味での『バリア』になっていて、ニートであったとしてもモノ作りが好きだったり、クリエイティブなことをしたいという気持ちの人が多く、結果的に入居者の質が高まっている」(ギークハウス新丸子アドバイザー・福岡秀幸さん)。問い合わせの後、軽く面談して入居となる。

 これまでギークという言葉から連想していたのは、失礼ながらぼさぼさの髪の毛のまま、暗い部屋で一心不乱にPCと格闘する姿だった。ところがここにいたのは、健康的な生活を送りながら、開発に励むギーク男子たちばかり。食事が整っているのは前述した通りだが、ランニングを毎日欠かさない運動マニアもいて、連れられて一緒に走りに行く人もいる。皆でフットサルをすることも。ヨガマットやバランスボールもあり、その健全っぷりに驚いたというのが正直な感想だ。来月登場する、健康的ギーク男子発のWebサービスがどんなものになるのか、非常に楽しみだ。

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