ニュース

なぜ今“移動映画館”なのか? 東京・中目黒に誕生した「中目黒シネマズ」をのぞいてきた

2013年1月より本格始動予定。「アニー・ホール」を上映したプレイベントは満員御礼という結果に。

advertisement
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 映画館のない街・中目黒に初の“移動映画館”がオープンする。中目黒の街全体を映画館とし、月に1度、無料で映画を上映するプロジェクト「中目黒シネマズ」のプレイベントが11月24日行われた。

 中目黒シネマズについてはこちらの記事でも書いたが、なんとなく面白そうだったので遊びに行ってみた。上映作品はウディ・アレン監督の代表作「アニー・ホール」。前後には映画文筆家・松崎健夫さんと映画解説者・中井圭さんによるトークショー「初めてでもわかるウディ・アレン論」も開催。そういえば「アニー・ホール」は好きだけど、他のウディ・アレン作品って見たことなかった気がする。

区民ホールの一室にプロジェクターが設置され、即席の映画館に

 会場に使われたのは、目黒区青少年プラザ内のレクリエーションホール。定員65人と聞いていたが、開場15分前くらいに行ってみると、すでに40人くらいが入場列に並んでいた。後で聞いたら、最終的には100人以上が集まり、定員オーバーで入れなかった人もいたとのこと。中はホールというより小さな公民館のようで、正面の壁に大きなスクリーンが据え付けられていた。床にはラグが敷いてあり、観客はイスではなく床にぺたりと座って映画を見る。昔の映画上映会とかもきっとこんな感じだったんだろう。

advertisement
松崎健夫さん(左)と中井圭(右)さん。中井さんはイベント企画者の1人でもある

 主催者の挨拶に続いて、まずは松崎さん、中井さんによるトークショウがスタート。ご存じのとおり、アニー・ホールは1977年のアカデミー賞作品。「でも、この年はほかにすごい作品があったんです。何だかわかりますか?」と松崎さん。首をひねっていると、後ろの方から「スター・ウォーズ!」という声があがった。ええっ、そうなのか!

「そうなんです。この年は『スター・ウォーズ』があったのに、『アニー・ホール』が作品賞を受賞してるんです」(松崎さん)

 おおお、そう聞くとあらためてすごい作品なんだと思えてくる。その後も松崎さんを中心に、ウディ・アレンのユニークな経歴や、なぜこれほど多くの人に評価され、愛されてきたかを解説。もともとはギャグライター出身で、コメディアンとして活動していた時期もあった、ヒロインを演じるダイアン・キートンはウディ・アレンの元恋人だが、「アニー・ホール」の撮影時点ではもう別れていた――などなど。無料なのにプロの解説まで聞けるなんて、なんともぜいたくなイベントだ。

トークショウでは聞き役に徹していた中井さん。「実生活で別れた2人、という結果を知ってから観るのも面白いですよね」
さまざまな視点からウディ・アレンの魅力を語った松崎さん。「監督・脚本・主演を継続して40年もやり続けている人というのは、世界中でもウディ・アレンだけなんです」

 30分ほどのトークののち、いよいよ「アニー・ホール」上映。作品の内容についてはいまさら説明するまでもないだろう。今回はBlu-ray上映だが画質は十分で、スクリーンが近いので映画館並みの迫力が楽しめた。スクリーン位置の関係上、後ろの方に座った人からは「字幕が見えにくい」という指摘もあったが、このあたりは次回以降の課題となりそうだ。

 とは言え、やっぱり大勢で1カ所に集まって映画を見るという体験は貴重。「アニー・ホール」のような古い作品となればなおさらだ。もともとはトークショウにも参加していた中井さんの発案で、「映画産業全体が右肩下がりにある中、みんなで暗がりでひとつの映画を見る楽しさを、もっと多くの人に知ってほしかった」という。本イベントは中目黒の町おこし企画「中目黒村マルシェ」の一環として行われているが、町おこしだけでなく「映画おこし」の側面もある。「若い人の中には、映画は家で見るものだと思ってる人も多い。でもやっぱり、みんなで映画を見るのって楽しいじゃないですか」(中井さん)

advertisement

 今後の予定としては、12月下旬に2回目のプレイベントを開催し、2013年1月には本格スタートを目指す。以降は月に1~2回のペースで、さまざまな名作を無料上映していきたいとのこと。

「中目黒シネマズ」公式サイト
撮影/堀場俊孝

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 「ロッチ」中岡、顔にたっぷり肉を蓄えた激変ショットに驚きの声 「これ…ヤバいって」「すごい変身っぷり」
  2. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  3. 「今までなんで使わなかったのか」 ワークマンの「アルミ帽子」が暑さ対策に最強だった 「めっちゃ涼しー」
  4. 「東京チカラめし」約2年ぶりに東京で“復活” まさかの出店場所に驚き「脳がフリーズしそうに」
  5. 「ヒルナンデス!」で道を教えてくれた男性が「丁(てい)字路」と発言 出演者が笑う一幕にネットで批判続出
  6. 「新紙幣出てきたんだけど」 レジで“千円札”見た若者がポツリ→まさかの正体にショック広がる 「そうだよねえぇ」
  7. 大谷翔平がエスコート 真美子さん「ドジャース奥様会」に再び登場で頭ひとつ抜き出る
  8. 16歳お姉ちゃんと0歳弟、赤ちゃんが泣くとすぐに抱っこして…… 愛をそそぐ姿に「愛しさ溢れてて号泣」「いいね1万回押したい」
  9. 地元民向け“バリカタ仕様”の袋麺だと思ったら……思わぬ落とし穴に「トラップ仕掛けられてる」「自分も引っかかった」
  10. 炊飯器いっぱいに炊けまくった米…! 「5.5合炊いて」が生んだ悲劇に「全米が泣いた」「笑いすぎてしんどい」