現実と虚構の区別をつかなくする代替現実システム
ヘッドマントディスプレイを使って、過去の映像が目の前で起きている現実だと錯覚させる。
理化学研究所脳科学総合研究センターでは現実と虚構の区別をつかなくしてしまう装置である代替現実(SR)システムを開発しています。
体験者はヘッドマントディスプレイ(HMD)を装着し、HMD内に映し出された映像を見ています。HMD内の映像はリアルタイムの現実です。更に被験者がいる場所であらかじめ撮影された過去の映像を映し出し切り替えることで、過去の映像が目の前で起きている現実だと錯覚させるシステムです。
ポイントは、あらかじめ撮影した映像である世界なのですが、その映像を見てる時も、上を向いたら上が見えるし、下を向けば下がみえるように、ライブと同じように好きな方向を見ることができます。ライブのカメラがついているところを通しての体験と、過去の世界、あるいは記憶している世界での体験が出画して一緒に揃えることで自由に行き来させることができるというコンセプトです。
今までは映像を使用したプレゼンなど、どこかで撮影した映像を他の場所で体験するという技術や発想はありました。この代替現実システムは同じ場所の時間軸で体験させるという発想のもとに開発されています。
ヘッドマントディスプレイが普及すれば、これを使ってこそのコマーシャルなどがでてくるかもしれません。ただ、アプリケーションという意味では、すでに夏にパフォーマンスグループと一緒にSR(代替現実)を使ったパフォーマンスを行ったり、先月は東京ゲームショウでこれをソニーが使ってイベント展示をしていました。今後どれだけの人が実際に興味を持って絡んでくれるかが普及のポイントです。
今後、センターではこのシステムをドライブシミュレーターなどに活用し、ユーザーに本当に運転しているように錯覚させることで、今までのモニターを見て行うシミュレーションとはひと味違う体験をしてもらうことが可能になります。
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