Facebookで13万人が「いいね!」した「志村けん×ビートたけしの美談」はガセ? 事務所に聞いてみた
「当事者から言わせてもらうと『初耳』」「両師匠に失礼な話」とグレート義太夫さんは否定。
一昨日あたりから猛烈な勢いで拡散されている「志村けんとビートたけしの美談」エピソード。「フライデー襲撃事件後、芸能界から干されていたたけしや軍団の生活費を当時ライバル関係にあった志村けんが助けていた」という内容で、現在までに13万人以上が「いいね!」を押しているのですが……残念ながらガセである可能性が高いようです。
書き込みによると、志村さん側の出費は3億円は下らなかった、とも。これが事実ならば確かに美談なのですが、ここで思わぬ「火消し」が入ります。たけし軍団の1人であり、フライデー襲撃事件の当事者でもあったグレート義太夫さんが、自身のFacebook上で「何かの間違いでしょう」と書き込み内容を否定しました。
義太夫さんによれば、そんなエピソードは「初耳」で、あれから30年もたつのに「当事者が一度も聞かされた事が無いなんて、おかしいでしょ?」とのこと。あれま、これほど説得力のある真相告白って、あったかしら……。
イザワオフィスのコメント
念のため、志村さん側、たけしさん側の事務所にそれぞれ確認してみることに。まずは志村さんの所属事務所「イザワオフィス」にコンタクトを取ったところ、志村さんの担当マネージャーからお話をうかがうことができました。
―― 今回の美談エピソードの広まりって、御存知でしょうか?
マネージャー 直接は見ていないんですけど、記事になっているのは見ました。
―― この件について、志村さんとお話はされましたか?
マネージャー いや、してないです。
―― この先、お話される予定はありますかね……?
マネージャー いや、ないですね。
―― そうですよね。でも我々の中で「大御所芸人さんの大盤振る舞いはすごい!」というイメージもあったりします。「生活費の面倒」とは違ってきますが、例えば“3億円のおごり”というのはありえない話じゃなかったりしませんか? 志村さんのスケールまで行くと……。
マネージャー う~ん、何とも言えないですね。事実かどうかも分からないですし。
――なるほど、分かりました。というか、メチャメチャ親切にご回答いただけましたよ!
オフィス北野のコメント
さて、ここまでは一方からの情報。続いては「オフィス北野」に確認を取ってみたのですが……どうも様子がおかしい。たけしさん側、どうやら今回の“美談エピソード拡大事件”自体を知らないようなのです。そこで全文をコピペし、同社へFAXで送付。それを踏まえて、お話をうかがいました。
担当者 ありがとうございます。拝見いたしました。
―― どうでしょう、お話をうかがうことは可能でしょうか……?
担当者 ただ、これって事実無根ということなんですよね? それにウチがコメントを出すというのもどうなのかと……(苦笑)。
―― あぁ、なるほど。義太夫さんのコメントで完結していますしね。
担当者 いや、それも義太夫が個人でやっていることなので。
……確かに。いや、真摯にご対応していただき、ありがとうございます!
美談でもガセは「師匠に失礼」
「個人がメディアを持てる」と言われるようになって久しい現代、しかし一方では「インターネットの情報をすべて鵜呑みにしてもいいのか?」という問題も増えてきている気がします。この手の話を好む人は多いと思いますが、当事者の義太夫さんは、こうもおっしゃっていました。
「誰が広めたんだか知らないけど、両師匠に失礼な話です」
見事な火消し、ありがとうございました。
関連記事
【注意】「『進撃の巨人』に障害者団体が抗議」はデマ? 講談社広報は否定
2ちゃんねるの書き込みが発端で、多くの人が掲示板やTwitterで反応していた。「2012年12月21日、世界は滅びない」 NASA、滅亡説への反論
さあ来年が待ってる。「ヱヴァQ」上映後合唱しよう! →2ちゃんねらーのデマで確定か 「釣り」告白の書き込み
「馬鹿どもが確認もせずに釣られてた」など、自分の行為を棚に上げた口ぶりに非難も。「ヱヴァQ」上映後に「残酷な天使のテーゼ」歌おう! → 緒方恵美さん「非常に哀しく、憤りを感じます」
2ちゃんねるから広まった書き込みに、主人公・碇シンジ役の声優、緒方恵美さんがコメント。僕らがカスタネットだと思っていたアレはカスタネットじゃなかった? →「カスタネットで合ってます!」
ミハルス? それともやっぱりカスタネット?デマに犯罪告白――Twitterのマイナス面をどう考える? コストロCEOがコメント
米Twitterのディック・コストロCEOが来日して記者会見。デマが広がるといったTwitterのマイナス面についてもコメントした。「勝訴」の紙にまつわるウワサ、Twitterで広まる 真相を確かめてみた
テレビの判決シーンでよく見る「勝訴」「不当判決」の紙にまつわるウワサがTwitterで拡散。真相を確かめてみた。せかにゅ:偽ニュース真に受けTwitterで拡散 有名司会者降板の誤報広がる
有名ジャーナリストがジョークアカウントのニュースを真に受けてTwitterで取り上げ、瞬く間に誤報が広がった。「Twitter有料化」のデマ広がる
日本のTwitter運営元は、Twitterが有料化されるといううわさを「そのような事実はありません」と否定した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.