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うっかりオランダの新国王即位式典に参加してみた

オランダがオレンジに染まった日。

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 日本でも皇太子御夫妻の出席もあり、大きく報じられていたオランダ新国王の即位式典。でも、ベアトリクス女王は健在(2013年4月30日の譲位をもって前オランダ女王となったが便宜上ここでは女王と記す。現王女)。多くの国では国王や女王の崩御による新国王の即位となるのに、珍しいですよね。

 オランダでは退位の時期を自発的に決めるようで、女王の即位も前女王の存命中だったそうです。女王陛下は御年75歳。職責を次の世代に委ねるべきだという判断で、息子であるウィレム=アレクサンダー皇太子に王位を譲ると1月末に発表されました。

 そんなことはつゆしらず、ただオランダの地方に住む友人のところでぶらぶらすべく、通過点程度で考えていた首都アムステルダム。元々、オランダでは4月30日は「女王の日」という、日本でいうところの天皇誕生日で祝日でありました。毎年お祭り騒ぎは行われるのですが、今年は特別な規模になるというからワクワクしながら旅立ったわけです。そんなわけで新国王誕生にわくオランダをリポートしたいと思います。

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行きの機内からしてお祝いムード。KLMオランダ航空では4月30日までの期間限定で機内販売の割引も。ちなみにウィレム=アレクサンダー新国王はKLMオランダのパイロットをやっていました

 到着したのは、前日の4月29日の午後4時。すでに街はオレンジ色に染まっています。オランダの国旗はフランスと同じトリコロールカラーが横になったデザインなのに、まったく国旗の色にないオレンジなのはなぜなのか? オランダ人によると、オレンジは国王の色なのだとか。そういえば、サッカーのオランダ代表のユニフォームもオレンジ色ですね。

アムステルダム市内のコーヒーショップ
新国王となるウィレム=アレクサンダー皇太子とマキシマ妃をプリントしたTシャツもあれば、退位するベアトリクス女王のものも

 式典はすでに始まっており、前日には各国からの来賓を招いたディナーが国立美術館にて開催。その出待ちなどあるのかなと思いきや、元々王室の方々を目にするチャンスは多いようで、国立美術館の前で待っていようという人は数人のみ。

国立美術館の前は警察などの警備はたくさんいるものの、見物客はまばら

 一方で、国立美術館からアムステルダム中央駅方面に向かうと、至る場所でパーティ状態になっています。広場や運河横にはステージが作られ、ミュージシャンやDJが登場。その界隈には、人が溢れてすごい状態に。全員何かしらのオレンジ色のものを身に付け、朝まで飲み明かすのです。それを知らず、残念ながら私が身につけてるのは偶然履いていたオレンジに近いスニーカーのみ。どこかでオレンジ色を入手しなくては!

 がたいのいいオランダ人に埋もれる身長151センチの国内でも平均身長以下の日本人女。上空で交わされるフラマン語など理解できるわけもなく、隙間を抜けて街を練り歩いてきました。

 このお祭りムードは今年が新国王即位で特別なのか? と思いきや、例年こんな感じなのだそうです。むしろ、オランダ人はお祭り騒ぎが好きらしく「2カ月に1度はこんなことをやっているよ」なんて話も。いいな、オランダ人! とはいえ、疲れと時差ボケもあり、朝3時で撤退し、翌日に備えました。

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人が多すぎて何をやっているのかももはや見えず。
オランダ人の友人と一緒だったからよかったけれど、日本人観光客らしき人は見当たらず。この渦のなかに飛び込んできましたよ
路上も船も満員状態です
オランダ人のBoくんとNieちゃんの兄妹とそのお友達。家のオレンジ色のものをかき集めて身に着けたそうです

 明けて、新国王即位当日の4月30日。オレンジ色のものを買いに行こうにも、祝日ということで、飲食関係を除き、店舗はすべてお休みだということが発覚。現地で合流したオランダ人の友人はさらりとオレンジ色のストールをしているのに……。疎外感を感じながら、式典のライブビューイング会場へ。

オレンジ色を身につけていない人もちらほら。大丈夫だよね
オレンジ色の服って日本だと見つけにくいですよね……
ツワモノ! でも何かの広告っぽい感じでした。ちなみに、女子2人です

 ライブビューイングの会場となったのは、ゴッホ美術館、アムステルダム市立近代美術館に隣接するミュージアム広場。ちなみに、アムステルダム市立近代美術館はどう見ても浮かんでいるバスタブにしか見えず。実際にバスタブという愛称で呼ばれているとか。

ちゃんと排水口もついています

 ライブビューイング会場入り口では、オレンジ色のものを持っていない人を見越してでしょうか、無料の帽子が配られていました。無事オレンジ色を手に入れ、心強くなり、会場に突入!

ようやく本物のオレンジ色をゲット!

 会場は中央ステージでイベント、左右と会場中央に式典の様子と会場の様子を映すスクリーンが設置されています。中央ステージでは、オランダでもやっているミュージカルの出演者やアイドルオーディション番組の子供たちなどによるパフォーマンスが、合間合間に行われて、待っていても飽きないようになっています。

オレンジ色を身にまとった人! 人!! 人!!!
まるで夏フェスかと思うような若者の多さ!

 退位式は朝に王宮で行われ、そこから新教会へ移動。そこで新国王即位の宣誓があり、ウィレム=アレクサンダー国王陛下が即位されました。この後、水上パレードなど、式典は続きます。

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みんな見入っています
店舗が休みの一方、公園や街角ではフリーマーケットをする人たちが続出
少女たちが売っていたのは、たこ焼き器のようなプレートで焼くパンケーキ
日本のたこ焼き器のように穴が深くないのか、やや楕円形。15個で2ユーロ(約260円)。粉を混ぜるのは2人の父親らしき男性でした

 運河では、個人や業者など、さまざまな規模のボートがパレード状態。コスプレパーティのような様相のものから、DJ機器とスピーカーを載せ、クラブ状態になっているものもあります。橋の上から直接飛び降りて途中合流する女子も目撃しましたが、意外と事故は目撃せず。警察官の数も、思ったよりも少ないのは、例年のことでみんな自分たちなりの「ほどほど」でやっているのかもしれません。

 そんな盛り上がりのなか、ボートで盛りあがる人々に子供のバイオリン演奏を聞かせ、稼ごうという人が出現。大音量の音楽がボートから鳴り響くなか、かすかに響くバイオリン。けなげに弾く少年よりも、お父さんのボディランゲージのほうが注目され、みんなが振り返っています。なかなか思惑通りにはいかなかったようで、早々に退散していましたが。

川のなかもオレンジ色に染まる!
なぜかオレンジ色のバレエコスチュームの集団
完全に外を意識して乗ってます
子供にバイオリンを演奏させて荒稼ぎしようとするお父さん
お金を入れてくれる人もたまに現れるからすごい。でも、引き上げるときにお金は川に落下……コントかよ

 式典は今年だけですが、お祭りは毎年行われます。ただし、新国王の即位により、女王の日だった4月30日から、新国王の誕生日の4月27日が国王の日の祝日になります。日本のゴールデンウィークとぶつかりにくくなるのは残念! 参加される場合は、日本からオレンジ色のものを用意していくか、現地で前日までにオレンジ色のものの購入をお忘れなくー。

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