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高畑勲監督「かぐや姫の物語」で「日本のアニメにとって一歩進めた」と自信 宮崎監督引退は「変わる可能性も」

「ジブリ史上、最大の野心作」という「かぐや姫の物語」がいよいよ公開。完成報告会見に高畑勲監督が登場しました。

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 スタジオジブリ高畑勲監督の14年ぶりの新作「かぐや姫の物語」がいよいよ11月23日に公開される。製作期間は8年、総製作費は50億円。背景とキャラクターが一体化してまるで1枚の絵のように動く表現手法は、高畑監督がわざわざ新たなスタジオを開設してまで実現させた。まさに「ジブリ史上、最大の野心作」であり、主人公は「ジブリヒロイン史上、最高の“絶世の美女”」という。

 11月7日には同作の完成報告会見が開かれ、高畑監督、日本テレビ大久保好男社長、脚本の坂口理子さん、主題歌「いのちの記憶」を手がけた二階堂和美さん、主人公かぐや姫役の朝倉あきさん、捨丸役の高良健吾さん、媼役の宮本信子さん、女童役の田畑智子さん、大伴大納言役の宇崎竜童さん、石作皇子役の上川隆也さん、北の方役の朝丘雪路さんが出席。製作時の裏話や手応えを語った。


左から二階堂和美さん、朝丘雪路さん、宇崎竜童さん、宮本信子さん、高畑勲監督、朝倉あきさん、高良健吾さん、田畑智子さん、上川隆也さん、坂口理子さん

高畑監督の半世紀越しの夢

 原作「竹取物語」は、竹の中から生まれ美しく成長した娘が求婚者たちを次々と振ったあげく、満月の夜、迎えに来た使者とともに月へと去ってしまう――というストーリーだ。かぐや姫の物語では、姫が一体何のために地上にやってきて、なぜ月に帰るのか、地上で何を思い生きたのかなど、かぐや姫の「心」を描いている。

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 同作のパンフレットによると、55年ほど前に東映動画で「竹取物語」の漫画映画化が計画されたことがあり、社員全員からプロットを募る試みのなかで、当時新人だった高畑監督も企画案を考えたという。結局この映画は実現せず高畑監督の企画案も「埃をかぶったまま」に。そんなわけで、かぐや姫の物語は「半世紀越しの夢」なのだそうだ。

 高畑監督は「お金も時間もかかりやっと完成できた」と会見に晴れやかな表情で登場した。「私は仕事の仲間にそれほど感謝しない。ともに作品を作る、苦楽をともにするという考えを持ってやってきたが、今度ほどありがたいという気持ちを持ったことはない」と感謝し「後はどれくらいお金を回収するかということらしい」と語って会場の笑いを誘った。

 同作はスケッチのような描線や絵巻物のような淡い色彩が特徴的だ。さらに、背景とセル画を別々の様式で描くセルアニメーションの手法とは違い、背景とキャラクターが一体化して1枚の絵のように動くアニメーションを実現するため、わざわざ新しいスタジオを開設してまで制作するなど、こだわりが詰まっている。「表現は新しいだけじゃなくて、意味があってやっていること。それが達成できたということは、図々しく言えば、これからの日本のアニメーションにとって一歩進めたような気がする」と高畑監督は自信を見せた。

 声優陣は、オーディションで選ばれたかぐや姫役の朝倉さんなどのほか、昨年6月に亡くなった地井武男さんも翁役で出演している。声を先に録り、それに合わせて後から絵を描く「プレスコ」手法で制作したために地井さんも出演が可能だった。媼役の宮本さんは「地井さんとは同窓生みたいな感じで楽しく仕事できた。(今は)やっぱり月で見守ってるじゃないでしょうか」とコメント。朝倉さんは「わずかな間だけでもお会いできて、お芝居できて、ほんとになんて幸せ者なんだろうと噛み締めました」と振り返った。

宮崎駿監督引退「変わる可能性あると思う」と高畑監督

 高畑監督は会見で、9月に長編映画からの引退を発表した宮崎駿監督についても聞かれ「引退というのは、けじめをつけたかったんでしょうが、今度は本気と言っていたけど、変わる可能性もあると思う。そうことがあっても驚かないで欲しいと思います」とコメント。自身の次回作など今後については「全然考えていない」と語った。

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