Googleが「海からのストリートビュープロジェクト」 三陸海岸で撮影、来年初頭に公開
東日本大震災で大きな被害を受けた三陸を陸から、そして海から記録します。
Googleは6月18日、東北・三陸海岸の景観を海から撮影する「海からのストリートビュープロジェクト」を始めました。撮影には新たに開発した「船上トレッカー」を使用します。公開は来年初頭を予定しています。
同社は、東日本大震災で大きな被害を受けた地域を撮影し、被災の様子をパノラマ画像で記録する「東日本大震災デジタルアーカイブプロジェクト」を2011年から進めてきました。今回はその一環で、陸からのストリートビューに加え、船の上からも撮影します。
撮影期間は数カ月。対象エリアは三陸海岸の田老、釜石、大船渡、陸前高田、気仙沼、南三陸、石巻、松島・塩竈エリアなど。通常のストリートビューオペレーターによる撮影に加え、東北地方で地域に根ざした活動をしているコミュニティの人々にも船上トレッカーを無償で貸し出し、撮影に協力してもらう計画です。
さっそく気仙沼、唐桑半島エリアでは、「東北ツリーハウス観光協会」事務局長の斉藤道有さんによる撮影がスタート。石巻や塩竈周辺のエリアでは石巻を拠点とするアーティスト増田拓史さんが、陸前高田エリアでは「箱根山テラス 事業」代表の長谷川順一さんが地元の人々と連携し撮影します。
宮城県気仙沼市の菅原茂市長はGoogle日本Blogにコメントを寄せ、次のように述べています。「震災直後、沿岸部を上空から視察した。黒茶色の海におびただしい瓦礫、海岸線には生々しい傷跡。その後、自然の治癒力により海は次第に青色を増し、海とともに生きてきた漁民の不屈の闘志により、養殖施設も復旧された。洋上から見た陸(おか)の景色の変化はまだこれからだ。日本有数の漁港である気仙沼港の中心は力強い水産復興の証である水産加工場が林立の予定、そして漁村集落の高台には安全な漁師の館。巷で喧しい『防潮堤』も地元民と行政で最適解を見つける努力を続ける。そんな海岸線の息遣いを記録し後世に伝えていただけると言う。現代らしい知恵と気仙沼の良さを最大化する復興に一層励んでいきたい」
関連記事
Googleストリートビューにタイムマシン機能 東日本大震災がきっかけで開発、7年前まで町並みさかのぼれます
これまでストリートビューでは最新画像のみを表示していたが、今回から過去の画像も閲覧できるようになりました。東日本大震災から3年――Google「4年目の決意表明」に六本木で触れる
パーソンファインダーではSMSを使って検索できる新機能などが加わります。展示イベントでは被災地を走ったストリートビューカーなどが登場。Googleの被災地ストリートビュー、エリア2倍に 「おみせフォト」には東北の数百店舗
東日本大震災の被災地を撮影したGoogleストリートビューが対象エリアを2倍に拡大。店舗の内部を360度自由に見られる「おみせフォト」では、東北の数百店舗が加わった。「時代の顔をアーカイブする」――Google、被災地を走ったストリートビュー撮影秘話
Googleのストリートビュー撮影車が昨夏から約半年間、東北を駆け抜けた。住民感情に配慮しつつも「今でなければ」と撮影をスタート。ハンドルは地元出身のドライバーたちが握った。1枚の写真では伝えきれない――Googleストリートビュー、東日本大震災の被災地を公開
ストリートビューで復興までの道筋をたどります――Googleは東日本大震災の被災地のストリートビューを公開した。震災前後の写真を比較できるページも設けた。Google、写真と動画で紡ぐ「未来へのキオク」 復興支援で新プロジェクト
Googleが震災前後の様子を写真・動画で共有する「未来へのキオク」をスタート。YouTubeには、被災地の新聞社と協力し、現地の企業や商店の情報を発信する動画チャンネルも。食べる支援、始めました Googleの社食に被災地の野菜が登場
食べる支援、始めました――Google日本法人の社員食堂に、被災地や原発事故による風評被害を受けている地域の野菜が登場した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.