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ぼ、ぼくもクマになる! 日本一の世間知らず、だけどしまむらには異常に詳しい「くまみこ」の雨宿まちを応援しようあのキャラに花束を

この素朴感ですよ!

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ああ、憧れの。

 あちこちで有名なこの画像、見たことある人は多いでしょう。

2巻最終ページより。ああ、憧れのしまむらマスターに!

 マンガ「くまみこ」の1ページ。なにがいいって、しまむらマスターって語呂もいいんだけど、この素朴感ですよ。やばくない? マジ顔地味中学生女子最高じゃない? ああ、彼女としまむらに行きたい。

4巻表紙。アイヌ神楽衣装でイカを焼く

 「くまみこ」は、ドドドドドドドド田舎の話。電気は来ているけどガスはない、携帯の電波は当然届かない、橋が折れると外に出られないようなド田舎。しゃべるクマのナツと、クマと人間の共存を取り持つ儀式を行う巫術をもった娘巫女(ということになっているけどほんとかなあ)の少女まちの、スローすぎて世間ずれしまくった日々を描いた作品です。クマのナツはソニーのタブレットを使いこなしAmazonで買い物をするほどの情報通ですが、まちのほうはSuicaも知らない情弱です(なのに、なぜしまむらマスターなのかは、ほら、巫女だから)。

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3巻 P63より。夏。少女。川での素足の水浴び。巫女。クマ。この一瞬よ永遠なれ

 普段はナツと涼しい日々をすごしていま……かわいい! ぼ、ぼくもクマになる! 川遊びする! 素足! 

 舞台は東北地方です。まちの巫女衣装はアイヌ風。東北でも一部はアイヌ文化があったそうで、それを引き継いでいます。いやあ、女の子のアイヌ衣装って、なんてかわいいんでしょうね。比較的背が小さくダブダブな衣装なのもそそります。ナコルル世代なら土下座して崇めたくなるレベルですね。

 こんなかわいらしい見た目なので、役場の人からはえらいおだてられて、アイドルにさせられたりもします。村の名物扱いです。いやいやいくら世間知らずの純朴な子とはいえそりゃないんでないの。でもかわいいからな……田舎の怖さを思い知らされます。このくらいの年代の子他にいないんだもん。

世間にそぐえない少女

 彼女の世間ずれはほんまもん。たとえばご飯は薪を割って炊きます。でも電気来てるんだからと炊飯ジャーを、クマのナツがすすめます。それでもうまく炊飯ジャーを使えないまち。文明開化が訪れない。電化製品一切使えません。

 ちょっと町に出たところにあるスーパーで働かされたこともあります。試食販売員です。とはいえなんせクマと奥地で暮らしている巫女さん。人前に出るのは大の苦手。さながら拷問。

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 彼女は確かにキュートですし、素朴ゆえの「ほうっておけない」魅力があります。みんなの孫とか娘みたいな感覚。巫女さんという特殊な職業もポイントが高く、そこをプッシュすれば売れる部分もあろう。

 とはいえ彼女もお人形さんではありません。彼女には都会の高校に行きたいという強い意思があります。

 クマのナツは、まちが都会にいくのに大反対。一方まちは意地でも都会に出たいと言い張ります。

ナツ 「長きにわたる山育ちで田舎コンプレックスを抱え 気が引けてロクに町に服も買いに行けず 加えて極度の機械オンチだ 未だにかまどで米を炊いて」

まち 「もう嫌なの こんななんの変哲もない限界集落……電波は届かない電車は来ない人がいない猿しかいない店がない開いてないコンビニが24時間やってないアスファルトがない標識がない電灯がない村人が仲良くないイベントがない地域振興やる気ない。そんなこの村が嫌なの」

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 まちのセリフは、日本の田舎の真実をかなり鋭くついている。思春期の少女からみたら、停滞した田舎は狭苦しく、もう外に出られないのではないかという閉塞感は、尋常じゃない。まちには「出て行く能力はない」のに「出て行きたい」。もっともな感情です。

3巻 P143より。ねーよ!……と言いたい所だけど、ぼくも幼い時新宿はいつでもスられるしヤクザに絡まれる怖いところだと思ってた。

 ところが彼女の「田舎コンプレックス」は尋常じゃない。センダイに行くと「田舎娘だって石投げられる」と信じて疑わず、行くのをためらいます。それは勘違いだからすぐわかるよ……。ただ、ステップを踏まずに都会に放り込まれてしまうと、恐怖心にまけてしまってトラウマ化することも、あるんじゃないかなあ?

 人間はどこに住むのが幸せなんだろう? 本当に都会に行くことは、必要なんだろうか。

おめでとう! おめでとうまち!

そんなまちがですね。ついに! 携帯電話を手に入れます! 電波つながらないけど!

4巻 P93より。きたよ文明! 届いたよ文明!(電波は届かない

 ガラケーです。彼女は「けいたいでんわ」を手に入れたというのがもう、うれしくて仕方ない。日がな一日携帯電話を持って、時に着メロを変えてみたりしながら、ニヤニヤウフフと楽しんでいます。時折、クマのナツに抱き上げられて、電波拾いをしてみます。つながらなくてもちょっと拾えたら、都会とつながった気持ちになれて、その日一日は幸せ。

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 クマのナツとすごす、人間のまち。この二人暮らしはとてもいびつ。けれど幼い時から一緒に過ごし、毎日のようにナツの毛をとかしてきました。今はナツが成長期の少女まちの保護者代わりにであり、クマであるナツの世間的保護者はまちです。この2人の関係は「親子」とかの言葉は付きません。理屈でも説明できません。「家族」というよりももっと曖昧。そして曖昧だからこそうまれる、不思議で強い絆です。

4巻 P145より。こんなことにも一喜一憂して幸せを見つけられる2人(1人と1匹)。ひょっとして何もかも覚えるより、この方が幸せなんじゃないだろうか……。

 ケータイが壊れたかと思ったら単に電池カバーがはずれていただけのシーン。ただそれだけで、2人(1人と1頭)幸せなのです。

 きっと、ナツとまちの絆は誰にも壊せない。いずれナツから離れないといけないのかもしれない。でも離れなくてもいい関係も、あるんじゃないかなあ。大自然だからね。学校より学ぶものは多いかもしれないよ。巫女として一生送るのも悪くないかもしれないよ。

 ……でもやっぱ高校は行って、最低限の情報は知っておいたほうがいい。せめて地元の高校に行こうね。ああ、どうしても読んでいて気持ちが「娘を見つめるパパ」になってしまう!

(C)吉元ますめ

たまごまご

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