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彼らはなぜ「結婚」しなければならなかったのか 「ロボット同士の結婚」が示したもの

東京・港区南青山で「ロボットの結婚式」が行われました。

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 2015年6月27日、東京・港区南青山でロボット同士の結婚式が行われた。新郎は明和電機が開発したフロイス型ロボット「FROIS ROBO」、そして新婦は藤堂高行氏が開発した視線を合わせることができるロボット「ロボリン」。この2人の門出を祝うべく、会場には100人もの人が駆けつけた。式は新郎新婦入場から始まり、ケーキ入刀、そして誓いのキス――彼らは文字通りの「結婚式」を終えた。


ケーキ入刀

誓いのキス

 ところで彼らはなぜ「結婚」しなければならなかったのか。その必然性を明和電機代表取締役社長土佐信道氏はこう語る――「ロボットはときに、開発者や所有者より長生きする。しかしロボットは、彼らがいなくなった世界では動き続けることができない。ところが、2人が結婚し、夫婦という小さな社会を創り、助け合うことで、その生存の可能性を残すことができる。そしてこのことは『法人』とよく似ている」。

 「法人」とは、法律上人格を認められ権利の主体となるもの。人間ではないが、それにきわめて近い。そして「法人」は、より長く生存するために自身とは異なる生命力を持つ「法人」と結びつく。これを「合併」と呼ぶ。合併によって「法人」は小さな社会を創り、それをとりまく環境とつながっていれば所有者がいなくなったあとも動き続けることができる。ロボットの結婚はこれと大きく類似する。

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乾杯のあいさつをする稲見昌彦教授。ロボット工学の第一人者である東京工業大学名誉教授広瀬茂男氏の言葉を引用した――「死を知らず無私で利他的ロボットは聖人に最も近い」(広瀬教授)。

 式に参列した慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科稲見昌彦教授もまた、「ロボットの結婚式」をこう語る。「ロボットの結婚式は、『結婚』と言われているもの、『社会制度』と言われているものについて、われわれが再び考えるためのきっかけである。『社会制度』をいったんロボットに置き換えることで、モデル化する」。

 例えばヒューマノイドの研究は、ヒト自身を知るのに役立つ。ヒトと同じ身体構造を持ったロボットを研究することは、ロボットの研究であると同時にヒトがどのように情報を受け入れてどういうふうに考えているのかということを知ることである。今回のロボ婚もそれと同じで、ロボットを通して人間界の社会制度を見ることは私たち自身の社会を知ることになる。


 そして偶然にもこの結婚式の前日26日、米国連邦最高裁判所は全ての州で同性婚を認めた。「結婚」とは何か。

太田智美

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