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再現度が高すぎてファン歓喜! 舞台「こどものおもちゃ」の舞台裏をちょっとだけ覗いてみた

まろちゃんもいる! ちちくりマンボも踊る! 都庁で羽山とキスもする! 羽山の下半身丸出しスッポン写真も舞台で再現されるぞおおおおおお!!!!

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 「こどものおもちゃ」の世界に憧れていた小学生だった。15年以上前、「りぼん」で連載されていたのを読んで熱中し、その手が届きそうで届かない世界の住人になりたいと切望した。実際は、私は主人公の紗南のように子役タレントでもなければ、サングラスをかけたマネージャーの玲くんもいない。家は母子家庭ではなかったし、母親は頭でリスを飼ってるわけでもない普通の人だ。何より、通っていた小学校のクラスは特に荒れてもいなかった。残念である。マネージャーの玲くんに車で小学校まで送り迎えされている紗南の真似をしたくて、父親に徒歩3分の小学校まで車で送るように頼み込んだこともあった。車に乗れば必ず車酔いをする子どもだったくせに。父はサングラスをかけていないが、この際、背に腹は代えられぬ、と。もちろん断られた。

 こうして書き連ねていくと、設定は“リアル”とはすこぶるかけ離れているのに、「こどものおもちゃ」には不思議とリアリティがあった。魔法なんて世の中には存在しない、すべてが主人公の思い通りになる恋愛などない、と他の少女マンガのテンプレがファンタジーに見えていたゆえに、学級崩壊、孤児、家庭内暴力、体罰などが描かれている「こどものおもちゃ」に現実味を感じたのかもしれない。

 さて、そんなリアルなのかファンタジーなのか掴みどころのない作品が舞台になるとどうなるのか。「りぼん」の創刊60周年を記念して、8月20日~8月30日まで、「こどものおもちゃ」の舞台が上演されるのだ。その通し稽古にお邪魔させていただいた。なお、本作は「ばびっと組」と「まろちゃん組」のWキャストであり、写真に登場するのは「ばびっと組」だ。(※以下すべて8月14日の通し稽古時点の情報です/当日券の情報は舞台の公式サイトまで)

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2015年8月20日~30日 銀座の博品館劇場にて。写真右は紗南と美紗子ママ。舞台本番ではママが頭で飼っているリス「まろちゃん」も登場
紗南と羽山

 舞台は紗南ちゃんのタレントのお仕事シーンから始まる。

「ピコピコハンマーの助」という正義の味方を演じている紗南ちゃん

 「紗南ちゃん急いで急いで!」と次の仕事に連れていく玲くん。

後ろにサングラスの司会者が見えているのが、紗南ちゃんの次の仕事現場のバラエティ番組

 仕事が終わった紗南ちゃんを、玲くんが車で小学校へ送っていき、シーンは小学校の教室へ。

車で送り迎えする玲くんと、台本を覚える紗南ちゃん

 ここでようやくもう1人の主役、羽山秋人のお出ましである。担任の三屋先生と、副担任の田中先生を「ちちくり写真」で脅す羽山。なお、この「ちちくり写真」の存在を知った紗南が思わず「ちちくりマンボ」を踊るシーンも、しっかり舞台で再現されている。本舞台の見どころの一つである。

ちちくり写真

 荒れるクラスの男子たちを「こまわりステップ」でかわす紗南。

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こまわりステップ

 そして、紗南は次のシーンで男子たちのボスである羽山を本格的にこらしめる作戦を練る。先に答えを言ってしまうと、原作では、クラスメイトの剛に協力してもらい、羽山を油断させた瞬間にズボンを下ろし、下半身まる見えスッポンポンのところを物陰から隠し撮り。その「スッポン写真」をバラまかれたくなければ、先生たちを脅してクラスを荒らすのをやめなさい、と紗南が持ち掛けるのだ。原作ではパンツ姿、アニメではパンツまで下ろした姿だったが、果たして、舞台ではどこまで“スッポンポン”になるのだろう……?

剛「秋人くん秋人くんごめんね!」
剛「ごめんねごめんね!」

 パンツまで下げたーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!

 この舞台、本気である。

 実際にパンツを下ろした姿は、ぜひとも劇場で目に焼き付けていただきたい。

 以降、話は原作通りに進む。学級崩壊は解決し、物語の焦点は羽山の家庭問題へ。夕飯を家で食べさせてもらえず毎晩外に食べに行く羽山、そのことを知った紗南は、羽山一家を「家族全員おかしいよ!」「親子丼バカ!」と罵り、元通りにすべく奮闘。公園で1人で夕飯を食べていた羽山に、無理矢理「お母さんごっこ」をするシーンも健在だ。

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あんたたち親子はバカだね、名付けて……、
親子丼バカ!
「あーちゃん、ママはね。あーちゃんのこと愛してるから、頑張って産んだのよ」

 羽山の家庭問題が解決すると、話は一気に飛び、原作で言うところの「エッセイ騒動」へ。紗南のママが新しく出したエッセイで、「実は倉田紗南は捨て子だった」と暴露するエピソードである。

先生(紗南のママ)に原稿を催促する編集者の恩多

 最後は社会科見学で都庁の展望台に行く、あのシーンで終わる(エッセイ騒動と社会科見学は原作と順序が逆になっている)。

 私がかつて、本気でなれると思い込んで憧れた紗南ちゃんは舞台の上にちゃんといた。作品の持つ不思議なリアリティは舞台でもそのまま、「こどものおもちゃ」という世界が現実にあるとしたら、と当時から想像していた通りのものがそこにあったのだった。

朝井麻由美(@moyomoyomoyo)。フリーライター・編集者・コラムニスト。ジャンルは、女子カルチャー/サブカルチャーなど。ROLa、日刊サイゾー、マイナビ、COLOR、ぐるなび、等コラム連載多数。一風変わったスポットに潜入&体験する体当たり取材が得意。近著に『ひとりっ子の頭ん中』(KADOKAWA中経出版)。構成書籍に『女子校ルール』(中経出版)。ゲーム音楽と人狼とコスプレが好き。

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