音楽の都にボカロの歌声が響く ウィーンの大規模アニメコンベンション「AniNite」リポート(2/2 ページ)
音楽の都ウィーンで開かれたアニメコンベンションで、AHSがボーカロイドを使ったコンサートを開催しました。
「PCが止まらなくてよかったです」
今回のコンサートで、映像の準備のほか会場ではPCの操作まで自ら担当したAHSの尾形社長に、コンサート後に話を聞きました。
「小さなコンサートは経験がありましたが、今回のような規模は初めてでした。ハードルは高いと思いましたが、やはりボーカロイドを知ってもらいたいと思い実施を決断しました。ウィーンには来たことはありましたが、音楽の都でボーカロイドの歌声をきいてもらう機会を得たことはとても良かったと思います。実際、大変盛り上がりました」
「コンサート終了後、現地のスタッフによかったと何度も声を掛けられたのもうれしかったです。石黒千尋さんとの写真撮影にファンが殺到したり、ボーカロイドのソフトを買ってくれたりと、受け入れられた感触を持ちました。やってよかったです。また、日本のさまざまなクリエイターに参加してもらうことができ、皆さんで作り上げるライブをやりたかったというのも動機のひとつでした」(尾形社長)
このような大規模コンサートをやり遂げる上で何が一番大変だったかをと聞いたところ、「PCが止まらなくてよかったです」。PCの「機嫌をとる」のが大変だったそうです。
ボーカロイドとの共演を果たした石黒千尋さんは、「皆さんのボーカロイドが好きだという思いがすごく伝わってきて、とても感激しました」と感動を語っていました。
今回のコンサートの発起人のひとりである、ドイツ・ベルリンのアニメファン団体「アニメ文化協会」の代表者ミヒャエル・クレメントさんにも話を聞きました。
「作業中の動画のスクリーンショットを見た段階ですでに感動しました。司会者のトークやステージの左右にあるモニター映像が会場を盛り上げるのに大きく貢献したと思います。石黒千尋さんが『結月ゆかり』のコスチュームで登場したのもよかったです。会場ではボーカロイドの歌声がより自然に感じられました。また、さまざまなキャラクターの歌声を一度に楽しめたのも素晴らしかった」(クレメントさん)
クレメントさんは現地ではオンライン・ラジオによる配信を担当していました。「(配信の)アクセス数はおよそ3000人でした。最も多かったのはドイツからで全体の7割を占めました。次に多かったのは日本で、日本時間では深夜だったにもかかわらず多数のアクセスがありました。以下、オーストリア、ヨーロッパの他の国々、米国が続きます。配信した音声については、楽曲部分は会場の音響機器から直接音源を取りましたが、曲間のトーク部分はマイクに切り替え、会場の盛り上がりが一緒に伝わるようにしました」
コンサートの参加者に感想を聞いてみた
最前列の中央でコンサートを楽しんでいた来場者に声を掛けてみました。北ドイツのハンブルクから来たというベニーさんは、ボーカロイド「結月ゆかり」については以前から知っていて、柔らかくて落ち着いた声が好きだそうです。
「コンサートがあると聞いて、どうせならとベストな場所を確保しました。ドイツでもぜひコンサートを開催してほしいです。ボーカロイドが広まればドイツでも新しい音楽が生まれるような、そんな予感がします」
大盛況のうちに終了したAHSボーカロイド・コンサート。今後の展開が楽しみです。
おまけ:今回のAHSボカロライブのセットリスト
- ユカユカ☆ヘヴンリーナイト
- お前という名の物語は泪で汚れちまってる
- First Time
- スキップランドセル
- Jewelfish -AniNite2015-
- ゆめのはこにわ
- caged girl
- FATE
- 夢魅鳥
- 星のかけらを探しに行こう
- ユカユカ☆ヘヴンリーナイト(アンコール)
著者紹介
Kataho:ドイツ、フランクフルト在住のアニメ・ボカロ好き。日本文化を通じた日本とドイツの交流に興味があり、ドイツ各地の日本イベントに参加中(Twitter:@sakaikataho)。
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