中国の「中秋節」に欠かせない中華菓子「月餅」のウンチクあれこれ
月餅おいしい。
明日9月27日は、十五夜となる「中秋の名月」。日本でお月見をするように、この日は中国でも「中秋節(ちゅうしゅうせつ)」の伝統行事として、観月の宴会やお祝いをする習慣があります。そんな中秋節の味覚として欠かせないのが、中国の伝統的な焼菓子「月餅(げっぺい)」です。中秋の名月にちなんで、中国の中秋節と月餅にまつわるお話をお届けしましょう。
十五夜の月を愛でながら、秋の豊作を祝う「中秋節」
中国の「中秋節」とは、「春節(旧暦の1月1日)」「端午節(旧暦の5月5日)」と並ぶ三大節のひとつで、毎年、旧暦の8月15日(今年は9月27日)に、十五夜の月を愛でながら秋の豊作を祝う伝統行事です。
中秋節は別名「団円節(だんえんせつ)」とも呼ばれ、大変おめでたいことの意を表します。中国ではどこも欠けていない満月を「円満・完璧」の象徴と考え、1年で最も美しいとされる中秋節の満月(厳密には満月にならない年もあります)を特に大切にしています。この日は嫁いだ娘も生家に戻り、家族たちと円形に食卓を囲んで、久々の一家団らんを楽しむそうです。
真ん丸なお月様に見立てた旬の銘菓「中秋月餅」
お月見といえば日本では団子をお供えしますが、中国では満月に見立てた丸い月餅を家族で切り分けて食べ、家庭円満と皆の健康を祈ります。
中秋節の頃になると横浜・神戸・長崎の中華街でも、この時期だけに作られる期間限定の中秋月餅が店頭に並びます。その代表的なものが、餡の中に塩卵の黄身が丸ごと入った鹹蛋(タンファン)月餅です。
鹹蛋とは塩漬けにしたアヒルの卵の黄身のことで、鶏卵よりも脂分が多く、ねっとりした濃厚な味わいが特徴。厚みのある鹹蛋月餅をふたつに切ると、餡の真ん中にオレンジ色の丸い黄身が姿を現わし、まさに満月のお月様のようです。
とろりとした黄身の塩味と、程よい甘さの餡が絶妙にマッチした鹹蛋月餅は、見ても食べても楽しめる風雅な秋の銘菓といえるでしょう。
月餅をより美味しく食べる方法とは?
月餅は「そのまま手に持ってかぶりつく」「手でひと口大に割って食べる」という人が多いと思いますが、実はもっと美味しくなる食べ方があるのをご存知ですか?
その方法とは「包丁を使って切る」こと。ホールのケーキを切り分けるように、包丁でキレイにカットして食べるのがおすすめです。
これは、別にお行儀がいいからとか、伝統的な食べ方だからというわけではありません。日本のサラッとした餡と比べ、月餅に使われる中華餡は独特の粘りがあるので、包丁でスパッと切ると切り口が滑らかで、見た目とともに口当たりも良くなるのです。月餅は「切り口が美味しい」と言われるゆえんです。
また、月餅には烏龍茶などの中国茶や日本茶がよく合いますが、意外にブラックコーヒーとの相性もGOOD。濃厚な舌触りの中華餡とコーヒーの苦味が程よくマッチして、月餅の新しい美味しさが発見できますよ。
秋の夜長、美しい月を愛でながら、ビターなコーヒーと月餅のマリアージュを愉しむ……今宵は、ちょっと風流な大人のスイーツタイムを満喫してみてはいかがですか?
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