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北海道の6倍の大きさの氷、縄文時代の気温上昇で溶けていたことを東大研究チームが発見

地球最大の氷の謎が、最先端科学により解明されようとしています。

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 東京大学の研究チームが、地球最大で、北海道の6倍の大きさの氷の塊「ロス棚氷」が縄文時代に大崩壊を起こしていたことを発見しました。

地球最大の氷の塊「ロス棚氷」

 発表したのは、東京大学 大気海洋研究所附属 高解像度環境解析研究センターの横山祐典教授ら7人の研究チーム。「棚氷」と言われると耳慣れない言葉ですが、おおざっぱに言ってしまえば、南極や極寒地域にできる“陸から突き出た氷のガケ”のことです。同じく陸地にできる氷塊「氷床」の循環を調節し、陸地より温度が高い海水を触れさせないことで、大きく溶けてしまわないようにする役割を持っています。

 その棚氷のなかでも地球最大で、北海道の約6倍の大きさをもつロス棚氷。これまでの研究では1万年以上という長い期間をかけてゆっくりと溶けてきたと考えられていましたが、横山祐典教授らが行った、新しく開発された特定有機化合物抽出法、放射性炭素年代法を用いた分析データと、共同研究者であるアメリカのライス大学のJohn Anderson教授らが2015年に現地観測によって得たデータと組み合わせることにより、“5000年前(縄文時代)に一度、大きな崩壊を起こしている”ことが発見されました。

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ロス棚氷に支えられている氷床「南極氷床」

 この発見を羽角博康教授らが近年開発した海洋数値モデルを使ってシミュレーションした結果、ロス棚氷が南極海から流れてくる比較的温暖な海水により、短期間に大きく崩壊する可能性を示唆していました。これらのデータは、将来の温暖化の進行にともなう地球最大の氷床「南極氷床」の安定性を予測するうえで重要な知見となるとともに、その変化予測の高精度化に大きく貢献する研究結果となったそうです。

(今藤祐馬)

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