月9ドラマの介護現場描写に配慮を 日本介護福祉士会がフジテレビに意見書
24時間勤務や月収14万円などの過酷な労働環境のもと、上司にハラスメントまがいの仕打ちを受けているという設定について。
日本介護福祉士会は、フジテレビが制作するドラマの介護現場の描写が今後の人材確保に影響を及ぼしかねない内容だとして、配慮を求める意見書を送った。
ドラマ制作責任者へ当てた意見書は、フジテレビが1月から毎週月曜日21時から放映している「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」内で、主人公が介護施設で24時間勤務や月収14万円などの過酷な労働環境のもと、施設の上司やオーナーからハラスメントまがいの仕打ちを受けているという場面についてのもの。
同会にドラマを見た視聴者から、「本当にあのような環境の下で皆さんは職務を行っているのでしょうか。そうであれば身内が目指している介護の資格取得をやめさせようと思っている」などのメールが届き事態を重く受け止めた。
意見書では、事業所によっては質が悪く、職員の処遇も良くないところもあるとしながらも、雇用形態や経験、能力、職種によって給与は違うものであり、「多くのマスコミが介護や介護職に関してかなり偏った情報を流している」との所感を紹介。介護は単なる肉体労働ではなく、「自分で生活や身のまわりのことができなくなっている方を、少しでも改善させ、生きる意欲や喜びを感じてもらえるようにしていく仕事」だと説明している。
また、「介護士」という言葉を使用しているがそのような資格はなく、介護福祉士でもないのであれば「介護職」などの言葉を使用するようにも求めている。
ドラマが給与の低さや労働環境の悪さを言いたいわけではないことを理解しているが、「影響の大きさ」も考えてほしいと呼びかけている。今は国を挙げて人材の確保や育成に取り組んでおり、介護が決して夢のない仕事ではなく、「この仕事に真剣に取組み、一生をかけている人間もいることを忘れないでください」と訴えている。
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