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巨大なきみは、ちょっとわがままなお姫様 「おにでか!」女子高生・鬼龍院花生ちゃん、照れながら戦うあのキャラに花束を

ときめきは世界を救う。

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あらゆる意味で完璧な巨大娘ものの表紙

 先日発売された「おにでか!」。「大きな女の子が町を歩いたらどんな気持ちになるのか」は、この表紙絵を見れば分かると言っても過言ではない。

 おっと、キャラ紹介の前に、「巨大娘」について簡単に説明しておきます。人間と対比した際に、相対的にとても大きな女の子のこと。実際にいる身長の高い女の子好きから、地球レベルの大きさまで。よくマンガや映画、ネットで見られるのは、ビルサイズです。怪獣よりちょっと小さいくらい。25メートルから100メートルといったところがいいよね……っていう妄想です。

 なぜ大きいのがいいかって……そりゃー、女の子の身体、巨大だったらあっちこっちから見られるじゃないですか、もぐりこみたいじゃないですか。大好きなものはでかいほうがいいじゃないですか。ってぼくは思ってます。あと、かっこいいから。詳しくはこちらを読んでね。

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>あのキャラに花束を:大きいからこそいいんだよ! ビルよりでっかい「巨大娘」はここが魅力だ

 あらためてこの表紙を見てみましょう。小さな人間の恐れ、ビルとの比較、見上げるような構図。加えて彼女はごく一般的な女子高生であり、スカートの中を見られるのを恥じらっているということがポイントです。彼女は怪獣ではない。

世界で一番お姫様だった花生ちゃん

 幼なじみの、高校生の武蔵(たけぞー)と鬼龍院花生(きりゅういんはなお)。とある事件に2人は巻き込まれ、花生は「ときめくと巨大化する」奇妙な体質になってしまいました。困惑しまくる2人の前に現れたのは、巨大化した自分と同じくらい大きな、謎の生物。花生はどうしようもなく戦うことになる……というのがおおまかなあらすじ。

 何がいいって、花生の外見がちょっとヤンキーまじりなところ。別にガチヤンキーではないです。金髪で(過去回想見る限り地毛っぽい)、いつも自由奔放。「ぶっとばすからな」「っざけんなっ!」「カラオケいくべ?」と口調は荒め。

 基本的にいつも気が強いのですが、幼なじみのたけぞーに対してはわがまま放題です。学校のかばんを持たせては「たけぞー」、雨が降ったら「たけぞーカサかして」、遅刻したら「たけぞおお!! 何で朝起こしに来なかったの」。

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 挙句の果てに、巨大化してしまった時に取った行動がこれです。

見開きページ。学校超えサイズです(1巻64・65ページ)

 学校全員が驚いて見守る中の「たけぞー」。花生さん、それ傍から見たら愛の告白みたいなもんですよ! もっとも彼女の行動は基本子どもっぽいというかお姫様なので、たけぞー自体は全然気にしてません。

 何か困った時、最初に頭に浮かぶ相手って、やっぱり特別中の特別な相手なんですよね。花生も自分の気持ちに、薄々は分かっていますよさすがに。ただ、たけぞーの「お姫様」になりきってきたことで、関係を崩さずうまくやり過ごしていました。それにしてもいいお尻です。

花生さんのトキメキとカメラアングル

 わりと攻撃的なしゃべりかたが魅力の花生さん。いかんせん「ときめき」が巨大化の原動力なだけあって、大きな時はほぼ常に頬を赤らめています。

なってねーし!!(赤面)大きくなるほど照れていることを証明してしまう(1巻93ページ)

 たけぞー落下して死にかけてます。ドキドキしているのに花生が気づいて焦っているシーンです。巨大化するには「ときめき」が必要、となれば巨大化している=ときめいているという、羞恥プレイのような状態に彼女は置かれ続けるはめになります。

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 巨大な女の子が「照れる」というのはすごく重要なファクターです。大きくてうまく日常生活が送れない、下からのぞかれて恥ずかしい、注目の的になってドギマギする。大きいがゆえに「困る」。大変不憫(ふびん)かわいい。

 花生は気丈なため、起きている非常事態に対して、そこまで落ち込んでいません。たけぞーがそばにいる安心感も大きいでしょう。また別の巨大生物が出現したときも、逃げないで戦おうとしました。たけぞーが心の支えになっているからでしょう。

 とはいえ中身は女子高生。下からぱんつを見ようとする男子がいたら、踏みつけようとします。まあ仕方ないよね、のぞきに行きたくなるよね。

 さきほどあげた「たけぞー」の画面は、俯瞰、ヘリコプターで彼女をまわっているかのようなアングルです。「なってねーし!!」は逆に下から。このマンガは巨大な花生をありとあらゆる角度からとらえます。特にすごいのがこちら。

見開きページ。でかい、これはでかさ伝わる(1巻68・69ページ)

 かなり遠く離れたところから、景色としてとらえた女子高生・花生の姿。いやはや大きさをこう表現するとは。近くで見上げる巨大さとは少し違う、引いたカメラだからこその異質感がひしひしと伝わってきます。

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 困って、照れて、恥ずかしがって、芯は真っすぐで、たけぞーに甘えて、自分の恋に気づいちゃう花生を、それを受け止めて戦いに向かっていく花生を、上から下から遠くから近くから、全方向からあますところなく見つめる作品なのです。やったね!

戦うって言ったってねえ

痛い、これは痛い(1巻102ページ)

 一般人が手を出せない巨大な相手に戦えるのは、自分しかいない、やるしかない。そう決意してすぐに戦える花生は、本当にかっこいい。さすが「ヒーローズコミックス」から出版されているだけのことはある。

 とはいえ、彼女なーんの武器も持ってない。ときめいたから大きくなりました、はい。で、どうしろと? なんだかんだ言ってただの女子高生です、殴る蹴るしかできない。彼女は、鼻血を流しながら取っ組み合いです。相手が何者かも分からないのに。

 巨大であるってのは、残酷なことです、誰もが期待してしまうから。巨大生物が暴れまわって人死が出ている、怖い、そこに巨大女子高生が現れた、助けてくれお願いだ、君にしかできない。

 そんなこと言われてもね。「私になんてできない!」って言っても良いんですよ。さすがに花生も「好き勝手言うなよ」とポロッとこぼします。大きくても、痛いもんは痛いんだよ。

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 彼女の目の前には、次々とでかい相手が現れます。1巻に登場して異様なオーラを放っているのが、秋葉原に降臨した超巨大メイド。

でかい! あと背景見たことある気がする!(1巻165ページ)

 現時点での最新話まで見たところ、どうも地方色にあわせた巨大娘が出てくるようです。ちなみに花生の“ご当地”は神奈川県藤沢市の様子。詳しくは描かれていませんが、強烈な感情が湧き上がるときに巨大化してしまうようです。花生はそれが「ときめき」で、メイドは「嫉妬」だった。

 ある理由で巨大女子たちを次々に倒さないといけない花生の背中には、ちょっと切なさすらあります。けれど彼女は大きいままだ。つまりずっとときめいている。それはつまり、たけぞーのことが好きで仕方ないってことだ。

 恋は女の子を数倍かわいく見せることがある。なら恋が女の子を数十倍大きく見せることだって、あるんじゃないかな。

こんな日々が、ずっと続くって思ってた(1巻20ページ)

 ダイナミックな殴り合いアクション、フェティッシュな描写、豪快に開き直ったセリフの数々。花生さんが学校でモテるのも、巨大化してテレビで人気者になるのもよく分かる。でもなによりも魅力的なのは、子どもの時から今までかわらず、彼女は真っすぐに一人の男の子のことが好きだ、ってことです。

 なお同じ作者の「大彼女」という作品は、キャラこそ違いますが、巨大化の設定は「おにでか!」が踏襲しているので、こちらもオススメ。

(C)矢寺圭太/ヒーローズ

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